こんにちは、営業部のFです。
このコーナーで何度か申し上げております通り、出版社の営業部というものは、本を売ることが仕事です。が、それは書店さんや取次さんに出向いて自社の商品を案内するだけではありません。弊社では、売り出したい書籍の拡材を営業部が製作いたします。今回は拡材製作、つまりPOPを作る作業についてご紹介させていただきますね!
そもそもPOPとは。店頭で書籍と一緒に置いてある説明書きです。みなさんが書店さんに入った際、書籍の近くでハガキサイズくらいの厚紙に書籍のオススメポイントが書かれた紙をみたことはありませんか。あれがPOPです。新刊の書籍のほとんどは帯が巻かれていて、その帯には商品の説明が書かれているわけですが、オススメのポイントは帯だけでは書ききれません。より詳しいオススメポイントをPOPで補うわけです。
それでは、早速Fが担当した書籍のPOPの製作過程を振り返ってまいりましょう! 今回ご紹介する書籍は、今全国でも大きく展開されている、芦沢央先生の『今だけのあの子』です。文庫化したのは2017年4月で、新刊当初も拡材を製作し、売り伸ばしていたのですが、徐々に動きが落ち着いていきました。しかし、この作品が大好きな私は満足できませんでした。そこで、再度販促するべく、新しい拡材を製作しようと立ち上がったのです! こちらが完成形。どのようにしてこのようなPOPになったか追っていきます。
まずは構想。どんな文言を入れるか考えます。男性と女性どちらを狙うか、どの年代に向けてアピールするかと考えなければいけないのです。まあ私の場合、最終的に自分が買いたくなるかどうかで判断してしまうことが多いです。実は文庫化の際も私がPOPの担当をしておりましたので、今回はそれを踏襲しないようにガラッと印象を変えることを心掛けて作ってみようと思いました。ちなみに、これが文庫化の際に製作したPOPです。
今回製作したものとかなり違うと思いませんか。
最初に作ったPOPは、5編の短編集である本書の作品全体のテーマをお伝えしたいと思い製作したものでした。そこで私は、では1編だけピックアップしたものにしてみようかと考えました。そこで製作部の方にお願いして作ってもらったものがこちらです。
完成形と全然違う! そして、なんとなく色味が嫌だ。ちなみにこの色の采配は……、私が指示しています。うー、なんだか恥ずかしくて、紹介するのをやめたくなってきました。なんでしょう。ダサいですよね。既読の方はご存じかと思いますが、各編の終盤ぎりぎりまで不穏な空気に包まれているのが本書の特徴です。ちょっと不気味感が足りない気がしました。そこで不気味感を演出するために、字をかすれさせたり、色味を変えてもらいました。こちらです。
うーん、なんとなく良くなった気がします。が、これを見て、自分は買わないなと思いました。何これ? 血ですか? 作中、血なまぐさい展開ってあった? つい自分にツッコミを入れてしまいます。最初に考えた通り、もっとシンプルに。説明も削って、タイトルも小さくしてしまえば良いのではないかと思いました。
そこでこうしてみました。
なんだか完成形に近づいてきました。では、この案を回覧してみましょう。
回覧とは、部内にいる営業部員に意見をもらうことです。本社にいる営業部員は私を含めて9人です。つまり8人分審査を通らなければいけません。POP周辺に何か書かれているのがみえますか。これは全てダメ出……、こうしたら良いのではというご意見なのです。これをそのまま公開すると、私は恥ずかしさのあまり死ぬこととなりますので、ぼかしを入れさせていただきました。申し訳ない! でもこれは多分少ないほうです(自社調べ)。私が新人の頃はこの3倍は書き込まれていました(本当です)。 心折られて寝込みました(嘘です)。
さあ、このくらいの量なら微調整で済みます。担当編集者とも相談し、遂に完成です!
この拡材に変えたのが2月の終わりごろから。徐々に展開店舗が増えていき、4月辺りから大型展開のお店も増えていきました。おかげさまでここ5ヵ月ほどは毎月重版できています。素晴らしい作品だから当然売れているわけですが、これだけ多くの書籍が刊行されている今、いかにして面白い作品をお伝えするのか。それが私の仕事だと思っています。今回こうして『今だけのあの子』をみなさんに知っていただき、そして重版を重ねることが出来て本当に嬉しいです。未読の方はぜひチェックを! それではまた次回!
