今月の本の話題

2018.01.01

【新年特別企画】2018年 東京創元社 翻訳ミステリ&ノンフィクション ラインナップのご案内


新年あけましておめでとうございます。

恒例となっております、元旦の特別企画! 2018年に刊行される予定の翻訳ミステリとノンフィクションのラインナップをご案内いたします。今年も一年間、選りすぐった良質の作品をご紹介してまいります。

驚愕必至の話題作、巨匠円熟の最新作、技巧を凝らしたり奇想天外な設定で勝負したりする新鋭の傑作など、各種さまざまな作品を刊行していく予定です。……どうぞお楽しみに!

本年もご愛読のほど、なにとぞよろしくお願いいたします。

(日本語タイトルは一部を除き仮題です)

【強烈プッシュ作】
■ピーター・スワンソン/務台夏子訳
『そしてミランダを殺す』※2月刊(書影は原書のものです)!
空港のバーで離陸までの時間をつぶしていたテッドは、見知らぬ美女リリーに出会う。彼は酔った勢いで、妻のミランダの浮気を知ったことを話し「妻を殺したい」と言ってしまう。リリーはミランダは殺されて当然だと断言し、協力を申し出る。だがふたりの殺人計画が具体化され決行の日が近づいたとき、予想外の事件が起こり……。男女四人のモノローグで、殺す者と殺される者、追う者と追われる者の策略と攻防を描く傑作ミステリ!

■アンソニー・ホロヴィッツ/山田蘭訳
マグパイ
『マグパイ殺人事件』
編集者の私は、ベストセラー作家アランの原稿を読み始めた。私の勤める出版社で最高の人気を誇る名探偵アティカス・ピュントが活躍するシリーズの最新作だ――。
……1977年、英国のバース近郊の小さな村である葬儀が行われようとしていた。亡くなったのはサー・マグナス・パイの屋敷の家政婦。階段から落ちて首を折ったのは、掃除機のコードに足をとられたためか……
コナン・ドイルへの敬意に溢れた傑作をものした著者による、アガサ・クリスティへの愛に満ちた出版業界ミステリ!

■レイフ・GW・ペーション(スウェーデン)/久山葉子訳
『許されざる者』※2月刊!
国家犯罪捜査局の元凄腕長官ヨハンソン。脳梗塞で倒れ、命は助かったものの麻痺が残る。そんな彼に主治医が相談をもちかけた。牧師だった父が、懺悔で25年前の未解決事件の犯人について聞いていたというのだ。9歳の少女が暴行の上殺害された事件。だが、事件は時効になっていた。ラーシュは相棒だった元刑事らを手足に、事件を調べ直す。スウェーデンミステリの重鎮による、CWA賞、ガラスの鍵賞等5冠に輝く究極の警察小説。

■アンドレアス・フェーア(ドイツ)/酒寄進一訳
アイゼンベルク
『弁護士アイゼンベルク』
凄腕の女性刑事弁護士アイゼンベルクのもとに、ホームレスの少女から弁護の依頼が持ち込まれる。彼女の友人のホームレスが、殺人容疑で逮捕されたのだ。殺されたのは若い女性で、彼女の両手はなぜか切り取られ、左右逆にして釘で頭に打ちつけられていた。しかもそのホームレスは、アイゼンベルクのかつての恋人だったのだ。若くして名声を得た物理学教授だった彼がなぜ路上生活を送り、殺人の被疑者となったのか。二転三転する事件と、熾烈極まる法廷での論述戦の果てに明らかになる、あまりに意外な犯人。傑作リーガル・サスペンス!

【巨匠たちの最新作】
ピラミッド
ヘニング・マンケル(スウェーデン)/柳沢由実子訳
『ピラミッド』
北欧ミステリの帝王、ヘニング・マンケルが生んだスーパースター、イースタ署の刑事クルト・ヴァランダー。そんなヴァランダーが初めて登場したのは、ガラスの鍵賞受賞の『殺人者の顔』だが、本書はヴァランダーがまだ二十代でマルメ署にいた頃の「ナイフの一突き」「裂け目」から、イースタ署に移ったばかりの事件「海辺の男」「写真家の死」を経て、『殺人者の顔』直前のエピソードで、墜落した飛行機と、手芸洋品店の老姉妹の殺害の二つの事件を追う「ピラミッド」に至る5つの短編を収録。若き日のヴァランダーの活躍を描いた贅沢な短編集。

