今月の本の話題Science Fiction

2018.01.01

【新年特別企画】2018年 東京創元社 SF・ファンタジイ ラインナップのご案内

あけましておめでとうございます。
今年刊行予定のSF・ファンタジイ作品ラインナップの一部をご案内いたします。読書計画の参考としていただければ幸いです。
ここに紹介した以外にも新作や名作の復刊・新訳など、東京創元社は今年も良質のSFをご紹介してまいります。
本年もご愛読のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
(タイトルは一部を除き仮題です)


《創元日本SF叢書》(四六判仮フランス装)

石川宗生『半分世界』(1月26日刊)
半分世界
3年前、会社から帰宅途中の吉田大輔氏(30代、妻と男児ひとり)は、電車を降りて自宅に向かうあいだで一瞬にして19329人となった――第7回創元SF短編賞を受賞した「吉田同名」をはじめ、ある日突然、縦に半分になった家で、平然と暮らし続ける一家とその観察に没頭する人々を描く表題作、全住民が白と黒のチームに分かれ、300年もの間ゲームを続ける奇妙な町を舞台にした「白黒ダービー小史」など全4編。
突飛なアイデアと語りの魔術が描き出す、まったく新しい小説世界。 解説=飛浩隆

宮内悠介『超動く家にて 宮内悠介短編集』(2月刊)
「深刻に、ぼくはくだらない話を書く必要に迫られていた」――雑誌『トランジスタ技術』を“圧縮”する謎競技をめぐる「トランジスタ技術の圧縮」、〈ヴァン・ダインの二十則〉が支配する世界で殺人を企てる男の話「法則」など著者自ら選んだ16編を収録。吉川英治文学新人賞・三島由紀夫賞受賞、直木・芥川両賞候補など活躍めざましい俊英の正体を目撃せよ。解説=酉島伝法

高山羽根子『暗闇にレンズ』
わたしたちは毎日、町のあらゆるところに設置された監視カメラに日常を記録されつづけている。人々はそうすることで身の安全を保障されているのだ。でも、わたしたちはそれだけじゃない。わたしたちは、わたしたちにレンズを向けるすべてのものに、同じようにレンズを向けつづける――撮ること、撮られること、記録すること。『うどん キツネつきの』でデビューし、SF界からも文芸界からも注目を浴びる高山羽根子、渾身の書き下ろし長編。

門田充宏『風牙』
インタープリタとは、顧客の心から抽出した記憶データを翻訳し、他者に理解可能なよう立体的に再構築する技能者である。今回、若き女性インタープリタ・珊瑚が受けた仕事は前例のないものだった。潜行する先は、彼女自身の会社の社長。しかも先立って送り込まれたインタープリタは、3人たてつづけに社長の記憶の中で正体不明の存在に襲撃され、病院送りとなっていた……。豊かな情緒性と卓越した娯楽性を評価され、第5回創元SF短編賞を受賞した表題作をはじめ4編を収録。

酉島伝法『瞑眩の地』
国に得体の知れない変化が起きていることを感じていたマガンダラは、あるとき意図せず兄弟分を殺め、追放刑に処せられる。かつての激戦地を放浪した末に辿り着いた地で、百年前に滅亡した人類の企みを知り、祖国に潜入することを命じられるが……。デビュー作『皆勤の徒』で“異形の天才”としてその名を轟かせた酉島伝法、待望の初長編。

秋田禎信『ノーマンズ・ソサエティー』
「人は望めばいつでも、今の人生をやめられます。ご安心ください。あなたはいつでも安全に転生できます」。記憶をリセットする技術が発達し、不都合があればすぐに以前の人格と記憶を捨て、新たな人間に生まれ変わることが常識となった、近未来の社会。27歳の医者である俺は、数度目となる転生処置を終えた後、死神めいた女と出会う。その夜、俺は彼女や仲間とともに、掘った穴の底へ死体を投げ捨てた夢を見る。この夢は、消したはずの転生前の記憶だった……。《魔術士オーフェン》の著者が描く、記憶をめぐる『トータル・リコール』『インセプション』SF。

円城塔『円城塔短編集』
2008年刊の年刊日本SF傑作選『虚構機関』に収録された第50回群像新人文学賞二次選考通過作「パリンプセスト あるいは重ね書きされた八つの物語」と翌2009年刊の『超弦領域』に異例の書き下ろしで収録された数学ハードSF「ムーンシャイン」の2編に、書き下ろし3編を加えた計5編を収録。

