選考委員、書店員大絶賛! 8月16日頃発売の創元ホラー長編賞受賞作『深淵のテレパス』の著者・上條一輝さんに読者へのメッセージと創作・投稿のきっかけについてお答えいただきました。
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■これから『深淵のテレパス』を読む方へ向けたメッセージ
ホラー長編賞の受賞作ではありますが、「怖くてページがめくれない」というより、エンタメとしてガンガンページをめくりたくなる作品を目指して書きました。
ホラーが苦手な方もぜひ!……と言いつつ怖いシーンもありますので、災害級猛暑に効く一服の清涼剤としてお楽しみいただければ嬉しいです。
■「創作のきっかけ/創元ホラー長編賞に投稿したきっかけ」
「小説はいつか書きたいな~」と薄ぼんやりと思いながら、1作も書かずに30歳を過ぎてしまいました。
小さいころから誰に言われるでもなくノートに小説のようなものを書いていました。プロットなんて言葉も知らない時分のことです。特に先々の展開の展望もなく、思いつくままに書いていたため、当然完成することもなく設定と書き出しだけが積みあがっていました。
大人になると今度は、日々の雑事にかまけて小説を書こうとはなかなか思えません。「人生にとっては大事だけど、今すぐやらなくても不利益が無いもの」となると、無限に後回しにしてしまいます。ふと気付けば、自己認識が「小説を書きたい人」から「小説を書きたかった人」に変わりかけていました。
そんな折にTwitterで目にしたのが、澤村伊智(さわむら・いち)さんのとあるツイートでした。
『長編ホラー小説公募「創元ホラー長編賞」開催されます。
(中略)「一回限りの開催」なので、大変申し訳ありませんが「様子見」という選択肢はありません。「応募する/しない」だけです。』
https://x.com/ichisawamura/status/1589894828741255168
ホラー小説にハマったきっかけが、澤村伊智さんの『ぼぎわんが、来る』でした。
またその頃、Webメディア『オモコロ』で創作ホラー記事を発表し、それが広く読んでもらえて、「ホラーなら書けるかもしれない」と思っていたタイミングでした。
それに、『一回限りの開催』であるとのこと……。
様々な要素が重なって、この1つのツイートが、まるで天啓のように感じられました。
天啓を得てしまった以上は、もう書くしかありません。副業や遊びの予定をしばらくの間すべて断って、慣れない小説執筆に邁進し、そうやって出来上がったのがのちの『深淵のテレパス』でした。
ちなみに、澤村伊智さんは関連してこんなツイートもされていました。
『ホラー好きの方、小説を書きたい方、黒い家や残穢は書けなくても『ぼぎわんが、来る』程度ならチョロいとお考えの方、是非ご応募ください。これは皮肉でも挑発でもなく、何かを始める理由なんてそんなんで充分だという意味です。』
https://x.com/ichisawamura/status/1586698930691407874
「『ぼぎわんが、来る』程度ならチョロい」だなんて恐れ多くてとんでもない話ですが、「何かを始める理由」は、本当にどこに転がっているかわからないものだと改めて感じます。僕の場合は、寝転がってだらだらTwitterを見ているときに大きな「きっかけ」に出会いました。
今まさに「何かしなきゃなぁ」と漠然とした不安を感じながら、だらだらSNSを見てしまっているあなたも、もしかしたらもう少しスクロールした先に、人生の大きな転機になる投稿があるかもしれません。安心してだらだらSNSを見続けましょう。
さらに、上條さんには刊行にあたって応募時の『パラ・サイコ』というタイトルから改題した経緯についても伺いました! こちらも近日中にご紹介いたします。
■上條一輝(かみじょう・かずき)
1992年長野県生まれ。早稲田大学卒。現在は会社員の傍ら、webメディア〈オモコロ〉にて加味條名義でライターとして活動している。『深淵のテレパス』(応募時タイトル「パラ・サイコ」)で創元ホラー長編賞を受賞しデビュー。 ■『深淵のテレパス』書誌情報
書名:深淵のテレパス(しんえんのてれぱす)
著者:上條一輝(かみじょう・かずき)
判型:単行本(四六判並製)
定価:1,650円 (本体価格:1,500円)
頁数:255ページ
装画:POOL
装幀:岡本歌織(next door design)
発売日:2024年8月16日 ※地域・書店によって前後する場合がございます
定価:1,650円 (本体価格:1,500円)
頁数:255ページ
装画:POOL
装幀:岡本歌織(next door design)
発売日:2024年8月16日 ※地域・書店によって前後する場合がございます