みなさまこんにちは。翻訳班Sです。そろそろ、『静寂――ある殺人者の記録』(トーマス・ラープ著、酒寄進一訳 )の刊行が近づいてきました! 6月13日ごろ発売の本書について、読者モニターさんのコメントとあわせてご紹介したいと思います。
*あらすじ
蝶の羽ばたき、彼方の梢のそよぎ、草むらを這うトカゲの気配。カールは、そのすべてが聞こえるほど鋭敏な聴覚を持って生まれた。あらゆる音は耳に突き刺さる騒音になり、赤ん坊のカールを苦しめる。息子の特異さに気づいた両親は、彼を地下室で育てることにした。やがて9歳になった彼に、決定的な変化が訪れる。母親の入水をきっかけに、彼は死という「静寂」こそが安らぎであると確信する。そして、自分の手で、誰かに死を贈ることもできるのだと。――この世界にとってあまりにも異質な存在になってしまった、純粋で奇妙な殺人者の生涯を描く研ぎ澄まされた傑作!
本書『静寂――ある殺人者の記録』 は、本屋大賞「翻訳小説部門」第1位に輝いたフェルディナント・フォン・シーラッハ『犯罪』などを翻訳されている、ドイツ文学翻訳家の酒寄進一先生の持ち込みによって翻訳刊行されることになりました。先生がドイツ語で本書を初めて読んだとき、主人公カールのあまりに奇妙な生涯にとてつもなく衝撃を受けたそうです。『犯罪』と同じように、 この小説は絶対に日本の読者に紹介するべきだと強く感じたということです。
酒寄先生から読者のみなさんへのメッセージをいただいています。
担当編集者であるわたしも、翻訳原稿を読んだときに、あまりに研ぎ澄まされた小説としての「凄み」に驚きました。そして、蝶の羽ばたきさえも聞こえてしまうという異質な人間の生涯を見事に描ききった、著者のイマジネーションの豊かさに感嘆するばかりでした。短く美しい文章でつづられていくカールの行動や思考は、すごく奇妙で、それでいて何かとてつもなく純粋だと感じられるのです。さらに、結末に訪れる驚き! 読み終わったあとにまた最初から読み返したくなるような、すばらしい余韻が感じられます。
また、読者モニターさんからも絶賛の声が届いています! あまりにたくさんのコメントをいただいたため、抜粋してご紹介いたします。
■たまこさん
面白かったか、つまらなかったか、二択なら断然面白かったという答えしかないのだけれど、こんな単純な言葉では片づけることの出来ない読後感。
出てくる登場人物の中に誰でも自分を見つけられるのではないか。主人公の母親、父親、隣人。
おどろおどろしい話を淡々と美しく紡いでいく作者の力量に感服。この作者の次の作品も読んでみたい。
■N.A.さん
たった今読み終わったところです。ページターナーな作品でした!一気に読んでしまいました。
酒寄進一さんの翻訳はさすがの読みやすさで、全くひっかかりを感じませんでした。本当に読みやすかったです。楽しい読書時間をありがとうございました。
■崇島慎一さん
これは、果たして〝ハッピーエンド〟なのか、〝バッドエンド〟なのか。……複雑な後味が残るラストで、また印象深さが増していく。忘れられない物語に、また出会うことができた。
■Y.H.さん
読んでいて辛くなる展開が多いにもかかわらず、ドキュメンタリータッチの真に迫る文章にページをめくる手が止まりませんでした。カールの自己完結している様がとても現代的で悲しいです。
■陽気妃さん
多くの人が彼によって殺されてゆくが、そのシーンはまるで静かな音楽を聴いているようだ。昨今流行りの血なまぐさい描写が無く、詩的なリズムに満たされているから。
■まめけんさん
正義と悪。愛と生と死。物語にとって普遍のテーマであるこれらについて、あらためて考えさせられた。
■週末読書記録さん
この本を、どんな人に薦めるかといわれると、とても難しいというのが正直なところです。ですが逆に言うと、『どんな人にも』『どんな時に読んでも』『何かに引きこまれ、何かが心に残る』作品であるといえると思います。
ただ静かに、静寂の中で読み進める。
そんな不思議な体験を、たくさんの方にもしていただきたいと、強く思います。
■森 茜さん
彼のことは理解できないし、共感しようとも思わない。
ひとりの、ある特異な人間の生涯を傍観した。ただそれだけだった。
けれど、最後のページを読み終えて私の耳にしんと響いた静寂がとても貴重なものに思えた。
■Y.A.さん
異能を持って生まれた人間の生涯を描く傑作が、また一つ誕生した。
短かい章立てで“次”を予告し読ませるリーダビリティ、荒唐無稽のようでいて奇妙にリアルな主人公の異人ぶりの描写も見事。
■あおふみさん
訳者酒寄氏はこの詩的で深い森の中をひたひた歩くような雰囲気を大切にしたのだろうと感じる。短くて美しい文章たち。これこそが作品世界にのめりこむチケットなのかもしれない。
本当に夢中になれる、素敵な作品でした。
読者モニターのみなさま、すてきな感想コメントをありがとうございました! こちらに掲載できなかったコメントも、すべて拝読して酒寄先生にもお送りしております。
『静寂――ある殺人者の記録』は6月13日ごろ発売です。濃密な読書体験を保証いたします。どうぞお手にとってみてください!!