キャロル・オコンネル/務台夏子訳
『チョーク・ガール』
森の中で、袋に入れられて木から吊されていた三人の人間が発見された。イカれたパーティーガール、小児性愛者、そして狂気に冒された配給所の聖女。一人は助かり、一人は手遅れ、そして一人は瀕死の状態だった。小児性愛者に誘拐されていたと見られる女の子がマロリーに保護される。ココと名乗るその少女は妖精のような顔立ち、特異な音楽的才能などからウィリアムズ症候群と診断された。ココの繊細な心を思いやるチャールズと対立しつつも、マロリーはココに犯人を思い出させようとする。マロリーと少女の奇妙な絆を描く、好評シリーズ最新刊。

ネレ・ノイハウス(ドイツ)/酒寄進一訳
Böser Wolf
上級検事が水死体の鍵を握る? 財政界の重鎮たちがかかわる大犯罪とは? 全世界でシリーズ累計700万部〈ドイツミステリの女王〉によるNO.1警察小説! 刑事オリヴァー&ピア・シリーズ第6弾!

【期待の新作登場!】
リアーン・モリアーティ/和爾桃子訳
『夫の秘密』
すべてはあの手紙がきっかけだった……屋根裏で偶然、夫の字で「死後開封のこと」と書かれた封筒さえセシリアが見つけなければ。そのときから、優しい夫と三人の娘との幸せな家庭に暗雲がたれこめる。そのころ、テスもまた夫と従妹からの衝撃の告白に動顛していた。ふたりは愛し合っているというのだ。テスは息子を連れ、母親の看病を口実に実家へと向かう。その故郷で出会ったのは、何者かに殺された娘をいまだ忘れられない老婦人レイチェルだった……開けてはいけない「パンドラの箱」を開けてしまった女性たちを描くトリッキイなミステリ。

■ロバート・ロプレスティ/高山真由美訳
『作家夫妻の日常と推理』
「僕は謎を解決することはできない。謎を生み出すことはできるけど」そう宣言しているミステリ&SF作家のシャンクス。しかし実際は、彼はロマンス小説家である妻のコーラと一緒にいくつもの「謎」に遭遇し、見事解決へと導いているのだ! 打ち合わせ中のカフェで詐欺に気づいたり、殺人容疑で捕まった作家仲間を助けたり、ミステリファンの集いで犯人当てイベントに挑んだり……。結婚20年になる作家夫妻の日常は、常に「謎」に満ちている。疲れた日の寝る前に読める、コミカルで楽しい連作短編集!

■キャサリン・ライアン・ハワード/法村里絵訳
『遭難信号』
ハリウッドを夢見て、アイルランドの小さな街で映画の脚本を書き続けてきたアダム。同棲して8年になるサラが仕事でバルセロナに出張してから5日後の帰国予定日、アパートに彼女のパスポートが送られてくる。それには「ごめんなさい。S」と書かれた付箋が貼ってあり、筆跡はサラのものに間違いないが、封筒の文字は別人のものだった。彼女は自ら失踪したのか? それとも事件に巻き込まれたのか? アダムはサラがバルセロナから出航する地中海クルーズ船に乗ったことをつきとめる。閉ざされた船上で暴かれる予想外の真実とは。アイルランド出身の新鋭が放つ巧緻なミステリ!

One of Us is Lying
■カレン・マクナマス/服部京子訳
One of Us is Lying
高校三年の五人の生徒が放課後の居残り勉強のため、理科室に招集される。だがそのなかの一人が突然苦しみだし、病院で死亡した。ほかの生徒四人は全員が彼を殺す動機を持っていた。警察はそのなかの誰か、もしくは全員が共謀して殺害したのではないかと疑惑をつのらせる。四人は自分たちの誰かが殺したと信じられず、事件を調べて真実を明らかにしようと決意するが……。全30章+エピローグのなかで、主要な四人が順繰りに事件について語っていく。――誰かが嘘をついている? 必読の現代本格ミステリ!

■エリザベス・ウェイン/吉澤康子訳
『戦火のローズ』
どんなに悲惨な状況でも、人は自分以外の誰かのために闘うことができる。MWA賞受賞作家が贈る、少女たちの抵抗と友情を描いた感涙必至の大作! 『IN★POCKET』2017年「文庫翻訳ミステリー・ベスト10」総合部門第2位に輝いた『コードネーム・ヴェリティ』姉妹編!

