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『SFが読みたい!』の海外篇第1位を獲得し、さらに去る7月には日本SF大会の参加者が選ぶ星雲賞海外長編部門を受賞した、ロバート・チャールズ・ウィルスン『時間封鎖』。 その著者ウィルスン氏より、今年度世界SF大会席上でサインしていただいた「上巻」を、3名さまにプレゼントいたします。 サインをいただいたのは「上巻」のみですので、くれぐれも当選された際には、ご自身で「下巻」をご手配・ご購入いただきますよう、あらかじめお願い申し上げます。
【プレゼント応募要項】
■お申し込み締切 2009年9月30日(水) |
(2009年9月7日) |
〈文庫創刊50周年記念復刊リクエスト〉第1位作品
マクロイの名人芸が冴えわたる本格ミステリの傑作
本年、2009年は〈創元推理文庫 創刊50周年〉となる節目の年。その記念行事の一環として、2008年10月から2009年2月まで〈文庫創刊50周年記念復刊リクエスト〉をおこない、読者の投票をつのりました。
そして集計の結果第1位となったのが、本書『幽霊の2/3』。熱烈な要望にこたえて、このたび新訳で登場することになりました。
本書が長いあいだ語り継がれてきたのには、なんといっても『幽霊の2/3』という、一度聞いたら忘れられない題名に原因があるのではないでしょうか。ただ、名前だけは知っていても、どんな作品なのかご存じないかたは多いはず。そこで、ここで内容を少しご紹介したいと思います。
まず、本書はマクロイのレギュラー探偵役である、精神科医のベイジル・ウィリング博士が登場する、きわめてよくできた本格ミステリです。舞台となるのは1950年代アメリカの出版業界。登場人物は作家や出版社の社長、著作権エージェントに書評家と、大半が本に関わる人々です(したがって、本書は業界ものミステリでもあります)。彼らが出版社社長宅のパーティーで一堂に会したとき、事件は起こります。主賓の人気作家エイモス・コットルが、余興のゲーム“幽霊の2/3”の最中に、毒を飲んで絶命してしまうのです。
つまり、“幽霊の2/3”とはゲームの名前なのですが、わざわざ題名に選ばれているからには、単にそれだけの意味では終わりません。その本当の意味は、ぜひご自分でお確かめください。
ほかにも、本書を読んで確かめていただきたいのは、殺人事件の直後に明らかとなる独創的かつ魅力的な「本当の謎」の存在と(それが明かされるところが、第二のクライマックスです)、わずか300ページあまりの中に驚くべき密度で張りめぐらされていた、大量の伏線を一気呵成に回収していく解決編の鮮やかさです。
ことミステリの技巧面に関しては、『幽霊の2/3』はマクロイの頂点といってもよい傑作です。名人芸とすら呼べるテクニックの冴えを、どうぞお楽しみください。
なお、創元推理文庫ではこのあと、やはり〈復刊リクエスト〉で高い支持をいただいた、もうひとつのマクロイ作品『殺す者と殺される者』も新訳で刊行いたします。『幽霊の2/3』とはがらりと趣を変えたサスペンスの逸品にご期待ください。
※ ※ ※ ※
出版社社長ケインの邸宅で開かれたパーティーで、人気作家エイモス・コットルが、余興のゲーム“幽霊の2/3”の最中に毒物を飲んで絶命してしまう。
招待客の一人、精神科医のベイジル・ウィリング博士が、警察に協力して関係者から事情を聞いてまわると、次々に意外な事実が明らかになる。作家を取りまく錯綜した人間関係にひそむ稀代の謎と、毒殺事件の真相とは?
名のみ語り継がれてきた傑作が新訳で登場。
(2009年8月5日)
【2009年3月以前の「本の話題」はこちらからご覧ください】
推理小説の専門出版社|東京創元社
イザベル・ダルハウジー、40歳代前半、離婚歴あり、現在独身。ひと癖もふた癖もある人々が集う国スコットランドの古都エディンバラに住む、知的で好奇心溢れる女性哲学者。〈応用倫理学レビュー〉誌の編集をしている。
そんな彼女が主宰するのが〈日曜哲学クラブ〉。一度も開かれたことがないという奇妙なクラブだ。
ある日コンサートを聴きに行った劇場で、天井桟敷から若い男性が墜落するのを目撃したイザベル。もしかしたら若者がこの世で見た最後の人物は自分だったかもしれないと思うと、持ち前の社会的責任感が頭をもたげ、長年の哲学的思考で培った優れた観察力をたよりに、若者の死の謎を探るが……。
寄り道だらけの知的な冒険。哲学者探偵(?)シリーズ開幕。
(2009年8月5日)
推理小説の専門出版社|東京創元社
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