2015年1月に刊行いたしましたフェルディナント・フォン・シーラッハ『禁忌』が、6月に舞台化されます。今回、シーラッハ作品を翻訳されている酒寄進一先生と一緒に顔合わせ&台本読み合わせを見学させていただきました。

 5月某日、都内某所にて舞台「TABU~シーラッハ『禁忌』より~」の顔合わせと台本読み合わせが開催されました。とにかく暑い日でしたが、それ以上に集まったみなさんの熱気がすごかったです!

 まずは顔合わせということで、主催の関係者さまやプロデューサーの方々、そして舞台制作にかかわるみなさま、出演者のみなさまのご挨拶がありました。公演に対する決意や強い想いが感じられ、胸が熱くなりました。特に、演出の深作健太さんがおっしゃった「原作は『禁忌』というタイトルですが、この作品を上演すること自体が、何か“タブー”に挑戦するようなものになれば、という気持ちで臨みます」というお話が印象に残りました。

 そしてご挨拶のあと、美術の土岐研一さんによって舞台のセット模型が公開されました! 写真家である主人公ゼバスティアンのスタジオをイメージされたということで、シンプルかつ、かっこいい感じのしあがりでした。おまけに今回映像を壁に映すかもしれないとか。原作のさまざまなシーンをどうやって表現するのか気になります。

 そしていよいよ台本の読み合わせに入ります。始まってまず驚いたのが、主演の真田佑馬さんの声が、ゼバスティアンにすごく合っている!! ということでした。いや、原作も小説なので具体的な声がわかるわけではないんですが、共感覚を持つ芸術家みたいな繊細さや貴族出身であるがゆえの上品さなどが伝わってきて、いいお声だな~と。酒寄先生も同じことを感じられたようで、休憩時間に真田さんに「すごく声がいいですね」とお話しされ、真田さんが喜んでいらっしゃいました。

 大空祐飛さんもお声が素敵で、凛とした表情や瞳の強さも印象的な方でした。物語の展開においてとても重要な役をつとめられるので、本番でどのような演技を拝見できるのか、とても楽しみになりました。

 また、宮本裕子さん、佐藤誓さん、池下重大さん、大沼百合子さんは一人何役も兼ねられていて作品の奥深さを表現してくださっているのですが、役によって声がぜんぜん違うのでびっくりしました。いや~、プロってすごいや……と当たり前のことに感激してしまいました。

 そして橋爪功さんの演技の迫力にノックアウトされました! 台本読み合わせ段階でも、激昂する場面では机を叩いて怒鳴る熱演でした。橋爪さんはもともと「橋爪功 ちょっぴりコワイ話」「橋爪功 ちょっぴりゾッとする話」などでシーラッハ作品の朗読公演をされており、著者の持つ独特の世界を巧みに表現されていました。今回は初の本格的な舞台化ということで、さらにすばらしい演技を拝見できる日が待ち遠しいです。

 みなさんの熱演を通して見て、上演台本のすばらしさにも感激しました。原作の編集担当としていちばん期待していたのが、上演台本がどのようになっているのかな? ということだったのですが、木内宏昌さんによる台本、ほんとーに! すばらしいです。やはり小説そのままの流れを舞台化するのは難しいので場面を入れ替えたりしているのですが、原作が巧みに再構成されていました。ぐっと惹き込まれる始まり方で、途中の展開もテンポが良くて小説よりサスペンス色が強くなっていると感じました。そしてラストがめちゃくちゃかっこいい終わり方……。もう早く本番の舞台が見たいです!

 見学が終わってから酒寄先生と「いやもうほんとすごかったですね」「すごかったですね!」「本番楽しみだなあ」「もうめちゃくちゃ楽しみですね!」と、興奮しながら帰りました。まだお稽古は始まったばかりですが、これからさらに細かい演出や美術、衣装などがどんどん決まっていくのだと思います。すごくすごく期待大です! みなさまもどうぞお楽しみに!

(東京創元社S)

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舞台「TABU~シーラッハ『禁忌』より~」

会場:新国立劇場 小劇場
公演日程:2015年6月5日 (金) ~2015年6月14日 (日)
原作:フェルディナント・フォン・シーラッハ
原作翻訳:酒寄進一
上演台本:木内宏昌
演出:深作健太
出演:真田佑馬 大空祐飛 宮本裕子 佐藤誓 池下重大 大沼百合子 橋爪功

その他公演などの詳細は、こちらでご確認ください。
http://www.parco-play.com/web/program/tabu/



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