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*あらすじ
蝶の羽ばたき、彼方の梢のそよぎ、草むらを這うトカゲの気配。カールは、そのすべてが聞こえるほど鋭敏な聴覚を持って生まれた。あらゆる音は耳に突き刺さる騒音になり、赤ん坊のカールを苦しめる。息子の特異さに気づいた両親は、彼を地下室で育てることにした。やがて9歳になった彼に、決定的な変化が訪れる。母親の入水をきっかけに、彼は死という「静寂」こそが安らぎであると確信する。そして、自分の手で、誰かに死を贈ることもできるのだと。――この世界にとってあまりにも異質な存在になってしまった、純粋で奇妙な殺人者の生涯を描く研ぎ澄まされた傑作!
* * *
本書『静寂――ある殺人者の記録』 は、本屋大賞「翻訳小説部門」第1位に輝いたフェルディナント・フォン・シーラッハ『犯罪』などを翻訳されている、ドイツ文学翻訳家の酒寄進一先生の持ち込みによって翻訳刊行されることになりました。先生がドイツ語で本書を初めて読んだとき、主人公カールのあまりに奇妙な生涯にとてつもなく衝撃を受けたそうです。『犯罪』と同じように、 この小説は絶対に日本の読者に紹介するべきだと強く感じたということです。
酒寄先生から読者のみなさんへのメッセージをいただいています。
■静かに心に響くこの作品をご賞味あれ
『静寂』をはじめて読んだときは衝撃でした。こんな人生があるとは。主人公カールは赤ん坊のときから聴覚が人一倍鋭敏で、泣き止まなかったことが、すべてのはじまりでした。両親は音の届かない地下で彼を育てます。社会の価値観と切れた環境で育った彼は、静かであることが幸福だと信じ、周囲の人々を幸福にしたいがばかりに静かにしていきます。つまり殺人に及ぶ。
本書のテーマはずばり「愛情表現としての殺人」。さてその行き着く先は……恐いもの見たさでぜひ読んでみてください。(酒寄進一)
担当編集者であるわたしも、翻訳原稿を読んだときに、あまりに研ぎ澄まされた小説としての「凄み」に驚きました。そして、蝶の羽ばたきさえも聞こえてしまうという異質な人間の生涯を見事に描ききった、著者のイマジネーションの豊かさに感嘆するばかりでした。短く美しい文章でつづられていくカールの行動や思考は、すごく奇妙で、それでいて何かとてつもなく純粋だと感じられるのです。さらに、結末に訪れる驚き! 読み終わったあとにまた最初から読み返したくなるような、すばらしい余韻が感じられます。
また、読者モニターさんからも絶賛の声が届いています! あまりにたくさんのコメントをいただいたため、抜粋してご紹介いたします。
■たまこさん
面白かったか、つまらなかったか、二択なら断然面白かったという答えしかないのだけれど、こんな単純な言葉では片づけることの出来ない読後感。
出てくる登場人物の中に誰でも自分を見つけられるのではないか。主人公の母親、父親、隣人。
おどろおどろしい話を淡々と美しく紡いでいく作者の力量に感服。この作者の次の作品も読んでみたい。
■N.A.さん
たった今読み終わったところです。ページターナーな作品でした!一気に読んでしまいました。
酒寄進一さんの翻訳はさすがの読みやすさで、全くひっかかりを感じませんでした。本当に読みやすかったです。楽しい読書時間をありがとうございました。
■崇島慎一さん
これは、果たして〝ハッピーエンド〟なのか、〝バッドエンド〟なのか。……複雑な後味が残るラストで、また印象深さが増していく。忘れられない物語に、また出会うことができた。
■Y.H.さん
読んでいて辛くなる展開が多いにもかかわらず、ドキュメンタリータッチの真に迫る文章にページをめくる手が止まりませんでした。カールの自己完結している様がとても現代的で悲しいです。
■陽気妃さん
多くの人が彼によって殺されてゆくが、そのシーンはまるで静かな音楽を聴いているようだ。昨今流行りの血なまぐさい描写が無く、詩的なリズムに満たされているから。
■まめけんさん
正義と悪。愛と生と死。物語にとって普遍のテーマであるこれらについて、あらためて考えさせられた。
■週末読書記録さん
この本を、どんな人に薦めるかといわれると、とても難しいというのが正直なところです。ですが逆に言うと、『どんな人にも』『どんな時に読んでも』『何かに引きこまれ、何かが心に残る』作品であるといえると思います。
ただ静かに、静寂の中で読み進める。
そんな不思議な体験を、たくさんの方にもしていただきたいと、強く思います。
■森 茜さん
彼のことは理解できないし、共感しようとも思わない。
ひとりの、ある特異な人間の生涯を傍観した。ただそれだけだった。
けれど、最後のページを読み終えて私の耳にしんと響いた静寂がとても貴重なものに思えた。
■Y.A.さん
異能を持って生まれた人間の生涯を描く傑作が、また一つ誕生した。
短かい章立てで“次”を予告し読ませるリーダビリティ、荒唐無稽のようでいて奇妙にリアルな主人公の異人ぶりの描写も見事。
■あおふみさん
訳者酒寄氏はこの詩的で深い森の中をひたひた歩くような雰囲気を大切にしたのだろうと感じる。短くて美しい文章たち。これこそが作品世界にのめりこむチケットなのかもしれない。
本当に夢中になれる、素敵な作品でした。
* * *
読者モニターのみなさま、すてきな感想コメントをありがとうございました! こちらに掲載できなかったコメントも、すべて拝読して酒寄先生にもお送りしております。
『静寂――ある殺人者の記録』は6月13日ごろ発売です。濃密な読書体験を保証いたします。どうぞお手にとってみてください!!
(2017年6月12日)
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