創立70周年を記念した東京創元社クイズ、お待ちかねの解答発表の日がやってまいりました。
まだ回答されていない方は、まずは張り切って以下の問題編からどうぞ!
***
【第1問】
2014年の創立60周年を機に誕生した東京創元社のマスコットキャラクター「くらり」は、白いうさぎの帽子をかぶった黒猫(リーディングキャット)ですが、くらりがかぶっているこの帽子の名前は次のうちどれでしょう?
①しろり
②ハクト
③ニル
③らぴょん
【正解……③ニル】
創元の「創」の字を「倉(くら)」と「刂(り)」に分解したのが「くらり」の名前の由来で、残った「元」を上下に分解すると「ニル」になります。くらりファンの皆さまには簡単すぎる設問だったでしょうか?
①は『東京創元社 創立70周年記念小冊子』での「くらり秘話」(くらりの生みの親であるイラストレーターの加藤木麻莉さんへのインタビュー記事)にて、くらりの友達候補として編集部から提案された白猫の名前でした。
【第2問】
1951年に刊行が開始された〈現代社会科学叢書〉の第一回配本であり、現在に至るまでのロングセラーとなっている、ドイツの哲学者エーリッヒ・フロムの代表作のタイトルは次のうちどれでしょう?
①『自由からの逃走』
②『隷従への道』
③『愛するということ』
④『脱学校の社会』
【正解……①『自由からの逃走』】
②『隷従への道』は同じく〈現代社会科学叢書〉の一冊として刊行され、現在も小社より改訳新装版(単行本)が販売されているハイエクの代表的著書、③は2020年に紀伊國屋書店から発売された改訳新装版も話題となったフロムの著書、④『脱学校の社会』は『自由からの逃走』と並ぶ〈現代社会科学叢書〉のロングセラーであるイヴァン・イリッチの著作です。
【第3問】
逆説と諧謔(かいぎゃく)の大家として知られ、〈ブラウン神父〉シリーズ(創元推理文庫)をはじめとする数々の推理小説を発表したイギリスの作家、G・K・チェスタトンのファーストネームGを略さずに書くと、次の四つのうちどれでしょう?
①グレアム
②ジェフリー
③ギルバート
④ジェラルド
【正解……③ギルバート】
というわけで、チェスタトンのGはギルバートGilbertのGでした。
もともとは「S・S・ヴァン・ダインのS・Sとは?」という問題だったのですが、難易度調整でボツと相成ったのでした。
【第4問】
これまでヘニング・マンケルの『殺人者の顔』、アーナルデュル・インドリダソンの『湿地』『緑衣の女』、レイフ・GW・ペーションの『許されざる者』(すべて創元推理文庫)などが受賞してきた、スカンジナヴィア推理作家協会がその年の最も優れた北欧ミステリに与える賞の名前は次のうちどれでしょう?
①氷の鍵賞
②ガラスの鍵賞
③銀の鍵賞
④水晶の鍵賞
【正解……②ガラスの鍵賞】
「ガラスの鍵」の名はダシール・ハメットの作品名にちなみます。北欧ミステリの帯などでおなじみでしょうか?
③の「銀の鍵」は『ラヴクラフト全集6』に収録された同題の短編などにも登場する、異界への扉を開くガジェットです。
【第5問】
泡󠄁坂妻夫の小説『■枚のとらんぷ』『ダイヤル◯をまわす時』(ともに創元推理文庫)、■と◯に入る数字を合計するといくつになるでしょう?
①23
②18
③20
④13
【正解……②18】
■=11, ◯=7です。
類題として、「ハル・クレメントの『△億の針』と『☆億の針』を合計すると……?」という問題も作れますね。
【第6問】
H・P・ラヴクラフトの作品世界において、インスマウスやダニッチ、アーカムなどの架空都市が所在するとされるアメリカの州は次のうちどれでしょう?
