今月の本の話題

2017.05.25

〈アイアマンガー三部作〉第2部『穢れの町』読者モニターの声を一足お先にお届けします

 第1部『堆塵館』を読んだ読者の皆様から、「続きが待ちきれない!」「早く2巻を!」と悲鳴があがる〈アイアマンガー三部作〉
 その熱いご要望にお答えして今回もゲラ版読者モニターを実施しました。

 ロンドンに追放された塵屋敷版ロミオとジュリエットの運命やいかに……。
 というわけで、気になった皆様、是非第2部『穢れの町』をお読み下さい。

*30代 女性
 病院で点滴を受ける間に一気に読み終えてしまった。『堆塵館』と変わらず、読み手を別世界に連れていってくれる力強い筆致。お屋敷と古道具の埃っぽくどこか懐かしい空気を後にして、主人公クロッドは混迷を極める外界へ。モノが人間に、人間がモノに変身したかと思えばすぐに逆になり目まぐるしい。前作『堆塵館』のレビューで「付喪神」という言葉を見かけた。年古りたモノに魂が宿れば、人間とモノとの境もぼやけてゆく。モノとゴミの奔流が物語を呑み込み、クロッドもヒロインのルーシーも渦の中へ。ディケンズというよりはフィリップ・プルマンのスチームパンク、映画なら『ロスト・チルドレン』や『パンズ・ラビリンス』の目くるめく悪夢。

*40代 女性
 一巻の壮大な設定、個性的な登場人物の数々は二巻でも健在。それどころかますますスケールアップし、館の中から穢れの町へと広がっていく。なぜ物に名前があるのか、人と名前の関係。一巻のラストがどのように繋がっていくのか。そして、とにかく強いぞルーシー、不屈の闘志。
 私が最も心惹かれたのは「ビナディッド」。どこかしら『指輪物語』のゴクリを彷彿とさせる……しかし彼よりもずっと善良で無垢な魂……の彼。最初、彼のいう「ボットン」とはてっきり「ボットン便所」なのだと思い込み、とんでもない勘違いをしていたと気づくまで、私の脳裏に浮かんでいた絵面はとてもではないけれど口に出して表現できるものではない……。
 魅力的なキャラクターが次々と出てきて、それぞれが己の役割、運命を担っている。全てが複雑に絡み合いながら、歴史上のロンドンと重なり合っていくその妙。現実とは全く関係のない物語で、たまに出てくるロンドンという言葉もただの地名にしか聞こえなくなっていたのに、不意にこれは架空歴史小説なのだと眼前に突きつけてくる巧みさ。
 世界設定も人物設計も何もかもが飛び抜けている。比類なき才能。
 作者の作品をこれからもどんどん復刊・出版してほしい。
 何はともあれ、第3巻は絶対に、ええ絶対に!  出してくださいね。この結末が読めなければ、東京創元社さんの外側に巨大な塵の山が築かれ雪崩れてくるように、夢の中で祈ります。
 続きが楽しみで待ちきれません。

*50代 女性
 週末に時間を取って、集中して読んでみた。最初は10シリング金貨がどうなるのかと、はらはらし、やがて、人と物が簡単に入れ替わるという病気に遭遇する。これは転生の話しかと思っていたら、それとも違う。
 ゴミの山は寓話で、ロンドンと街を隔てるなにか、組織のようなものの怖さを感じた。主人公はやはりクロッドと、ルーシー、ベネティクト。冒険物語のようでもあり、最後に新しい出発が用意されていて、これは、次作を読まなければ完結しないなあと思った。
 第一作の堆塵館を読み直して、『穢れの町』に出てくる登場人物の人間関係がわかった。クロッドはただものではないのだ。主人公は最初に出てきた少年ではなく、クロッド。
 読んでいて、ワーグナーのバルシファルを思った。出会いと旅とそして、成長の物語。ルーシーは、変わらぬ強さを秘めている。
 一気に三部作を読んでみたいと思う。

