「モリーに宇宙服が出はじめたのは春だった。」――肌が宇宙服に変わって飛んでいってしまう人々、恋人に贈られた手編みセーターの中で迷子になる男、誰もが常に金魚鉢を抱えていなければいけない星でのバカンス、自分の寝言を録音しようとした男が味わう恐怖……とびきり奇妙でどこか優しく切ない、奇想に満ちた短編集。岸本佐知子による本邦初訳の一編を追加し、待望の文庫化。2001年度フィリップ・K・ディック賞候補作。解説=渡邊利道
本書『月の部屋で会いましょう』は、2014年に創元海外SF叢書より刊行され話題となった短編集の、待望の文庫化です。
文庫化にあたっての一番のポイントは、訳し下ろしの短編「フィッシュ・ケーキ」(岸本佐知子訳)を追加収録したこと。
おかしくてやがて悲しい、実にヴクサヴィッチらしく奇想に満ちたSF短編で、SFファンも海外文芸ファンもきっと満足していただけるものと思います。ちなみに長さは30ページほど(収録作中で一、二をあらそう長さ)で、読みごたえもばっちり。
9月15日の刊行ですので、楽しみにお待ちくださいませ。
* * *
くらり「文庫版描き下ろしの新カバーイラストには、ねこが3びきいるらしいニャ!
えーと、いっぴき、にひき。あれ、さんびきめは?
……あっ、みーつけた! こんなところにかくれてたニャ。
みんなもぜひ、自分でたしかめてみてニャ~」