老人探偵団、異国の大冒険!
メキシコに出かけた高級老人ホーム〈海の上のカムデン〉ご一行、
旅先でも殺人(?)事件に巻きこまれ体当たり捜査!
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アメリカ西海岸、カリフォルニア州はサンディエゴ近くの風光明媚な町にある高級老人ホーム〈海の上のカムデン〉と、そこで暮らす元気いっぱいの老人たちを主人公にした人気シリーズ〈海の上のカムデン騒動記〉最新刊、『旅のお供に殺人を』をお届けします。
……といっても、本書の主要な舞台はメキシコ。アンジェラとキャレドニアの名物コンビをはじめとするカムデンの有志ご一行11名は、シリーズ初、アメリカを飛び出して海外旅行に出かけるのです(カリフォルニアとは地続きなので、交通手段はバスなのですが)。
このメキシコ旅行が決まるまでの顛末も抱腹絶倒もので、旅程やら料金やらその他もろもろの点ですったもんだがありつつも、ようやく出発の日を迎えるのですが、準備段階ですらいろいろあったのですから、旅行本番で何も起こらぬわけがない。
案の定、旅行初日にカムデンご一行の中から死者が出てしまいます。波風を立てやすい性格のため、周囲からよく思われていなかった新入りの老婦人が、観光中に帰らぬ人となるのです。刺激の強い見世物を見ていた最中ということもあり、心臓発作による事故として片づけられるのですが、はたして本当に事故なのでしょうか……(と、シリーズ愛読者なら思ってしまうはず)。
その後も続くメキシコ旅行(作中で語られる「旅行を続ける理由」というのが本シリーズならではで、読んでいてうならされました)のあいだに、疑わしき事実やアンジェラたちが一方的に疑わしいと決めつけた事実が重なり、いつもながらの老人探偵団いきあたりばったり捜査の巻となるのですが、あとは本編でお楽しみください。
このシリーズ第8作以降、本国で続刊は出ていないので(一部の書籍でタイトルが記載されていた第9作は未刊です)、残念ながら〈海の上のカムデン騒動記〉シリーズは本書でいったんひと区切りとなります。シリーズならではの明るく楽しい雰囲気は変わりませんので、最後まで楽しんでいただければと思います。
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入居者向け娯楽活動の不毛さに音を上げた高級老人ホーム〈海の上のカムデン〉の面々は状況の改善に乗り出し、スペイン語講座、さらにはメキシコへのバス旅行が実現のはこびとなる。アンジェラとキャレドニア以下参加者一行11人は、添乗員つきツアーをおおむね楽しんでいた……新入りの老婦人が、突然の死に見舞われるまでは。老人探偵団が異国の地で大騒ぎする、シリーズ第8弾。
(2015年2月5日)
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