*40代 男性
 スゴイ!面白い!
 もうただそれだけなのですが、「以上感想です」というわけにもいきませんよね。でも、他にどんな言葉を使ってもこの本のすごさや面白さは伝わらない気がします。これはもう、理屈ではないのです。
 前作「堆塵館」のラストの衝撃を「穢れの町」でどう受けるのか、書き出しからワクワクしながら読み始め、第1章であっという間に物語に引き込まれました。そこからは小説世界に浸りきりました。
「堆塵館」がクロッドとルーシーの成長を描いているとすれば、「穢れの町」はふたりの冒険を描いています。弱々しかったクロッドがこんなにも力強い男になっているなんて、ちょっと感動しますよ。
「穢れの町」で明らかになったアイアマンガー家の謎が、次の作品でどう収束されるのか、期待は増すばかりです。

*30代 女性
 映像的な想像力を存分にかき立てられた第1巻に続いて、その魅力がまさか、こんな形で引き継がれることになろうとは、いったい誰が想像できたでしょうかの第2巻!表現者ケアリー恐れ入りました。
 奇妙な挿絵が生き生きと物語にリンクしだして、楽しくて仕方ありませんでした。(クロッドのあの顔! すごく好きです)
『神は細部に宿る』という言葉を愛した建築家がいたそうですが、一文ごとの深読みや裏切りがこんなにワクワクする小説もそんなにないのではないでしょうか。
 潜むほど怪しいアイアマンガーたち……すでに彼らを名前以上に誕生の品で覚えてしまっています。
 抜け目なく情に厚いルーシーの活躍や、自分らしさに不慣れなクロッドに忍びよる不穏さ、その裏側で彼らが何をしているのかと思うと、落ち着いて見ていられませんでした。このあとそれがどう繋がってくるのか、続きが気になって仕方がありません。

*?代 男性
 待ってましたの第2作。
 10シリング金貨となったクロッド・アイアマンガーと陶製のボタンとなったルーシー・ペナント。舞台を堆塵館から穢れの町に移し、運命に翻弄されながらもお互いを求め合う思いは前作以上。
 果たして2人は元の姿に戻って無事に再会できるのかが気になりながら読み進めていく一方、アイアマンガー一族の暗い一面を知り、その事実と向き合っていくクロッドの成長ぶりに目を見張る。
 本作でもエドワード・ケアリーさんのストーリーテラーっぷりを堪能。最後に新たな子供部屋が登場して、第3作へと繋がっていくが、どんな結末が待ち構えているのか今から楽しみ。

*40代 女性
 えっ! ここで「待て。おあずけ」なの?
 何とか元の姿に戻って、やっと会えた二人なのにまたまた離れ離れ! しかも、ルーシーはマッチ箱に入れ替わりを狙われていてって……。
 ゴミの山の洪水……夢でうなされそうなので、夜は読まない方がイイかも。
 自分じゃない何かに変わりたい!という変身願望はあるけれど、それは他のキャラになってみたいとか犬や猫になってみたいとかで、しかも一時的でいつでも自分の意志で戻れることが前提の話。気が付けば、ナイフやボタンになってるなんて!しかも、知らない他人に所有されるなんて……怖い。
 しかも、各章毎に描かれる扉絵がまた不気味で(アダムスファミリーみたい)。
 なのにページをめくる手が止まらない。
 完結編の3巻が待ち遠しいです。
 ゴミの山から逃げ出すためにも3巻の出版を早くお願いします!

*30代 女性
 前作の堆塵館も穢れの町も、押し寄せてくるゴミの波のように、ページをめくる手をせきたてて、夜通し読んでしまった。堆塵館、月桂樹の館(フィルチング)、そしてロンドン!と場所を移し、クロッドとルーシー、そしてアイアマンガー一族との決着がどうなるのか、今から3部が楽しみでしかたがない。

*?代 女性
 穢れの町、面白すぎました。最高です。
 読んでいるとページをめくる手が止まらなかったです。この先の展開はどうなるのだろうとわくわくしました。ジェームズくんとコイン(硬貨)のやりとりは微笑ましくてほっこりしました(笑)
 次の第3部も本当に気になります。刊行していただけたらとても嬉しいです。
 穢れの町、とてもおすすめです。

