今月の本の話題

2018.04.09

何者にもなれなかった創作者への哀悼と祈り、そして謎。紅玉いづき『現代詩人探偵【文庫版】』

現代詩人探偵
2016年に単行本を刊行した際に大きな反響を呼んだ、紅玉いづきさん『現代詩人探偵』『ミミズクと夜の王』などファンタジイの名手として知られる紅玉さんが、初めて執筆したミステリの本書が、いよいよ文庫化します!

『現代詩人探偵』は、詩人たちの死にまつわる謎を追う探偵行と、創作の業を共に描くという唯一無二のミステリです。探偵も、死者も、詩人。詩人だからこその苦悩、周囲の不理解による孤独、引き起こされた悲劇が、全編にわたってじっくりと描かれています。

本書で取り上げられるのは「詩」ですが、これは小説、漫画、音楽など他の創作ジャンルに当てはめても通じると思います。命を懸けてまで傑作を生み出したいという執念。プロになれないと薄々分かっていても、創作をやめられない未練。そして、何があっても創作と向き合い続けるという覚悟。

“何者にもなれなかった創作者”への哀悼と、死者たちの過去を探り、解き明かされる真実。紅玉さんが本書にどんな想いを込めたのかは、ラストシーンで如実に描かれていると思います。
「僕の詩は、推理は、いつか誰かの救いになるだろうか」――現代詩人探偵である“僕”が、物語の最後に抱いた決意とは? 心震える謎と祈りの物語を、どうぞ噛みしめてお読みください。

合わせて、単行本刊行時の記念インタビューや、書店員さんからの熱いメッセージも、ぜひ。

(2018年4月9日)



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