今作『わたしのリミット』の舞台は1991年の東京。都下で父親との二人暮らしをしている高校二年生の坂崎莉実が主人公。ある5月の朝目覚めると、いつもはさえない感じで食卓にいるはずの父親の姿がない。かわりに、どこからともなく現れた少女の姿が。「うちの保険証を使って、彼女を莉実として病院に連れて行ってほしい」という父親からの手紙とともにやってきた少し年下に思える少女。いったいどこからやって来たの?
自分の名前さえ秘密にする少女を、やむなく「リミット」と呼んでひと月を過ごすことになるが……。
莉実が学校で遭遇した不思議な出来事をリミットが解いていく安楽椅子探偵譚であり、莉実の淡い恋心を描くなど、盛りだくさんな内容です。が、松尾さんならではの仕掛けが随所にありますので、楽しんでいただければ幸いです。
舞台となる1991年といえば、著者の松尾由美さんが、「バルーン・タウンの殺人」で第17回ハヤカワ・SFコンテストに入選した年。私自身も登場人物と同世代のため、非常に感慨深いものがあります。当時を思いながら読んでいくと、また違った印象になりますよ。
【2009年3月以前の「本の話題」はこちらからご覧ください】
ミステリ・SF・ホラー・ファンタジーの専門出版社|東京創元社
自分の名前さえ秘密にする少女を、やむなく「リミット」と呼んでひと月を過ごすことになるが……。
莉実が学校で遭遇した不思議な出来事をリミットが解いていく安楽椅子探偵譚であり、莉実の淡い恋心を描くなど、盛りだくさんな内容です。が、松尾さんならではの仕掛けが随所にありますので、楽しんでいただければ幸いです。
舞台となる1991年といえば、著者の松尾由美さんが、「バルーン・タウンの殺人」で第17回ハヤカワ・SFコンテストに入選した年。私自身も登場人物と同世代のため、非常に感慨深いものがあります。当時を思いながら読んでいくと、また違った印象になりますよ。
(2013年10月7日)
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