今年の年刊日本SF傑作選『行き先は特異点』がいよいよ本日28日に発売となります。 今回で10冊目……! 毎年楽しみにしてくださっているみなさま、本当にありがとうございます。
初めて知ったよという方、こんにちは。
年刊日本SF傑作選は、翻訳家で書評家の大森望さんと、編集者でアンソロジストの日下三蔵さんのお二人が編む年度別ベストアンソロジーです。
2008年、最初の1冊『虚構機関』で幕を開け、2009年にシリーズ内企画として〈創元SF短編賞〉の公募が始まりました。
創元SF短編賞からは、松崎有理さん(第1回)、宮内悠介さん(第1回山田正紀賞)、高山羽根子さん(第1回佳作)、酉島伝法さん(第2回)たちがデビューしています。 2010年発売の『量子回廊』から、創元SF短編賞の受賞作を収録するようになりました。

10年目の記念撮影。ずらっと並べてみました。

tokuiten1.jpg こうして見ると壮観ですね!(一部光っててスミマセン……)
ん? 不思議な並べ方だと思いましたか?
テーブルが狭いから3冊ずつしか置けなかった……いいえ、違うんです!
今回の「後記」で大森さんが書いてくださっていますが、『年刊日本SF傑作選』は3冊ごとに違うイラストレーターさんに装画をお願いしています。
一番上の三冊、『虚構機関』『超弦領域』『量子回廊』は岩郷重力さん。岩郷さんは1冊目からこれまでずっと、装幀を手がけてくださっています。
二段目の『結晶銀河』『拡張幻想』『極光星群』はNakaba Kowzuさん。三段目の『さよならの儀式』『折り紙衛星の伝説』『アステロイド・ツリーの彼方へ』は鈴木康士さん。 そして、今回の装画は加藤直之さんにお願いしました。
みなさん、加藤さんがこの絵に隠したあるいたずらに気づきましたか?
「なんのこと?」と不思議に思った方は、オビをとって、もう一度よく眺めてみてくださいね。

先日、今年の年刊傑作選のラインナップを紹介した記事でも書きましたが、このアンソロジーの収録作は編者の大森望さん、日下三蔵さんが推薦作リストを出し合い、ページ数の制限(ごめんなさい……)のもと、全体のバランスや初出媒体などさまざまな条件を考慮して収録作を考えています。
今回は創元SF短編賞受賞作(久永実木彦さん「七十四秒の旋律と孤独」)を加えた20編が収録されていますが、リスト段階ではもっともっとたくさんの候補作が挙がっていました。
「すみません、ページ数を計算したらもうあと××ページ分しか入りません……」「えーっ!」というやり取りを何度も重ねたことを思い出します。
そのあたりのことは日下さんが今回の「序文」で詳しく書いてくださっているので、ぜひお読みください。

『年刊日本SF傑作選』はメインの収録作品のほかにも、その年の創元SF短編賞の選評や、大森望さんによる「日本SF界概況」などなど巻末資料が充実しているのも魅力のひとつです。
各巻の序文や後記からもその年の日本SFの収穫・日本SF界の景色が伝わってくるので、既刊をお持ちの方は改めて読み直してみると面白いですよ。

tokuiten2.jpg というわけで、10年目を迎えた年刊日本SF傑作選、『行き先は特異点』は7月28日発売です。
どうぞよろしくお願いします!

(2017年7月28日)



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