《創元海外SF叢書》(四六判仮フランス装)

リリー・ブルックス゠ダルトン『世界の終わりの天文台』(1月12日刊)
 Good Morning, Midnight (2016) by Lily Brooks-Dalton/佐田千織 訳
世界の終わりの天文台
どうやら人類は滅ぶらしい。最後の撤収便に乗らず、北極の天文台に残った老学者は、取り残された見知らぬ幼い少女とふたりきりの奇妙な同居生活を始める。一方、帰還途中だった木星探査船の乗組員サリーは、地球からの通信が途絶えて不安に駆られながらも航海を続ける。終末を迎える惑星の極北で、宇宙の孤独な大海で――もしも世界が終わるなら、あなたは誰と過ごしたい? 『インターステラー』×『渚にて』のSF感動作。


単行本・創元SF文庫の注目作

山本弘『夢は光年の彼方に BISビブリオバトル部』(四六判並製)
ビブリオバトルとは、本を通して人をつなぎ、人と知識をつなぐ知的ゲーム。空たちBIS(美心国際学園)ビブリオバトル部は、高校生書評合戦大会の全国大会出場を目指し、地区大会に向けての準備を進めていた。同じ頃、千葉のとある学校には、SF小説で全国大会出場を狙う謎の女子高生の姿が……。大人気ビブリオバトル青春小説シリーズ、ついに完結。

J・G・バラード『J・G・バラード短編全集』5巻
柳下毅一郎 監修/浅倉久志 他訳(四六判上製、1月31日刊)
J・G・バラード短編全集 5巻
『結晶世界』『ハイ・ライズ』などの傑作群で、叙事的な文体で20世紀SFに独自の境地を拓いた鬼才の全短編を五巻に集成。最終巻には予言的傑作「戦争熱」「第三次世界大戦秘史」など24編収録。

S・K・ダンストール『スターシップ・イレヴン』
 Linesman (2015) by S. K. Dunstall/三角和代 訳(創元SF文庫、2月刊)
Linesman
画期的エネルギー源“ライン”の発見により人類は光速の壁を破り、銀河系全域に進出した。ただし原理も正体も未知のラインを扱えるのは、選ばれた“ラインズマン”だけ。イアンは優れたラインズマンだが、ラインと歌で意思疎通できると信じているため、周囲にバカにされている。だがそんな彼が、皇女に強引に連れ出され、近づくものすべてを消滅させる謎のエイリアン船の調査に向かうことになり……。『歌う船』×『戦士志願』の傑作スペースオペラ登場!

ケン・リュウ、桜坂洋、アンディ・ウィアー他『スタートボタンを押してください ゲームSF傑作選』
 Press Start to Play (2015) eds. J. J. Adams & Daniel H. Wilson/中原尚哉、古沢嘉通 訳(創元SF文庫、3月刊)
Press Start to Play
『紙の動物園』のケン・リュウ、『火星の人』のアンディ・ウィアー、『All You Need Is Kill』の桜坂洋、『ゲームウォーズ』のアーネスト・クラインら、現代SFを牽引する豪華執筆陣が結集。本邦初登場11編、全作書籍初収録。ヒューゴー賞、ネビュラ賞、星雲賞受賞作家たちが新たな物語の可能性に挑む、傑作オリジナルSFアンソロジー。 解説=米光一成

サチ・ロイド『モメンタム』
 Momentum (2011) by Saci Lloyd/鍛治靖子 訳(創元SF文庫、4月刊)
Momentum
近未来。エネルギー危機と経済再建を口実とした格差拡大政策により一般大衆は切り捨てられ、さらに不満をそらすために富める者と貧しい者の対立が意図的に煽られた。社会から排除された人々は生き延びるため、都市内に独自のスラム共同体を築き上げたが、アウトサイダーと呼ばれて暴力的な軍警察に弾圧されている。少年ハンターはひとりの子供が軍警察に殺された事件をきっかけにアウトサイダーの少女ウーマと出会い、現実のロンドンとダークネットの双方で繰り広げられる、全世界のアウトサイダーの命運を賭した戦いにその身を投じる!