■ミック・ジャクソン/田内志文訳
『こうしてイギリスから熊がいなくなりました』(単行本)
サーカスが流行した時代、熊は綱渡りや空中ブランコをやらされる。つらい公演に耐えかね、三輪車に乗った熊が逃亡を図る(「サーカスの熊」)。20世紀、人間に紛れて暮らす熊のうわさが聞こえるようになった。人間の身なりで市場やホテルで働いているというのだ(「世間の熊」)。中世の熊狩りでイギリスの熊が絶滅したという史実を下敷きに、人間に虐げられた不遇の時代を経てイギリスを出て北へ向かう熊たちの姿が、皮肉とユーモアを交えて独特の世界観で描かれる。『10の奇妙な話』の鬼才が贈る8つの奇譚。

サラ・デ・フォス
■ドミニク・スミス/茂木健 訳
『サラ・デ・フォスの最後の絵画』(単行本)
大学院生時代に画商から懇願され、不本意ながら17世紀オランダの女流画家サラ・デ・フォスの贋作を製作してしまった絵画修復と美術史専門家のエミリー。その真作がしばらくして贋作にすり替えられ、持ち主だった富豪が高額の懸賞金を提示したことを知り、罪の意識におののきながら、過去を封印して生きてきたが、サラ・デ・フォスの展覧会開催にあたり、出現した二枚の同じ絵の真贋を鑑定する立場に! なぜ、あの贋作と真作がそこに揃うのか? 絵画の運命、その作品の描かれた背景と画家の苦しみ、贋作製作の過去に苦しむ学者の運命が時代を超えてからみ合う、めくるめく物語。1957年のマンハッタン、1637年のアムステルダム、2000年のシドニーを行き来する構成だが、美しく簡潔な文体で読ませるページターナー。原田マハ+ケイト・モートンというべき、ミステリアスで壮大な人間ドラマの傑作。

【人気シリーズ最新刊】
スーザン・イーリア・マクニール/圷香織訳
『ホテル・リッツの婚約者』
第二次世界大戦下、ロンドン、ベルリン、ワシントン……と活躍してきたマギー・ホープ。大切な人を救うため、今度は花の都パリへと――。ニューヨーク・タイムズ・ベストセラーシリーズ、第7巻!

■ジャナ・デリオン/島村浩子訳
『ミスコン女王の帰還 ワニの町へ来たスパイ2』
敵からのがれるため、ルイジアナの小さな町に潜伏中のCIAスパイ・フォーチュン。前作『ワニの町へ来たスパイ』で意気投合した地元婦人会の老婦人ガーティやアイダ・ベルと楽しく静かに暮らす予定が、ある女の登場でぶち壊しになる。そう、ハリウッドでひと旗あげるために町を出たミスコン女王が突如帰郷したのだ。しかも「元ミスコン女王」というウソの前歴を持つフォーチュンをライバル視し、やたらと突っかかってくる。そうこうしているうちに新たな事件が起こり……読めばたちまちファンになる、痛快シリーズ第二弾。

■レイ・ペリー/木下淳子訳
『ガイコツと演劇をする方法』
しゃべって歩く骸骨のシドは、『ハムレット』の頭蓋骨ヨリック役としての舞台デビューをひかえていた(ただし、ジョージアの娘マディソンの通う高校の演劇部で)。ある日リハーサルのあと、うっかり(!)頭部だけ部室に置き去りにされたシドは、その夜、すぐそばで争う音と殺人の瞬間を耳にする(!!)。だが部室やその付近には死体どころか事件の痕跡すらない。シドの主張の真偽を確かめるため、ジョージア親娘は調査を始めるが……。『ガイコツと探偵をする方法』に続く、キュートでほのぼの、ガイコツ・ミステリ第二弾。

エドワード・D・ホック/木村二郎訳
『怪盗ニック全仕事5』
たった一枚のビンゴ・カード、百貨店で働くサンタの付けひげ、金属製の錆びた栞……価値のないものだけを盗む、世界でただ一人の怪盗ニック・ヴェルヴェット。年齢こそ重ねつつあるが、その手腕はいっこうに衰えを知らず、窮地に陥っても持ち前の機転で切り抜ける。ライバルの泥棒〈白の女王〉サンドラ・パリスを助け、名警官と対決する「レオポルド警部のバッジを盗め」、ニックを名乗る偽者が現れる「偽の怪盗ニックを盗め」など、長寿シリーズならではの趣向を凝らした短編も楽しめる文庫版全集第5弾は、本邦初訳の9編を含む全14編を収録。

