11年前の美少女連続殺人。
冤罪。現代の魔女狩り。
すべての発端とは――
白雪姫には死んでもらう
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 おまたせしました! 『IN★POCKET』2012年文庫翻訳ミステリー・ベスト10の読者部門で第2位に輝いた『深い疵』。このスリリングな警察小説に続く、新たな傑作『白雪姫には死んでもらう』をお届けします!

 本書は6作で350万部を突破しているドイツの大人気警察小説シリーズ、〈刑事オリヴァー&ピア〉の4作目にあたります(日本での刊行は『深い疵』に続く2冊目になります)。なんと、この4作目だけでドイツで100万部を突破しており、それを記念して特別に金色に輝く装幀の本が作られたほど。シリーズ作品ですが事件は完全に独立しており、この作品から読んでもまったく問題ありません。ドイツでも4作目から読んだひとが多いみたいですよ~。

* * あらすじ * *

空軍基地跡地の燃料貯蔵槽から人骨が発見された。検死の結果、11年前の連続少女殺害事件の被害者だと判明。折しも、犯人として逮捕された男が刑期を終え、故郷に戻っていた。彼は冤罪だと主張しつづけていたが村人たちに受け入れられず、暴力をふるわれ、母親まで歩道橋から突き落とされてしまう。捜査にあたる刑事オリヴァーとピア。人間のおぞましさと魅力を描いた衝撃の警察小説!

 著者のネレ・ノイハウスは「ドイツミステリの女王」とまで呼ばれる大人気作家です。1967年ミュンスター生まれで、結婚後ソーセージ工場を営む夫を手伝い、店員をしていました。そして余技として小説を執筆しはじめます。最初は2005年に初めてのミステリ作品を自費出版し、さまざまな出版社に持ち込みましたが、どこも出版を引き受けてくれませんでした。しかし、2006年に〈刑事オリヴァー&ピア・シリーズ〉第1作目を刊行し、転機が訪れます。ドイツ・ミステリの老舗出版社ウルシュタイン社の営業マンがこのシリーズに注目し、商業出版でのデビューが決まったのです。それからはあっという間にベストセラー作家の仲間入りを果たしました。

『深い疵』は歴史の闇に材を取った作品でしたが、本書ではがらりと趣向を変え、小村でのサスペンスを描いています。村人たちのほとんどが知り合いで、何か都合の悪いことが起きればお互いをかばい合う濃い人間関係が築かれています。そんな横溝正史の描く集落にも通じるような、閉塞的かつ排他的な村で起きた11年前の美少女連続殺人。犯人とされた青年が村に戻ってきたこと、そして被害者のひとりが白骨死体となって見つかったことから、とてつもない騒動が沸き起こります。冤罪だと主張する青年を排除しようとする現代の魔女狩り。そしてまたもや少女が失踪……。ドミノのように発生する数々の事件を捜査するオリヴァーとピアは、はたしてすべての真相に辿り着けるのか。著者は巧みな筆遣いでさまざまな伏線をちりばめています。

 愛と憎しみ。人間の愚かさとすばらしさ。相反するものを描いた衝撃の作品です! とにかく「圧巻」のひと言が似合う傑作を、どうぞお見逃しなく。

『白雪姫には死んでもらう』は5月30日ごろ発売です。絶対の自信を持ってオススメします!


(2013年5月8日)




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