シルヴァン・ヌーヴェル『巨神覚醒』
 Waking Gods (2017) by Sylvain Neuvel/佐田千織 訳(創元SF文庫)
Waking Gods
6000年前に埋められた巨大ロボットの発掘計画から9年。ついに恐れていた事態が訪れた――第二の巨大ロボットが、突如としてロンドン中心部に現れたのだ! 意図も正体も不明の相手に対し、人類側の反応は大惨事を招く。人智を超えた圧倒的存在を相手に、人類の生き残りを賭けた戦いが始まる……。デビュー作にして映画化決定の傑作『巨神計画』待望の続編登場!

ムア・ラファティ『六つの航跡』
 Six Wakes (2017) by Mur Lafferty/茂木健 訳(創元SF文庫)
Six Wakes
1隻の宇宙船。被害者は6人。容疑者も、同じ6人――西暦2495年。2500人分の冷凍睡眠者と人格データを載せて新天地をめざす恒星間移民船内で、唯一目覚めていた乗組員6人が全員、他殺される。彼らはクローンとして復活するが、何者かによって地球出発後25年間の記憶をすべて消されていた。しかも船の管理AIも改竄されていて、もはや復活は不可能に。それぞれ後ろ暗い過去を抱える彼らは、自分自身さえも疑いつつ、殺人の真相と真犯人を突き止めようとするが……。キャンベル新人賞受賞の新鋭が放つ傑作!

アン・レッキー『来歴』
 Provenance (2017) by Ann Leckie/赤尾秀子 訳(創元SF文庫)
Provenance
イングレイは進退きわまっていた。彼女が最後の望みをかけて終身監獄惑星から脱獄させた人物が、狙った相手とは別人だったのだ。このままでは破滅だ。だが、一か八かで彼女が放った奇策は、近隣の惑星国家だけでなくエイリアン種族さえも巻き込む一大危機へと発展し……。ヒューゴー賞、ネビュラ賞、星雲賞など全世界12冠制覇の《叛逆航路》ユニバース、待望の新作長編登場!

ロイス・マクマスター・ビジョルド《ヴォルコシガン・サーガ》スピンオフ作品
 Gentleman Jole and the Red Queen (2016) by Lois McMaster Bujold/小木曽絢子 訳(創元SF文庫)
Gentleman Jole and the Red Queen
『戦士志願』で幕を開けた《ヴォルコシガン・サーガ》も、『マイルズの旅路』で大団円となりました。マイルズ・ロスに苦しむ皆様、朗報です! スピンオフ作品が2018年に刊行されます。スピンオフとはいえ、マイルズやその他の面々のその後もしっかり描かれています。楽しみにお待ち下さい!

フィリップ・リーヴ《移動都市》シリーズ第4巻
 A Darkling Plain (2006) by Philip Reeve/安野玲 訳(創元SF文庫)
A Darkling Plain
星雲賞を受賞した『移動都市』に始まるシリーズの最終刊で、ガーディアン賞受賞作のA Darkling Plainがいよいよ2018年後半に刊行されます。1巻目の『移動都市』は、『ロード・オブ・ザ・リング』『ホビット』の監督ピーター・ジャクソンの製作・脚本で映画化され(映画タイトルは原題の『モータル・エンジン』)、2018年末には全米で、2019年には日本でも公開されます。映画も期待大ですが、原作も名作! この機会にシリーズ通して是非お読み下さい。


単行本・創元推理文庫(F)のファンタジイ注目作

乾石智子《紐結びの魔道師》三部作開幕! 第一部『赤銅の魔女』(四六判仮フランス装、5月刊)
隣国イスリルの侵攻で住み慣れた家を追われた紐結びの魔道師エンスと書記のリコ。滅び去ったオルン国の魔女の末裔で、燃えるような赤毛と容赦ない性格の少女トゥーラ。月に仕え、月の力で未来を垣間見る拝月教の軌師エミラーダ。彼らが出会い、関わり合ったのは偶然か、それとも運命で定めれたことだったのか……。繁栄を極めたコンスル帝国末期を舞台に、紐を結んで魔法をかける魔道師エンスが挑む、1500年前に死んだ女王の呪い。《オーリエラントの魔道師》シリーズ最新作、三部作で登場! 第二部『白銀の巫女』は秋刊行予定。

