罪悪
 みなさんこんにちは。3月から開催しておりましたフェルディナント・フォン・シーラッハ『罪悪』の人気投票結果を発表いたします! たくさんのご投票、どうもありがとうございました!

『罪悪』人気投票結果
総投票数161票!!

*第1位「解剖学」(19票)
 まさかこの作品が! と少しびっくりしました。たった3ページの作品ですが、読者のみなさんに鮮烈な印象を残したようです。

 以下、票数の多いものから……。

「ふるさと祭り」(18票)
「遺伝子」(18票)
「秘密」(17票)
「子どもたち」(13票)
「鍵」(13票)
「遺伝子」(12票)
「雪」(10票)
「アタッシュケース」(9票)
「間男」(7票)
「欲求」(7票)
「司法当局」(7票)
「清算」(6票)
「家族」(3票)
「寂しさ」(2票)


いただいたコメント
 以下に、頂戴しましたコメントを抜粋して御紹介いたします。

  • *あまりドラマチックではなく淡々と叙述されているだけなのに、読後ずっしりとした充実感がある。「奇妙な味」風の結末ものが好きなので幾つか心に残るものがあってとても良かった。
  • *ミステリだと思って読み始めましたが、純文学でも十分通用する、ジャンルを超えた逸品。
  • *『犯罪』と同レベルか、それ以上の出来栄えの傑作だと思いました。派手さはなく、非常に地味な印象を受けつつも、ぐいぐいと引きこまれていくような作者の語り口が実にお見事。他の作家・作品ではなかなか味わえない雰囲気に病みつきになってしまいそうです。ドイツミステリという、自分にとっては全く未知の世界を教えてくれたシーラッハには感謝しきれません。
  • *酒寄さんの翻訳が好きだったので購入しました。ドイツは私の中でファンタジーのイメージが強かったのですが、ミステリも面白いのがあるのだと発見できました! 創元社さん、ありがとうございます。
  • *淡々と綴られる文章から滲み出す硬質な物語。『犯罪』『罪悪』共にこの先、何度も再読してしまう予感がする本でした。

 『罪悪』だけでなく、『犯罪』へのご感想も、どうもありがとうございました!

酒寄進一先生からのメッセージ
犯罪
 サイン本プレゼントの企画に応募してくださったみなさま、本当にありがとうございます。
 みなさんの寸評も楽しく読ませていただきました。アンケートでは『罪悪』に収録された作品のなかで一番短い「解剖学」に一番票が集まったことにおどろいています。しかしシーラッハさんの硬質で研ぎ澄ました文体が一番生かされている作品なのかもしれませんね。
 ぼくは目下、シーラッハさんの初の長編『コリーニ事件』(仮題)の翻訳に取り組んでいます。『犯罪』や『罪悪』の文体は健在です。どちらかというといくつもの短編が赤い糸でつながれ、大きな物語になっている感じです。ナチ時代に端を発するある事件をめぐる法廷ドラマでして、法廷での舌戦がとてもスリリングで、弁護士である作者の経験が十二分に生かされています。
 シーラッハさんはいま、2作目の長編を執筆しています。詳しいことは話せませんが、さらにミステリの度合いが濃くなりそうです。あらすじを著者から聞いたとき、ぼくは身もだえしました。
 また短編も着々と書いています。昨年クリスマスに発表された「カール・トーアベルクのクリスマス」では、作者の出自を連想させる貴族出身の若者がクリスマスに起こすとんでもない事件の顛末が語られます。その後も、ぼくは未読ですが、引退した裁判官を主人公にした物語を発表しているようです。これにこの2月〈ミステリーズ!〉(vol.51)で邦訳を発表した「パン屋の主人」を加えて、ドイツでは今年の11月に短編集が出版される予定です。タイトルは『カール・トーアベルクのクリスマス』。
 「殺人事件はクリスマスに一番多い」とシーラッハさんはいっています。日頃会わない親族と再会し、いろいろな思いが爆発してしまうのでしょうね。シーラッハさんの作品がはたしてクリスマス殺人の抑止力になるかどうか。気になるところです。

* * *

 たくさんのご投票、本当にありがとうございます! プレゼントの当選発表は発送をもって代えさせていただきます。

(2012年6月5日)




【2009年3月以前の「本の話題」はこちらからご覧ください】

本格ミステリの専門出版社|東京創元社