『ニャン氏の事件簿』で様々な不思議な事件や謎を解明してきた、ニャン氏と秘書の丸山氏の物語が帰ってきました。

今作『ニャン氏の童心』は、実業家であるニャン氏の余技というか趣味として紹介されていた童話作家(ペンネームはミーミ・ニャン吉)としての顔がメインとなります。プラタナス書房で新刊を準備中のミーミ・ニャン吉先生。その事務所に訪ねてくる担当編集者・田宮宴が出先で遭遇した様々な事件を、丸山氏に話していくと……。今回はニャン氏(ミーミ・ニャン吉先生)がどんな推理を見せるのか?

 さて、すでに『ニャン氏の事件簿』をお読みの皆様はご存じのように、シリーズの探偵役(?)をつとめるのがおなじみ猫のニャン氏。本名はアロイシャス・ニャン。タキシードを着ているかのような黒地に白の賢そうな表情の雄猫。が、当然猫なので、「あとはまかせるニャ」と推理の途中で飽きてしまったり、遊びの方に夢中になったりと長続きはしません。そこは通訳(秘書兼運転手)の丸山氏のフォローによって、見事解決へと導いていきます。ニャン氏のことばを訳している丸山氏の姿がかわいいと、前作でも評判でしたが今回も期待に違わずです。スキルも上がったようで、的確に「ニャ」をつけながらニャン氏のことばを訳していきますよ。

 今作の『童心』はもちろん、チェスタトンの『ブラウン神父の童心』からきていますが、猫らしく様々な遊びのシーンが盛り込まれた作品ですので、ぜひそちらも楽しみにしていただければと思います。 
 しかし編集者としては、担当としてミーミ・ニャン吉先生にミステリを書いていただきたいです。いつでも事務所に伺います! 猫のしゃべっていることも分かりますので、ぜひご指名をお願いします。

 ちなみに、今作の奥付の発行日は11月22日(なんと、同じ猫ものの『書店猫ハムレットの挨拶』も同時発売!)。こちらを「いいニャンニャンの日」。さらに11月24日を「いいニャン氏の日」と勝手に決めました。というわけで、あなたの自宅の「ニャン氏」と一緒にどうぞ。ご自宅の猫探偵、募集です。