*20代 女性
「ごくごく」と、著者が創り上げた世界を飲むような読書でした。
文字が飲み物のようにスルスルと体に入ってきて、ページをめくる手が止まることなく、やむ負えない用事で中断しなければならない時は、舌打ちをしたくなるほど。
 クロッドとルーシー。
 引き寄せられては、離れ離れになっていく。
 まるで寄せては返す波のような運命。
「ルーシー!ルーシー!」
 ただ名前を呼んでいるだけなのに、なんと切ないことか。
 クロッドとルーシーはまたちゃんと会えるの?
 三巻を心待ちにしております。
 ゲラモニターに選んでいただきありがとうございました。
 こんなに心躍るファンタジー小説、こんなに悪臭のする(褒めてます)ファンタジー小説は、なかなかないと思います。

*?代 男性
 今回はアイアマンガー一族ではなく、市井の人々を書いた作品となりましたが、前作に負けず劣らずキャラクターが濃い人ばかり!楽しすぎてあっという間に読み終えてしまいました。次回作はどう展開していくのか、一族の“対決”がとても気になってます。

*30代 男性
 とにもかくにも前作『堆塵館』を読んでから続編が気になって仕方がなかったので、今回『穢れの町』のゲラ版読者に当選し、いち早く読む機会を得ることが出来て、望外の喜びでした。
 さて、肝心のその内容はというと…。
 ゲラが手元に届き、頁を捲って扉絵を目にした瞬間、前作を読んでいた時のあのワクワク感がすぐさま蘇り、一気にエドワード・ケアリーの世界観に引き込まれました! ただいま! おかえり! といった感じで。読む前からすでに心臓は早鐘状態!
 舞台は堆塵館の外に移りますが、序盤の得体の知れなさや、徐々に内容が明かされ、後半に畳み掛けるストーリーテイリングとリーダビリティーはお見事。前作をも凌ぐようで、頁をくる手を止められませんでした。
“人間”と“物”とが渾然となって頁に溢れ、その濁流のようなイメージが紙面を超えて、凄まじい勢いでこちら側まで飲み込むようで、ハラハラドキドキどころではありませんでした。
 また登場するキャラクターはあいかわらず不気味ですが、だけどどこか愛くるしくて、それがこの物語の大切なトーンにもなっているようで、僕にとって単なる“好きな小説”にとどまらず、“愛すべき小説”だと自信を持って言えます。
 最終章で新たな展開があり、またもやとても良い所で終わってしまったので、とにかく第3部が気になって仕方ない!
 まずはこの『穢れの町』が前作に続きたくさんの方々に読まれることを心待ちにしています。

*50代 女性
 奇々怪々なこの世界観、大好き!
 登場人物の変身する物、誕生の品の物&正体の名前、ワクワクします!
 仕立て屋やイドウィドの怖いこと!
 闘うヒロインとして面目躍如してくるルーシーと、彼女のためにお坊ちゃん気質を脱して頑張る主人公クロッドの恋愛模様はどうなるの?
 第2巻で世界はいっそうダークさを増し、謎は深まるばかり……
 第3巻「肺都」も早くお願いします!

*30代 女性
 2巻は1巻よりはるかに面白いぞ!!!
 ルーシーとクロッドの勇気のある活躍に、ドラクロワの『民衆を導く自由の女神』を思い出しました。
 確実に精神的に頼もしくなってる2人の急成長にワクワク!新しい登場人物も魅力的でたまりません。
 個人的にビナディットがかわいくてかわいくてお気に入り。
 ケアリーさんの絵もこれでもかと入っていて、豪華!(原画展とかやらないの~?) 『今いる場所から一歩前に出る勇気がもう少し欲しい』そんな人にもオススメですよ。

