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2018.07.19

新たな記者ミステリ傑作登場! 本城雅人『友を待つ』

友を待つ
 第38回吉川英治文学新人賞を受賞した『ミッドナイト・ジャーナル』は、誤報を打った新聞記者が七年に亘る真実を追う姿を描いた傑作ミステリ。そして、昨日7月18日に発表された第159回直木賞で残念ながら受賞を逃した『傍流の記者』は、五人の社会部記者の出世にまつわる生き様を描いた作品です。いま注目を集めている記者ミステリの担い手のひとり、本城雅人が贈る最新作『友を待つ』の登場です。

 本書が上記二作と大きく異なるのは、新聞記者ではなく、週刊誌の記者ということ。現在では、「週刊文春」を筆頭にスクープが社会問題になるほど、多大な影響があります。多少下世話な話題になってしまいますが、政治家のスキャンダルや芸能人の不倫疑惑など、週刊誌発のスクープに戦々恐々としている関係者も多いと聞きます。そんな週刊誌の裏側が垣間見えるのも本書の魅力のひとつといえます。著者の本城さんは、新聞記者時代の自らの経験と、さらに今作のためにいくつかの週刊誌を取材し、物語の奥行きを深めました。

 数々のスクープを飛ばしてきた「週刊タイムズ」の記者の瓦間慎介は、10年前にあるトラブルを起こして編集部を追われた。「親しき中にもスキャンダル」を信条に、取材対象者に独特の感性と距離感で切り込み、数々のスクープを抜きまくってきた伝説の記者と後輩たちには言われていた。そんな瓦間が、女性宅への不法侵入で逮捕されたのだ。
 退職後10年も経過しているにもかかわらず、「週刊タイムズ」の記者と警察で名乗るなど、不可解な行動を取る瓦間の真の目的を探るために、後輩記者や現在は家具職人になった元相棒、そして警察までを巻き込んで物語は転がり出す――。また、瓦間が取調中に語った「友を待つ」の意味は何なのか?

 ところで、本城さんの作品には毎回、タイムリーな話題が盛り込まれています。今作はアメリカンフットボールでしょう。
 それでは、『友を待つ』お楽しみください。


(2018年7月19日)



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