死後開封のこと 上

死後開封のこと 上
 セシリアはハンサムな夫と可愛い三人の娘と、シドニーで暮らしていた。有能な主婦であり、やり手のタッパーウェアのセールスマンでもあり、娘が通う聖アンジェラ小学校のPTA会長でもある。
 そんな彼女が自宅の屋根裏を片付けていたときに、ふと見つけた一通の手紙。ビジネス用の白封筒に見慣れた夫の字で「妻へ わたしの死後に開封のこと」と書かれていた。
 ——もし、そんな手紙をみつけてしまったら、あなたならどうしますか? その場で開けて中を読んでしまう? いったいなんのことか夫に問い質す? それとも素知らぬ顔でもとのところに戻しておく?——
 最初は我慢していたセシリアだったが、どうしても好奇心を抑えきれず手紙を読んでしまう。そこに書かれていたのは……(何が書かれていたのか知りたい方はぜひ『死後開封のこと』をお読みください)驚愕の事実だった。
 開けてはいけないパンドラの箱を開けてしまったその日から、セシリアの毎日はこれまでとは違うものになってしまう。

 一方、夫と従妹の三人で小さな宣伝広告会社をたちあげ軌道に乗せたテスも、予想外の事態に直面していた。なんと夫のウィルと従妹のフェリシティが愛し合っているというのだ。テスはショックを受け、とにかく二人から離れようと、息子を連れて実家のあるシドニーに向かう。
 シドニーで息子を自分の母校である聖アンジェラ小学校に転校させたテスは、そこで学校の事務員をしている老婦人レイチェルに出会う。
 レイチェルはかつて高校生だった娘のジェイニーを何者かに殺害されていた。犯人は捕まらず、それ以来レイチェルは、自分が犯人だと目星をつけた人物の尻尾をつかもうとしていた。

 セシリア、テス、レイチェル、聖アンジェラ小学校で出会った、それぞれの秘密を胸に生きる三人の女性たち。
 運命は彼女たちを衝撃の事件へと導いていく……。

 エミー賞8部門、ゴールデングローブ賞4部門を受賞したTVドラマシリーズ『ビッグ・リトル・ライズ』原作『ささやかで大きな嘘』の著者リアーン・モリアーティの最高傑作!


(2018年5月29日)



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