*20代 女性
 前作『堆塵館』の結末では、思わず悲鳴をあげて地団駄を踏みました。『早く続きをください!!!』と喉から手が出るほど欲しかった第2部『穢れの街』を読むことができて幸せです。興奮して若干文章がおかしいとは思いますが、早速感想です。
 前作は全身が焼けるような興奮で終わったのに対し、今回は『ほう、そうきたか……』と静観しています。初読時はラスト1ページの内容の意味が飲み込めず、3回読み直してやっと意味がつかめました。同時に、第3部で描かれる波乱の予感に今から戦慄しています。
 まず、前作『堆塵館』の読後、私はゴミを捨てるときに戸惑うことがありました。なぜならボロ切れ一つ、チリの山一つが愛おしく輝いて見えたからです。ちょうど新生活の引越しが終わって大きな荷物を捨てる機会があったのですが、もし、このゴミが捨てられた先でアイアマンガーの誰かに拾われていたら…私と暮らした日々が伝えられるのか、それとも何かの折に「誕生の品」となって人に変わる瞬間があるのか…と妙にリアルに想像できたからです。こうした感覚の変化こそ、本作の大きな魅力だと思います。そして『穢れの街』はその背景に厚みを持たせた印象があります。
 さて、ケアリーが描くイラストのグロテスクさが格段に上がっているのは気のせいでしょうか。イラスト自体の枚数も増え、フォーリッチンガム地区のみならず、クロッドやルーシーたちが住んでいるイギリス当時の世界観そのものを描き出そうとしているように思えます。絵が続くだけで言葉の説明が内無い箇所は、自分で読んで想像する楽しみもありました。そして、初めてビナディットを挿絵で見たときはゲラ版を手から取り落としそうになる程ギョッとしました(笑)。
 それにしても、アイアマンガー一族の目的は何か、モノが人に変わる原理は何か、モーアカスの昇進っぷりの理由、ルーシーの行方など、気になる点が山ほどあります。続編も楽しみに待っております。
 これまで2作続けて読んできて「人間は何でできているのか」と考えてしまいます。物理的には炭素・水素・窒素..もとい細胞・骨・筋肉・神経や脂肪、いやそもそも「遺伝子」が先じゃないか? といった言い方ができると思うのですが、『穢れの街』を読んでいると、物理的な形にならない「思い出」や「体験」が重要であること、そして人間が日常で使用している「日用品」や「生活空間」そのものが人を形作るのではないか? というところまで空想が及びます。そして、こうした目に見えないものがなくなった人間は、なんと呼ぶべきなのでしょうか。前作を読んでいて感じたのですが、クロッドを始め、召使のアイアマンガーたちが「あなたの話を聞かせて」というように、人が持つ来歴や物語に執着を見せるところが気になっています。まるで自分が持っていない、どうしても足りないものを埋め合わせるような渇望の仕方でした。一方で、ピゴットさんのように、こうした話に一切興味を示さず、毛嫌いするアイアマンガーもいるわけです。つくづく、アイアマンガー一族は「人間」なのか? ゴミクズを詰めて出来上がった「偽人間」がこの先何を示すのか? 「ありふれたもの」をこのような素敵な物語に作り上げるケアリーの筆の勢いに舌を巻くばかりです。願わくば、一人でも多くの方に届いて欲しい。癖はありますが、好きになる人、出会うべき人が必ずいる物語だと思えます。

*30代 男性
 何より成長したクロッドがかっこいい!!
『堆塵館』では気弱でちょっと主人公としてどうなんだ?と思わせる男の子で、ペナントの向こう見ずながらも活き活きした性格に比べるとなかなか共感し辛かった。けれど、今回はとある困難に立ち向かう姿勢に「おおお!」と唸らされます。まるで息子を見るように「大きくなったねぇ」と感じずにはいられません!
 物語は一難去ってまた一難と、作者ケアリーはクロッド達に容赦しませんが、物語も佳境に差し掛かる最後の60頁は怒涛の展開で頁を捲る手が止められません。塵屋敷のロミオとジュリエットは、無事手と手を取り合うことが出来るのか?個人的読後感は 『堆塵館』の3倍面白い!!

*20代 女性
 第1巻の『堆塵館』がとても気になる終わり方をしていたので、貪るように読みました。今巻は、舞台が館から町へと移ったのでスケールと登場人物の幅が広がり、怒涛としか言えないスピード感が最高でした。
 最初、クロッドもルーシーも文字通り手も足も出ない状態なので、周囲の濃い面々に身を任せるしかないのですが、クロッドは人から人へ流転していくのに対して、ルーシーは一人のところに留まるという対比も面白く読みました。そして、二人がようやく出会った場面に、もう、良かった!やっと!と思ったら、そこからのあの展開。目が離せませんでした。
 一度読んでしまったら、もう離れられない。そんなこの物語の、楽しさ、美しさ、不思議さ、緊張感、を内包しているように感じました。
 挿絵も相変わらずぞっとするほど魅力的で心を掴まれました。著者が描いているからこその、物語とのフィット感。ため息しか出ません。
 とにかく、終始著者の起こす心地よい急流に揉まれ、すばらしい時間を過ごせました。しかし、今巻もまた、たまらない終わり方をしているので、この飢えは最終巻まで癒えそうにありません。最終巻、心待ちにしております!