①マサチューセッツ州
②ロードアイランド州
③ニューハンプシャー州
④コネチカット州
【正解……①マサチューセッツ州】
作問者自身は「どこだっけ、ニューイングランドのどこか……」程度にしか覚えていませんでしたが、ラヴクラフト作品やクトゥルー神話の熱心なファンの皆さんには常識かも。
ラヴクラフトの生まれ故郷は②のロードアイランド州の州都・プロヴィデンスで、同地は現在「ネクロノミコン」というコンベンションの開催地になっています。
【第7問】
第7回創元SF短編賞を受賞し、短編集『半分世界』(創元SF文庫)に収録された石川宗生の小説「吉田同名」で、ある日19,329人に増殖した吉田氏のフルネームは次のうちどれでしょう?
①吉田慎一
②吉田健祐
③吉田茂雄
④吉田大輔
【正解……④吉田大輔】
作問者自身は「なんだっけ、確かすごく普通の名前で……」程度にしか覚えていませんでした。
『半分世界』には本作のほかにも、まっぷたつのスケルトンになった戸建てでの生活をめぐる表題作や、300年にわたって町ぐるみで続けられる奇妙な競技を描いた「白黒ダービー小史」など、魅力的な奇想小説が収録されています。
【第8問】創元推理文庫の旧ジャンルマークの中でも、本格推理を示す「おじさんマーク」は、1991年の分類変更後も、いくつかの作品のカバーに使われてきました。①大山誠一郎『アルファベット・パズラーズ』
それでは次に示す創元推理文庫の国内作品のうち、現行版のカバーにおじさんマークが「ついていない」本はどれでしょう?
②小森収 編『ミステリ=22 推理小説ベスト・エッセイ』
③北山猛邦『少年検閲官』
④北村薫『ニッポン硬貨の謎』
【正解……③北山猛邦『少年検閲官』】
国内ミステリ担当の先輩との雑談から生まれた一問。
選択肢を作っていると、「おじさんマーク」の愛されぶりにあらためて驚かされました。
【第9問】
今年(2024)年、伝記映画『シャーリイ』が封切られたことでも話題となった作家、シャーリイ・ジャクスンの『ずっとお城で暮らしてる』(創元推理文庫)で語り手となる、ブラックウッド家の少女の通称は次のうちどれでしょう?
①ナタリー
②コニー
③エレーナ
④メリキャット
【正解……④メリキャット】
②は同作に登場するメリキャットの姉、①は同じくジャクスンの『処刑人』の主人公、③は『丘の屋敷』の登場人物の名前でした。
『東京創元社 創立70周年記念小冊子』に収録された「東京創元社 私の一冊」では、文月悠光さんに同書についてのエッセイをいただいています。
【第10問】
タイトルが「時間」からはじまるSF小説にもいろいろありますが、1973年に原書が刊行され、日本では1990年に第21回星雲賞海外長編部門を受賞した、バリントン・J・ベイリーの代表作のタイトルは次のうちどれでしょう?
①『時間泥棒』
②『時間封鎖』
③『時間衝突』
④『時間都市』
【正解……③『時間衝突』】
①はホーガン、②はウィルソン、④はバラードの作品名(すべて創元SF文庫)。やっぱり漢字四文字タイトルはSFの華(?)ですね。
①の『時間泥棒』は今年(2024年)の復刊フェアにて復刊予定です。
***
挑戦いただいたみなさんは、何問正解されましたでしょうか?
多少は難易度調整を試みたものの、第7問のように作中の固有名詞を細かく覚えていないと正解できない問題もあったので、社員ですら一切調べずに満点をとるのは相当難しいようにも……。
「東京創元社検定」のようなきちんとした性格のものではまったくなく、かといって「カルトクイズ」を名乗るほどでもない問題群に落ち着きましたが、ともあれこの10問がみなさまにとって、気になる本や作家さんを見つけるきっかけになりましたら幸いです。
箔押しのアニバーサリーカバーや、人気漫画家さんの描き下ろしカバー、人気作家・著名人のみなさまによる推薦帯企画、70周年記念小冊子の頒布……と展開してきた70周年フェアはまだまだ続き、11月にはフェア参加書店さんにて、新たなフェア書籍の配本もはじまります。引き続きお楽しみください!
創立70周年フェアの詳細はこちらから、
7月フェアの開催店様はこちらからご確認いただけます。