このコーナーでは、校正者の視点で校正まわりのこと、担当した作品などについて語りたいと思います。

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担当作:〈帰還兵の戦場〉〈天空の標的〉感想
ギャビン・スミス/金子浩訳

シリウスでの激戦から帰還した元特殊部隊員ジェイコブは、異星種族の地球潜入により現役復帰を強いられる。が、発見した敵の目的は和平だという……。

http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488761011

本シリーズは、シリウス星系での戦闘から帰還した元特殊部隊員が、再び地球での(更には宇宙での)戦いに身を投じていくミリタリーSFです。

この作品をラブストーリーとして読むと…
そんな読み方をするのは変かもしれませんが…
主人公のジェイコブは気の毒だなあと思ってしまいました。

ジェイコブは少女モラグを守りたくて戦いから遠ざけようとするのに、モラグはどんどん体をサイボーグ化して、髪も刈っちゃって、目も涙を流せないレンズにしちゃうし。
ジェイコブ自身も、もう戦いたくないって言うのに、モラグはジェイコブをほっといて、戦いの前線に出ていっちゃうし。

しょっちゅう自己憐憫にひたっているジェイコブですが、戦いではしっかりプロなんだから、この際モラグの意志を尊重して一緒に戦うしかないじゃない、と思うのですが、彼はどうしてもモラグに生きていてもらいたい。
そういう女の子扱いが、モラグはいやでたまらないわけで、この二人はなかなかうまくいかないんです。
ほんとうにもどかしい。

でも、ラストシーンはとても好きです。
(M)

担当編集者Iのコメント:
恋愛はこの物語の柱のひとつですね。最近のSFは男女で役割を区別しない話が普通になってきました。


(2016年1月31日)



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