*20代 男性
 思わず唸り声を上げた前作読了時より、先が気になる気持ちを抑え込みながら半年以上の間、首を長くして待っていました。予定よりも早く読めて嬉しい限りです。
 読み始めるやいなや再び放り込まれたゴミだらけの暗黒世界。前作同様に魅惑的な挿絵の力もあいまって、焦がれるように過ごした長い時間がなかったかのようにすぐさま没頭してしまいました。本当にあっという間に読み終えたので、第一部の半分くらいしかなかったんじゃないか?と思うくらいです。実際に前巻よりも会話や挿絵が多いようなので、物語自体の密度は若干薄いのかもしれませんが、その分インパクトのあるシーンが多く、より映画的な迫力のある小説になっていると感じました。
 クライヴ・バーカーの『アバラット』に出会って以来、ここまで濃密なダークファンタジーに再びお目にかかれるとは思ってもみませんでした。またまた今回も心憎い終わり方をしているため、これから第三部を待つ時間は途方も無い長さに感じるに違いありません。色々と想像を巡らせながら第三部を楽しみに待ちたいと思います。

*20代 女性
 創元社さんのプレスリリース内のビブリオバトルで池澤春菜さんに紹介されたシリーズ。私はこの時の紹介で1巻を神保町の三省堂で購入して一気読みして「なるほど、面白い!」と思って2巻を心待ちにしていました。
 プレスリリースでも言われていたように、1巻で主役的な立ち位置で出ていた彼と彼女が一緒に出ては来ないので寂しく感じましたが、彼も彼女もハラハラドキドキする冒険をしていて面白かったです。また、彼らが再会出来た場面では良かった、と思わず言ってしまいそうになりました。次の巻も買います。

*30代 男性
 第1部を読んで衝撃を受けた人は、本作を読んでさらに大きな衝撃を受けるに違いありません。ジャンル分け不可能な、とんでもない「物語」です。
 一見「ゴミ溜めのボーイ・ミーツ・ガール」とでもいうべき青春小説のようなストーリー展開ではあるのですが、いかんせん舞台がごみだらけですし、登場人物たちもブサイクだらけ。容易には感情移入させてくれません。
 もちろん『穢れの町』自体は架空の舞台なのですが、ロンドンやヴィクトリア女王などといった実在の固有名詞が織り交ぜられているため、どこかまったく別の世界とは思えないリアリティもあります。
 汚いものや見たくないものを誰かに押し付け排除する、ということは程度の差はあれ、現代の社会でも行われていることです。そのような意味で、「現在」を痛烈に皮肉った作品ともいえると思います。
 第1部と同様、続きが気になるラストになっているあたりが憎らしいです。

*20代 女性
 謎とごみに包まれた堆塵館。前作の衝撃のラストからどんな展開になるのか、とてもドキドキしながら読み始めました。
 読み進めると驚きの連続で、あっと言う間に読んでしまいました。
『堆塵館』では頼りない印象だったクロッドが『穢れの町』では自分の使命を見出し進んでいくところにクロッドの成長を感じました。
 一方ルーシーは新たに登場したビナディットと共に、穢れの町へ行きラストでは人々を先導する姿がとても印象的でした。
 今までこんな本、読んだことない!というのが正直な感想です。読めない展開、魅力的なキャラクター、不思議な力に満ちた世界。
 読み終わった今から、次の第3巻が気になってしょうがありません!

*50代 女性
「堆塵館」にも増して面白かった。
 読み出したら止まらなくなりました。
 挿絵も大好き。
 今回も本になったら、町の地図が載るのでしょうか、楽しみ。
 古屋さんの訳も素晴らしかった。
「ああ、こういう日本語があったな、こんな言い回しいいな」と思いながら読んで、原文ではどんな英語なんだろう?と、
 英語は苦手ですが、原著をあたって見たくなりました。
 特に、ルーシーとビナディットの会話が好き。面白いのに涙がでるようなところ、すごーく好き。
 三部も楽しみにしております。