【非英語圏の俊英たち】
メンゲレの逃亡
■オリヴィエ・ゲーズ(フランス)/高橋啓 訳
『ヨーゼフ・メンゲレの逃亡』(単行本)
アウシュビッツ絶滅収容所の駅で、到着する列車から降ろされたユダヤ人たちを、ガス室行きと生存させる組にと選別する白手袋の男、それが「死の天使」と呼ばれ恐れられた医師ジョゼフ・メンゲレだ。そして、ガス室に行かなかった者の中から、人体実験用の人々をさらに選別。特に双子への関心が強く、多くの双子に非道な実験を重ねた。1945年のアウシュビッツ解放時に逃走、南米に渡り、79 年までイスラエルの秘密警察モサドの目を逃れ生き延びた。1979年にブラジルで海水浴中に心臓発作で死亡。なぜ、メンゲレは裁かれることなく逃げ続け、生き延びることができたのか? この長きにわたる逃走劇の真実と人間の本質に、冷徹で、鋭角的なノンフィクションのような筆致で迫った傑作小説です。2017年のルノードー賞受賞。さらに、ゴンクール、フェミナ、アカデミー・フランセーズ等々の文学賞の中の最高位であることを示すPrix des Prix(賞のなかの賞)を受賞。

■マルク・パストル(スペイン)/白川貴子訳
『悪女』
20世紀初頭のバルセロナ。町では幼い子供が何人も失踪していた。噂ではその血をすすり臓物を喰らう化け物に攫われたのだという。そして今日また一人、新たな子供が姿を消し、頸動脈を噛みちぎられた男の死体まで発見された。その化け物の名はエンリケタ。「私」という全知の存在が、「吸血鬼」と呼ばれた稀代の悪女の恐ろしさとおぞましさを語り尽くす。現役の犯罪捜査官が、町中を震撼させた犯罪者の実話に材を得て描いた戦慄の物語。

■フレッド・ヴァルガス(フランス)/田中千春訳
『ネプチューンの爪痕』
30年前にアダムスベルク警視の兄が容疑者のひとりとなった、ネプチューンと呼ばれる殺人鬼による連続殺人事件。今、ふたたび、ネプチューン事件と同じ手口で殺害されたと思われる女性の死体が発見された! 三つの刺し傷のある死体が……。殺人鬼ネプチューンがよみがえったのか? フランス・ミステリの女王ヴァルガスの傑作。『青チョークの男』『裏返しの男』のアダムスベルク警視シリーズの一冊、CWA賞受賞作!

【古典発掘・名作新訳版】
S・S・ヴァン・ダイン/日暮雅通訳
『カナリア殺人事件【新訳版】』
ブロードウェイで男たちを手玉に取りつづけてきた美しきマーガレット・オウデルが、密室で無残に殺害される。カナリアというあだ名の元女優殺人事件の容疑者は、わずかに四人。彼らのアリバイはいずれも欠陥があるが、犯人のきめ手の証拠はひとつもなかった。名探偵ファイロ・ヴァンスは、独自の推理手法で犯人を突き止めようとするが……。『ベンスン殺人事件』で颯爽とデビューしたヴァン・ダインがその名声を確固たらしめたシリーズ第二弾、新訳で登場!

ジョン・ディクスン・カー/三角和代訳
『盲目の理髪師【新訳版】』
大西洋をイギリスに向かう豪華客船クィーン・ヴィクトリア号で発生した、二つの盗難事件と殺人事件。大騒ぎのうちに、消えたはずの宝石は現われ、死体は忽然と消え失せる。豪華客船で何が起きているのか? フェル博士シリーズの代表作、新訳でリニューアル!

エラリー・クイーン/中村有希訳
『エラリー・クイーンの冒険【新訳版】』
大学の特別講師となったエラリーが殺人事件を学生たちと推理する「アフリカ旅商人の冒険」を巻頭に、「首つりアクロバットの冒険」「1ペニー黒切手の冒険」「七匹の黒猫の冒険」などを収録し、世界のミステリ史上に燦然と輝く大傑作短編集が新訳で登場! 原書初刊本どおりに全11編と「序文」を収録した決定版!

アガサ・クリスティ/深町眞理子訳
『ミス・マープルと13の謎【新訳版】』
ある秋の宵、ミス・マープルの家に集まった客たちは、それぞれが怪事件の話をして、その解決を推理することになった――。ミステリの女王クリスティのなかでも傑作ぞろいと名高い短編集、新訳決定版!