雪乃紗衣『Mystic――ミスティック――』(四六判上製、秋~冬刊)
小学校5年生も終わりかけの春。霊感ゼロの少年・拓人は、クラスメイトたちから、S村の心霊スポットの探検に誘われる。しかし拓人は、旧知である年上の少女・サヤが4年ぶりにやってくるため、その誘いを断った。ところが、S村に向かったクラスメイトが失踪。拓人の周りで奇妙な現象が起こり始め、謎めいた男が接触してくる……。拓人は消えたクラスメイトたちを捜しに、サヤとS村の心霊スポットに向かうが。《彩雲国物語》《レアリア》シリーズの著者が贈るファンタジイ。

ケルスティン・ギア《夢の扉》三部作Ⅰ『ジルバー』
 Silber Das erste Buch der Träume (2013) by Kerstin Gier/遠山明子 訳(四六判並製、4月刊)
Silber
母親の転勤についてロンドンにやってきたリヴとミア。新しい学校に……新しい家族!? いきなりの義兄妹の出現に戸惑うリヴ。ある日見たリアルな夢の中で出会った男の子が、実は学校の人気者の4人組の一人だとわかり……。『紅玉は終わりにして始まり』に始まる《時間旅行者の系譜》三部作で人気の著者の、新三部作開幕!

佐藤さくら『魔導の黎明』(創元推理文庫)
三流魔導士レオンと大魔導師ゼクスの師弟コンビ再び! 第1回創元ファンタジイ新人賞の優秀賞受賞作『魔導の系譜』で、魔導士が蔑まれる国を舞台に三流魔導士の師匠と、桁外れの魔導の才をもつ弟子の師弟の絆を描いて好評を博し、『魔導の福音』『魔導の矜持』でも、偏見や因習と戦い自らに道を切り拓く人々を描き続ける著者の《真理の織り手》シリーズ完結編。

廣嶋玲子『妖怪の子預かります5 妖怪姫、婿をとる』&『妖怪の子預かります6 猫たちの災難』(創元推理文庫)
太鼓長屋に住む少年弥助は、ごくごく平凡な男の子。だが妖怪の子預かり屋という裏の(?)顔をもっている。弥助に子妖怪を預けにくる妖怪たちのせいで、弥助の周りは事件が絶えないのだ。太鼓長屋の大家の息子久蔵と妖怪姫の恋路を描く5巻、そして猫たちの災難にたちあがる猫族の姫、王蜜の君を描く6巻。人気のお江戸妖怪ファンタジイ。

白鷺あおい『ぬばたまおろち、しらたまおろち 2』(創元推理文庫)
第2回創元ファンタジイ新人賞の優秀賞受賞作『ぬばたまおろち、しらたまおろち』続編。妖怪、人間入り乱れて学ぶ魔女学校を舞台に繰り広げられる学園ファンタジイ高校生編。綾乃たちのクラスに、ロシアから半魚人の留学生ボダくんがやってきた。とても礼儀正しいいい少年なのだが、実は彼には事情が……。

シャンナ・スウェンドソン《㈱魔法製作所》シリーズ8巻
 Frogs and Kisses (2016) by Shanna Swendson/今泉敦子 訳(創元推理文庫)
Frogs and Kisses
本当にお待たせしました。ニューヨークには魔法がいっぱい! しっかり者だけど平凡な女の子ケイティと赤面症のハンサムな大魔法使いオーウェンの恋の道のりは、まだまだ平坦にはほど遠い。女性の心を鷲づかみのシリーズ、待望の最新作ついに登場。

アンナ・スメイル『鐘』
 The Chimes (2015) by Anna Smaill/山田順子 訳(四六判並製予定、秋刊)
The Chimes
両親を亡くしたサイモンはたったひとりでロンドンにやってきた。だが、ロンドンは瓦礫の街と化していた。人々はなぜか言葉と日々の記憶を失い、《オーダー》と呼ばれる支配者たちがならす鐘の音が人々を支配しているのだ。サイモンは、他者の品に触れて、持ち主の記憶を読み取り、断ち切られた過去を甦らせることができる才能を持っていた。だが、それは《オーダー》の支配に逆らう才能だった……。カズオ・イシグロを抑えて世界幻想文学賞を受賞、ブッカー賞候補にもなった、驚異に満ちた物語。


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