*30代 女性
『堆塵館』を読み終わった時から心待ちにしていた2作目。舞台は穢れの町に移り、堆塵館の外の世界が明らかになり、前作以上にハラハラする冒険ストーリーに夢中になりました。離れ離れになったクロッドとルーシーの恋の行方と、ちょっと頼りないクロッドの成長とルーシーの勇敢さ、アイアマンガー一族の秘密が絶妙なバランスで散りばめられていました。前作同様、著者のエドワード・ケアリーの描いた挿絵が不気味で魅力的。早くも3作目の展開が気になって仕方ありません。

*20代 女性
 物に名前が書いてあるだけで、怖い……うっかり夜に読むとゾッとする……だからやめられなくなってしまう…。次の展開を暗示させる不気味な絵が、前作よりもずっと多くなっていた。読み始めたら最後まで絡め取られる憎い構成だ。挿絵と小説の強力な演出力、これだけでも読む価値がある、すばらしい作品だ。

*30代 女性
 予想外の展開、魅力的な新キャラクター、『穢れの町』も夢中で読みました。
 クロッド、成長しましたね…。
 特殊能力はパワーアップし、「ぼくは物たちの友達だ!」なんてヒーローさながらの決めゼリフまで飛び出す。
 あの頼りなくて情けなくて陰気ですらあったクロッドが、どんどんカッコよくなっていく!
 けれどそれをあっさり上回るヒロイン、ルーシーのカッコよさ。
 ゴミだらけの町をドロドロになって駆け回りながら、みんなを目覚めさせ、変えていく。ルーシーの大胆さ、行動力、勇気が、とても眩しく爽快でした。
 ルーシーのクロッドへの思いも素敵です。
「そうそう、恋ってこういう気持ちだ!」って読んでて幸せな気持ちになります。激しくて迷いがない。
 ケアリーのイラストも見逃せません。
 謎解きのヒントが隠されているようなたくさんのイラストを、注意深く見るのも楽しみの一つです。
 一族の謎、不気味な革男たち、おぞましい悪行とそれに立ち向かう人々。しかし物語は深刻になりすぎません。
 可笑しなセリフが散りばめられ(ホワイティングさんの「筋肉!」やローランド・カリスのしゃべり方。彼にはもっとしゃべって欲しい)、
 物たちが動く様は恐ろしいけど愛らしい。
 最高なのはクロッドとルーシーの再会シーン! 2人可愛すぎる!

*40代 女性
 加速する少女の拳、少年の想い。汚れ煤けた町に灯った小さく鋭く暖かな光の、なんと力強いことか。衝撃の展開で終わった前作から勢いを増してゴミたちのうねりは止まらず、もどかしさ溢れるボーイミーツガールのその先が愛おしすぎて脳内ガス爆発寸前。  不穏な空気の中、もつれながらも自由を求める人々と謎めいた一族の大いなる野望がぶつかり、ゴミ山は海あるいは船のように動き出す。さながらタイタニックを思わせるかの混乱。率直に言って、たいへん面白い。新たなキャラクターの独特さは想像力を試される存在で、多少のことでは驚きませんよと構えていたのに、あっさりと驚かされていた。なんなんだ一体あの設定は。
 独特なケアリー節がぶんぶん、絶妙な訳によって四方八方から押し寄せる。今回その大きな流れに漂いながら読むうち、ケアリーの作品に通じる偏執の切なさが今まで以上に沁みた。そこへ挿画がひときわ魅力的に淀んだまなざしでこちらを見つめてくる、ああ今にも彼らは声を発しそう。
 実際、この物語を読んでいると身の回りの物の声を聴こうとする自分がいる。擬人化がポピュラーな上、物に心が宿る話は珍しくないので、きっとみんな同じなのではと思う。 健やかなる時も病める時もアイデンティティー揺らぐ時も、愛が道を照らし、心を熱くし、足を前にと進ませる様子を目撃してしまったからには見届けねばなりますまい。リズミカルな物語を何度も読み返したくなる一方で「早く続きを!」という気持ちが駆り立てられた。
 塵堆館を楽しんだ人には待った甲斐のある世界が広がっているし、まだ読んでいない人には今から第1部と第2部の間をおかず堪能できる喜びがあるわけで、なんにせよ幸せ確約する『穢れの町』とても満足な続編。

(2017年5月25日)



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