みなさまこんにちは。いよいよ「ドイツ・ミステリの女王」ネレ・ノイハウスの『悪しき狼』が刊行になります!! ドイツ発のこの警察小説シリーズはなんと世界20か国で翻訳され、累計900万部を突破! 日本でも、おかげさまでシリーズ6作目まで刊行することができております。応援してくださっているシリーズ読者のみなさま、ありがとうございます。
〈刑事オリヴァー&ピア〉は、ドイツのフランクフルト近郊を舞台にした警察小説シリーズです。本国のドイツではシリーズ9作目まで刊行され、圧倒的な人気を誇っています。日本での最新作である『悪しき狼』は6作目。シリーズ作品ですが、事件自体はすべて独立しておりますので、どの刊から読んでいただいても大丈夫です。おすすめは戦後60年経って暴かれるナチ時代の闇を描く『深い疵(きず)』。ドイツでは3作目ですが、日本ではまずミステリとしての面白さを知ってもらいたいということで、この作品を一番先に刊行しました。もう読み始めたら止まらない! とにかくページをめくりたくなるすさまじいリーダビリティの作品です。
シリーズの魅力と、それぞれの作品のテーマについては、1年前に書いたこの記事がものすごくわかりやすい(?)ので、ぜひぜひご一読いただけますと幸いです。いやー、読み返すとおそろしくテンションが高いですね! 久しぶりに読んでうちのめされました。わたし、今はこれほどゴキゲンな文章書けない……! なにか悪いものでも食べながら書いたのでは? というくらいのノリですね。
というかこのシリーズ、1年のあいだになんと200万部も売り上げ上がっている! あらためて数字を見てびっくりしました。
さて、最新作の『悪しき狼』のご紹介に入ります。まずはあらすじを……。
マイン川で少女の死体が発見された。長期間にわたって虐待された痕があり、死因は溺死だと判明する。だが不可解なことに、少女は川の水ではなく塩素水で溺れていた。おぞましい犯罪に、刑事オリヴァーとピアたちは必死の捜査をはじめるが、二週間たっても少女の身元が判明しない。さらに殺人未遂事件も発生し、捜査は混迷を深めていく。そして次第に明らかになる、警察関係者の想像を絶する凶悪犯罪の全貌とは。欧州席捲の大人気警察小説!
『悪しき狼』、ミステリ的にはあいかわらず著者のミスリードがすごい! めちゃくちゃ翻弄され、事件の全貌が明らかになったときは、「こんなにすさまじい事件だったのか……」と呆然としてしまうはずです。また、翻訳原稿をいただいてまず一気読みして、そして編集作業で何度も読み返して、「ここも伏線だったのかー!」「この台詞ってこういう意味だったのかー!」と気づいて感動するばかりでした。ぜひ再読をおすすめしたいです。
また、オリヴァーとピアの私生活にもいろいろと変化が。前作のラストでわりと衝撃の発言をしていたオリヴァーはいったいどうなっているのか!? それはぜひ本書を読んで確かめてください! ネタバレになるから言えない……。今回かっこいいオリヴァーの活躍が読めるのかどうかは……それもネタバレになるから言えない! おまけに今回は捜査関係者のうち、ある人物のおそるべき秘密と過去が明らかに。けっこうな衝撃でした!
また、既刊では父と息子の関係がクローズアップされることがありましたが、今回は母と娘の関係が濃密に描かれています。すさまじいまでに濃い人間ドラマが事件の展開にしっかりと影響していて、まったく先の読めない作品になっているんですね。いやはや、すばらしい筆力だと思います。さまざまな魅力の詰まったミステリですので、今までシリーズを読んだことがなかった方も、この作品からでもぜひお手にとっていただけますと幸いです。
『悪しき狼』は10月31日発売です! どうぞお楽しみに!
(東京創元社S)