今月の本の話題

2018.07.20

世界的ベストセラー作家が描く姉妹の謎。ルシンダ・ライリー『影の歌姫』

○最新作 次女アリーの物語『影の歌姫』

影の歌姫 上
 アリーことアルキュオネー、レマン湖のほとりに建つおとぎの城のような館〈アトランティス〉で育った血の繋っていない六人姉妹の次女。フルート奏者にして、プロのヨット選手。しっかり者で、いつも姉妹のリーダー的存在だった。

 養父パ・ソルトの死の知らせを妹たちから電話で聞いたとき、アリーは最愛の人セオと共に、地中海の島に錨を降ろしたヨットの上にいた。父が死んだ? だがアリーはその前日、父の豪華ヨット〈タイタン号〉を地中海上で目撃したばかりだった。おかしなことに〈タイタン号〉はセオの無線に答えず、無言で去って行ったのだ。あのときには養父はすでに亡くなっていたということ? いったい何が起きていたのか。
 そして悲しみと喪失感をこらえ、前に進もうとするアリーにさらなる悲劇が襲いかかる。

影の歌姫 下
 度重なる衝撃に打ちのめされたアリーは、亡き父が遺してくれた、自分の出生の地を示す座標に従い、極北の地ノルウェーに向かった。父が最後に聴いていたグリーグの『ペール・ギュント組曲』、父の書斎にアリーに宛てて遺されていたノルウェー語の伝記『グリーグとソルヴェイグとわたし』、すべてがアリーをひとつの場所に導いていた。
 ノルウェー南西部の町ベルゲンにあるグリーグ博物館。そこでアリーは彼女の人生を大きく変えることになる人物に出会う。偉大な作曲家グリーグと歌姫アンナの物語にまつわる謎が解けるとき、アリーの出生の秘密が明らかになる。

 世界的ベストセラー作家が謎に満ちた姉妹の運命を描く、好評シリーズ第二弾。



『蘭の館』

蘭の館 上
 レマン湖のほとりに建つおとぎ話の城のような館〈アトランティス〉。館の主は富豪で、世界中から六人の女の赤ん坊を迎え、この館で養育した。美人のマイア、リーダー格のアリー、仲裁役のスター、現実主義者のセセ、慈愛の人ティギー、情熱の人エレクトラ。養女たちはそれぞれプレアデス星団にちなんで命名され、愛情をこめて育てられた……。

 長女で翻訳家のマイアは滞在先のロンドンで養父の突然の死の知らせを受けた。全てを放り出して至急館に帰ったものの、養父の遺体は遺言によってすでに水葬されてしまい、対面も叶わない。何故自分たち娘にまで秘密で葬られなくてはならなかったのか? 
 マイアは自分たちが養父について何も知らないことに愕然とする。

蘭の館 下
 悲嘆に暮れる娘たちに養父が遺したのは、天球儀に刻まれた各々の名前と、出生地らしい座標の数字だった。

 マイアの座標が示すのは、ブラジル、リオ・デ・ジャネイロにある名家アイレス・カブレル家の屋敷〈蘭の館〉。「ここがわたしが生まれた家なの?」希望と不安を胸に屋敷を訪ねたマイアだったが、当主の老女に手ひどく拒絶される。だが、老女のメイドが密かにマイアに渡した手紙から浮かびあがってきたのは、ひとりの女性の哀しい物語と、一族の秘密だった……。

(2018年7月20日/2017年7月20日)



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