このコーナーで何度か申し上げております通り、出版社の営業部というものは、本を売ることが仕事です。が、それは書店さんや取次さんに出向いて自社の商品を案内するだけではありません。弊社では、売り出したい書籍の拡材を営業部が製作いたします。今回は拡材製作、つまりPOPを作る作業についてご紹介させていただきますね!
そもそもPOPとは。店頭で書籍と一緒に置いてある説明書きです。みなさんが書店さんに入った際、書籍の近くでハガキサイズくらいの厚紙に書籍のオススメポイントが書かれた紙をみたことはありませんか。あれがPOPです。新刊の書籍のほとんどは帯が巻かれていて、その帯には商品の説明が書かれているわけですが、オススメのポイントは帯だけでは書ききれません。より詳しいオススメポイントをPOPで補うわけです。
それでは、早速Fが担当した書籍のPOPの製作過程を振り返ってまいりましょう! 今回ご紹介する書籍は、今全国でも大きく展開されている、芦沢央先生の『今だけのあの子』です。文庫化したのは2017年4月で、新刊当初も拡材を製作し、売り伸ばしていたのですが、徐々に動きが落ち着いていきました。しかし、この作品が大好きな私は満足できませんでした。そこで、再度販促するべく、新しい拡材を製作しようと立ち上がったのです! こちらが完成形。どのようにしてこのようなPOPになったか追っていきます。
まずは構想。どんな文言を入れるか考えます。男性と女性どちらを狙うか、どの年代に向けてアピールするかと考えなければいけないのです。まあ私の場合、最終的に自分が買いたくなるかどうかで判断してしまうことが多いです。実は文庫化の際も私がPOPの担当をしておりましたので、今回はそれを踏襲しないようにガラッと印象を変えることを心掛けて作ってみようと思いました。ちなみに、これが文庫化の際に製作したPOPです。
今回製作したものとかなり違うと思いませんか。
最初に作ったPOPは、5編の短編集である本書の作品全体のテーマをお伝えしたいと思い製作したものでした。そこで私は、では1編だけピックアップしたものにしてみようかと考えました。そこで製作部の方にお願いして作ってもらったものがこちらです。
完成形と全然違う! そして、なんとなく色味が嫌だ。ちなみにこの色の采配は……、私が指示しています。うー、なんだか恥ずかしくて、紹介するのをやめたくなってきました。なんでしょう。ダサいですよね。既読の方はご存じかと思いますが、各編の終盤ぎりぎりまで不穏な空気に包まれているのが本書の特徴です。ちょっと不気味感が足りない気がしました。そこで不気味感を演出するために、字をかすれさせたり、色味を変えてもらいました。こちらです。
うーん、なんとなく良くなった気がします。が、これを見て、自分は買わないなと思いました。何これ? 血ですか? 作中、血なまぐさい展開ってあった? つい自分にツッコミを入れてしまいます。最初に考えた通り、もっとシンプルに。説明も削って、タイトルも小さくしてしまえば良いのではないかと思いました。
そこでこうしてみました。
なんだか完成形に近づいてきました。では、この案を回覧してみましょう。
回覧とは、部内にいる営業部員に意見をもらうことです。本社にいる営業部員は私を含めて9人です。つまり8人分審査を通らなければいけません。POP周辺に何か書かれているのがみえますか。これは全てダメ出……、こうしたら良いのではというご意見なのです。これをそのまま公開すると、私は恥ずかしさのあまり死ぬこととなりますので、ぼかしを入れさせていただきました。申し訳ない! でもこれは多分少ないほうです(自社調べ)。私が新人の頃はこの3倍は書き込まれていました(本当です)。 心折られて寝込みました(嘘です)。
さあ、このくらいの量なら微調整で済みます。担当編集者とも相談し、遂に完成です!
この拡材に変えたのが2月の終わりごろから。徐々に展開店舗が増えていき、4月辺りから大型展開のお店も増えていきました。おかげさまでここ5ヵ月ほどは毎月重版できています。素晴らしい作品だから当然売れているわけですが、これだけ多くの書籍が刊行されている今、いかにして面白い作品をお伝えするのか。それが私の仕事だと思っています。今回こうして『今だけのあの子』をみなさんに知っていただき、そして重版を重ねることが出来て本当に嬉しいです。未読の方はぜひチェックを! それではまた次回!