今月の本の話題

2018.07.11

半世紀以上読まれてきた傑作アンソロジー『世界短編傑作集』を全面リニューアル! 江戸川乱歩編『世界推理短編傑作集1』

世界推理短編傑作集
1960年初版で、2018年に至るまで半世紀以上読み続けられてきた傑作アンソロジー『世界短編傑作集』(全5巻)。7月12日、この全面リニューアルである『世界推理短編傑作集』の第1巻が刊行となります。

『世界短編傑作集』は巨匠・江戸川乱歩が愛読する珠玉の名作を厳選して全5巻におさめたものです。翻訳ミステリの入門書として、たくさんの方に手に取られてきました。数多くのミステリ・ファンが、このアンソロジーを読んで古典ミステリの世界に親しんできたのではないでしょうか。

このアンソロジーの原型は、1956年1月に刊行を開始した「世界推理小説全集」の中の、第50巻、51巻『世界短篇傑作集』の(一)および(二)でした(57年4月、および9月刊)。これが好評だったため、第71巻として『世界短篇傑作集(三)』が追加されました。そしてこれを文庫化したものが、『世界短編傑作集』全5巻です(以下、「旧版」と記します)。この際に作品を発表年代順に並べ替え、推理短編の歴史を俯瞰しようという意図のもとに、新たに9編が追加されました。さらに今回タイトルを変更し、前東京創元社会長でありミステリ研究家の戸川安宣氏によって60年ぶりにリニューアルすることになったのが、『世界推理短編傑作集』です。

『世界推理短編傑作集』の特色をご紹介いたします。

①エドガー・アラン・ポオ「盗まれた手紙」(1844)から1950年代に至るまでの珠玉の海外短編ミステリを年代順に集成しました(旧版から目次の変更があります)。

②創元推理文庫内での重複を避けて旧版で収録を見合わせたエドガー・アラン・ポオ、アーサー・コナン・ドイル、G・K・チェスタトンの作品をおさめました。

③ロシア語やドイツ語の作品で旧版では英語からの重訳だったものは、原語からの翻訳に変更しました。

④各巻新カバーでお贈りいたします。装画は伊藤彰剛さん、装幀はFragmentの柳川貴代さんです。

⑤戸川安宣氏による新解説(「短編推理小説の流れ」)となりました。

1巻の旧版からの主な変更点は、下記リンク先の詳細をご確認ください。

世界推理短編傑作集〈1〉【新版】

詳細で明記しておりますが、今回、「ダブリン事件」が新訳となりました!

「ダブリン事件」は、〈隅の老人〉シリーズの一作です。〈ロイヤル・マガジン〉の1902年9月号に掲載されました。その後この作品は1909年、ロンドンのグリーニング社からTHE OLD MAN IN THE CORNER のタイトルで刊行された短編集に収録されましたが、その際にさまざまな変更が加えられました。特に、雑誌掲載時にはポリー・バートンの一人称だったのですが、単行本では三人称になっており、事件の起こった時期も変わっています。

旧版の「ダブリン事件」は、宇野利泰先生に単行本を底本にしたエラリー・クイーンのアンソロジーから翻訳していただいておりましたが、今回、底本を初出である〈ロイヤル・マガジン〉に変更し、『隅の老人の事件簿』と同様、深町眞理子先生にあらたに翻訳していただきました。ご堪能いただけますと幸いです。

世紀の必読アンソロジーをお見逃しなく!

(2018年7月11日)



ミステリ・SFのウェブマガジン|Webミステリーズ! 東京創元社
バックナンバー