アイザック・アシモフ/池央耿訳
〈黒後家蜘蛛の会〉シリーズ【新版】全5巻
月に一回、ミラノ・レストランの一室で開かれる〈黒後家蜘蛛の会〉の晩餐会に集まるのは、弁護士、暗号専門家、作家、化学者、画家、数学者の六名とゲスト一名。なぜか毎回、会話の内容はミステリめいた謎かけに発展し、各人が説明のつかない難問奇問に知恵を絞る。だが解決を与えるのは、決まってもの静かな給仕のヘンリーだった。SF界の巨匠による、安楽椅子探偵ミステリ不滅の名作が読みやすくリニューアル。

ヘレン・マクロイ/駒月雅子訳
The Long Body
夫を崖からの墜死で喪ったアリスは、遺品の中からミス・ラッシュという女性に宛てた封筒を見つける。その数日後、近所に引っ越してきた女性はミス・ラッシュと名乗った。夫の死は事故ではなく、彼女が関与しているのか? やがて殺人事件が起き、アリスが発見者となる。現場から逃げだしたアリスは精神科医ベイジル・ウィリングに助けられ、突如わが身に降りかかった事件に立ち向かうことに……。サスペンスと心理学的謎解きを融合させた、ウィリング博士もの最後の未訳長編。

【必読ノンフィクション】
■デリフィーヌ・ミヌーイ/藤田真利子訳
『シリアの秘密図書館――瓦礫から取り出した本で図書館を作った人々』(単行本)※2月刊!
シリア内戦下、ダマスカス近郊の町ダラヤでは、人々が政府軍に包囲されていた。一般にダラヤはテロリストの町と報道されていたが、実際のところ彼らは自由を求める市民たちだった。砲撃に脅え、死と隣り合わせの過酷な日々。だがそんな状況下でも、散逸した本を集めて地下に「秘密の図書館」を作った人々がいた――。本に希望を見出し、知識を暴力への盾として闘った人々を描く、感動のノンフィクション。

■ジェームズ・バロン/高山祥子訳
『世界一高価な切手の物語――1セントの切手を950万ドルにした人たち』(単行本)
1814年から英領となったギアナでは道路が整備されず、郵便事情は非常に悪かった。短い道のりでさえ、郵便が届かないことは珍しくなかった。1856年、イギリス本国から送られた切手が届かなかったため、仮の切手が、地元の新聞社印刷所で印刷された。地元で使用され、特別な注意を払われることなく忘れ去られたが、これこそが1セントマゼンダである。以後1873年に6シリング、1878年に120ポンド、1922年に32,500ドルとその価値はうなぎ上りに……。切手蒐集家はもちろん、その家族、ディーラー、投資家など、この切手に関わってきた人々の姿が描かれる、魅力あふれるノンフィクション。

ヴィクトリアン・レディー
■テレス・オニール/松尾恭子訳
『ヴィクトリアン・レディーのためのセックス、結婚、その他のガイド』(単行本)
これから、あなたの好きなヴィクトリア朝時代へお連れします。たぶん、あなたは、あの時代のことをよく知っていると思っているわよね。でも、小説や絵画や映画に描かれているヴィクトリア朝時代の姿は、本当の姿ではないの。ヴィクトリア朝時代へ行ったら、そこであなたが生きていけるように、色々なことを教えるわね……。図版200点を交えて描く、ヴィクトリア朝の女性のリアルな生活とは? ニューヨークタイムズ・ベストセラーのノンフィクション!

■ミリアム・ラウィック、フィリップ・ロブジョワ/大林薫訳
『アレッポからの手紙――シリア内戦下を生きた少女の日記』(単行本)
かつてシリアの経済の中心だったアレッポはシリア分裂の象徴と化していた。フランス人ジャーナリストのフィリップ・ロブジョワは取材のため、12月15日に内戦の激戦地となっているアレッポに入る。ロブジョワはそこで、ミリアムという13歳の少女とその母親を紹介される。ミリアムは日記をつけており、シリアでデモが活発となり、紛争が激化する過酷すぎる2011年から6年間にわたる記録を残していた――。
《わたしの名前はミリアムといいます。十三歳です。わたしはアレッポのジャバル・サイデという地区で生まれ育ちました……》

久山葉子
『スウェーデンの小学校は成績をつけない――北欧子育て・移住記録』(単行本)
スウェーデンの保育園の待機期間は何か月? スウェーデンで生活する上の三大タブーって? 日本から移住してどうやって一から仕事を探した? 「理想の国」ともいわれるスウェーデン。いいところもあるけれど、悪いところももちろんある。理想の子育て環境を求めて家族三人で東京から移住した著者が、子育て・移住体験をありのままに綴るエッセイ集。



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(2018年1月1日)


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