今月の本の話題

2018.06.26

自分の心にねじを巻けるのは、自分だけ。柚木麻子『ねじまき片想い』

ねじまき片想い
『ランチのアッコちゃん』が大ヒットしテレビドラマ化、そして『ナイルパーチの女子会』で第28回山本周五郎賞を受賞。その後も『本屋さんのダイアナ』『BUTTER』『デートクレンジング』など話題作を次々と刊行している著者による、最新文庫『ねじまき片想い』のご紹介です。

浅草にある老舗おもちゃ会社で敏腕プランナーとして働く富田宝子は、取引先のデザイナー西島に5年も片想い中。こっそり仕事を回したり、栄養面を考え抜いた差し入れをしたり、だめんず気味の西島の世話を何くれと焼いているのですが、一向に告白する勇気が持てずにいます。トラブル引き寄せ体質なのか、そんな西島には次から次へと災難が降りかかり……。宝子はここが自分の力の発揮しどころ、と彼を助けるべく、持ち前の機転と自社のおもちゃを駆使して、トラブルを解決していきますが――。
宝子は西島に想いを伝えることができるのでしょうか。そして同僚も同居人も巻き込んだ彼女の恋の行方は。

本書は浅草が舞台になっています。隅田川の水上バスで宝子が通勤していたり、浅草寺や、スカイツリーや花やしきが事件の舞台になっています。さらに天丼の美味しいお店や三社祭や浅草カーニバルといったイベントまで登場します! 本書を片手に「あ、ここが宝子が飛び回っていたところだな」と浅草を巡るのも楽しいですよ。


単行本刊行時に読者モニターの方々からも絶賛の声がたくさん届きましたので、改めてその一部をご紹介します。

「女の子は砂糖とスパイスと素敵な何かでできている」
宝子さんをみていて、ふとそんな童謡を思い出しました。あまくて可愛くて、ふわふわしている表面を暴けば、ちょっと見てはいけないものが中で渦巻いている。容姿も良く、才能があり仕事もできて、でもストーカーばりに5年も片思い。女の子って不思議な生き物ですね。
(迫さん)

もう夢中で、一気読みしてしまった。この物語、わが道を行く女の子たちへ贈る応援歌だと感じました! 自分の世界を大切にする宝子さんは、内にこもる引きこもり体質というわけじゃない。大好きな人のためなら、どんどん外に働きかけ、行動を起こせる。その、目を見張るほど恐るべき行動力! 宝子さんは、本当に変な子だ。でも、愛すべき変な子であり、彼女はとても気高い。初恋が人より遅くたって全然構わない。恋の形だって、自分流で良いんだよ。
(えびあささん)

はらはらしながら最後に宝子の出した決断にびっくり。爽やかな気持ちになりました。2回3回と読み返す度に、胸に響く言葉がきらきらと心に落ちてきます。「女友達と仕事と趣味さえあれば男なんか必要ない」には笑ってしまいました。浅草の素敵スポットがちりばめられた、観光案内的な読み方も出来る本でもあります。
(佐藤みつ子さん)

「自分の心にねじを巻いてくれるのは、自分だけだもの」
という言葉にとても勇気をもらいました。この素敵な言葉を私も胸に刻んでおこうと思います。
(kai_souさん)

一人でいればくじけることもあるし、泣きたいことも多々ある。そういった時に読み返したい小説であり、仕事をすつ上でも、人生を生きる上でも、何か芯が一本通っていなければ意味がないということを改めて再確認できた小説だった。
(ゆかりさん)

西島のためなら盲目的になってしまうアラサー女の片想いパワーと、パズルがぱちっとはまっていくみたいに事件を解決していく様子がとても痛快で面白かったです。(ちからを注ぐ方向性は間違っているけれど)恋愛にも仕事にも全力な宝子の姿に元気付けられました。
(Sallyさん)

ほんとはちょっぴりこんなゆるふわ風の女の子は苦手だなあ…と思いながらも読んでいくうちに宝子を応援したくなる。そうよ、あんた自己完結しすぎなのよ! って同僚と一緒に肩を叩きたくなる。 謎を解きながら自分の頑なさも解いていく宝子をまたみたいな。
(かっこーさん)


(2018年6月26日)



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