今月の本の話題

2018.04.05

転校先で出会ったのは、超絶美形の男子4人組! ケルスティン・ギア『緑の扉は夢の入口』

 日本でも大人気を博したドイツ発のタイムトラベル・ファンタジー〈時間旅行者の系譜〉をご記憶でしょうか?
 ある日いきなりタイムトラベラーの能力が発動したグウェンドリンが、気絶しそうなほどステキだけど性格の悪い相棒ギデオンと一緒に時を超えて、盗まれたクロノグラフの謎に挑む『紅玉は終わりにして始まり』『青玉は光り輝く』『比類なき翠玉』の三部作。
 ドイツでは3部作が続けて映画化される人気ぶり、日本でもWOWOWで放映されました。

 その〈時間旅行者の系譜〉の著者が新たに選んだのが「夢」の世界。そう、今度は〈夢の書〉三部作なのです!
 舞台はロンドン。(なぜか著者はドイツ人なのにロンドンを舞台にするのがお好きみたいです。前作もそうでした)
 母親の仕事の都合で、母親と妹と一緒にスイスからロンドンに引っ越してきたリヴ・ジルバー。八年で六度目の引っ越し……。母親は博士号をふたつも持つ学者で、ほとんど毎年別の大学で教えているせいで、この八年で六回も違う国に引っ越す羽目になっている。 (ちなみにエンジニアの父親は離婚して独り暮らしをしている)
 十年来の夢がかなって、母親がオックスフォード大学で教えることになったので、一家(ママとリヴとミア)は郊外に18世紀に建てられた小さなコテージを借りたのだ。ついに根無し草ではなくなる! 期待に胸を膨らませるリヴだったが、空港で待っていたのはちょっとした(!)計画変更だった。母親の新しい恋人アーネスト・スペンサーのロンドンの家に同居することになってしまったのだ!!
 スペンサー家は父親のアーネスト、双子のグレイソンとフローレンス、家政婦のミセス・ディンブルビー、猫のスポット。そこにリヴの母親アン、リヴ、妹のミア、ふたりのナニーでドイツ人のロッティ、そして愛犬のプリンセス・バターカップが加わったのだから、少々、いや相当ごたついても無理はない。
 夢の田園生活は彼方に消え去り、スペンサー家に同居する窮屈な生活が始まった。

 ロンドンの高級住宅街にあるフログナル・アカデミーに転校したリヴが出会ったのは、全女子生徒憧れの的である、上級生の美形男子四人組。恒例の「秋の舞踏会」で、誰が彼らのパートナーになるかが、女子の注目の的なのだ。
 金髪で天使のように完璧な容姿のアーサー、ハチミツ色のくしゃくしゃの髪に灰色の眼をしたヘンリー、バービー人形のケンそっくりな(編集者はこの“ケン”が美形だという著者の意見にどうしても同意できない)ジャスパー、そしてリヴとミアの義理の兄(になりそうな)グレイソン。
 秋の舞踏会は上級生のための催しだというし、所詮自分は関わりがないと思っていたリヴだが、ある晩夢のなかで、扉がたくさんある長い廊下で見つけたグレイソンのあとをつけ、例の4人組がハイゲート墓地(夢の中だが)に集合しているのを知る。
(夢のなかとはいえ)いったい彼らは墓地なんかで何をしているのだろう……。
 好奇心にかられたリヴは、わけもわからぬままに深入りすることに……。

 不思議な不思議な夢の世界を舞台にした、ロマンティック・ファンタジー三部作開幕!

(2018年4月5日)



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