●最新刊『魔法使いの陰謀』
 セントラルパークで若い女性の死体が発見された。とくに外傷はなく、ジョギング中にあやまって湖に落ちて亡くなったらしい。事件性はないと思われたが、現場に駆けつけた刑事マイケルは、水面を駆けていく白い馬のかすかなシルエットを目にする。馬に気づいた者はマイケルのほかにいないらしい。あれは、おそらく水妖馬(ケルピー)だろう。亡くなった女性と水棲馬にはなんらかの関係があるのだろうか?
 さらに海岸で裸の女たち(セルキーだろう)の目撃情報があったり、赤ん坊が連れ去られる(取り替え子か?)など妖精の関与が疑われる奇妙な事件が続く。
 一方、妖精界の女王の座を祖母レオニーに譲ったソフィーは、ニューヨークに出て、ようやくバレエダンサーとしてのキャリアを再開していた。
 そんなソフィーに対し、フィラデルフィアから来た魔法使いのジョセフィーンは、事件を妖精の仕業と決めつけ、ソフィーに魔法を教えてくれていたアシーナとアメリアの魔法使い姉妹まで抱き込み、魔法使いと妖精との対立を煽ろうとする。
 まずい、このままでは戦いが起きてしまう。ソフィーはマイケル、エミリーらと共に戦いを阻止すべく動きはじめるが……。

 好評シリーズ第3弾。



『女王のジレンマ』
 セントラル・パークで奇妙な死体が見つかった。1977年あたりからタイムスリップしてきたような、白いベルボトムのパンタロンに、大きな襟の光沢のあるシャツを着ている。まさにディスコの全盛期の服装で、年齢は60代といったところか。
 相棒と一緒に駆けつけたマイケル・マレー刑事は、現場で人間の幻影をまとった妖精を見かける。その妖精によると、妖精界の新しい女王が、自分に忠誠を誓うことを拒んだ妖精たちと人間を人間界に追放しているというのだ。死体の男も妖精界を追放されて、一気に何十年分も年をとってしまった人間だったのだ。
 だが妖精界の新女王ソフィー・ドレイクがそんなことをするはずがない。そのことならマイケルはよく知っていた。真の女王であるソフィーが留守を狙って偽の女王が現れたのだろうか。
 ソフィーは真相を探るべく、マイケルと共に妖精界に乗りこむ。
 一方、ソフィーの妹エミリーも、親しい妖精のイーモン、アシーナ、アメリアの魔女姉妹と共に妖精界に向かっていた。
 ソフィーはこの事態をどうさばくのか、そして妖精界の運命は? 

 ますます面白くなる〈フェアリーテイル〉第2弾!



『ニューヨークの妖精物語』
〈(株)魔法製作所〉ファンの皆様、お待たせいたしました。シャンナ・スウェンドソンの新作〈フェアリーテイル〉いよいよ刊行です!

 舞台は同じ現代のニューヨーク。
 ブロードウェイで大成功し、一躍スターダムに躍り出た女優エミリー・ドレイクは、ファンだと称する奇妙な男に連れられ、いつのまにか妖精界に足を踏み入れてしまう。どうやら妖精界の実力者のひとりであるメーヴがエミリーを探しているらしい。
 妖精の宮廷は歌って踊って食べて飲んでのパーティの真っ最中、だが、妖精界で食べ物や飲み物を口にするのは厳禁、人間の世界に戻れなくなってしまうのだ。ようやく舞台での成功をつかんだばかりのエミリーは、こんなところに長居はできないとばかりなんとか人間の世界にもどろうとする。

 一方エミリーが消えた人間界。エミリーの姉ソフィーは、妹がさらわれたことを察知して(第六感か?)、ルイジアナからニューヨークに文字通り飛んできた。
 ソフィーはかつて妖精にダンスを習ったことがあり、そのときの対価として妖精に妹を浚われたのではないかと疑っていたのだ。ソフィーの懸念は間違っていなかった。調べるうちに、エミリーが妖精に浚われたことが明らかになる。

 なんとか妹をとりもどさなければ。だがひとつ問題が……。そもそも警察は「妹が妖精に浚われました」と訴えて信じてくれるだろうか? おそらく一笑に付されるか、頭がおかしいと思われるのがオチだろう。警察に訴えることはできない。ならば自分で捜すだけとばかり、ソフィーは妹の愛犬、ブルドッグのボーレガードをおともに妖精界に乗りこむ。

 エミリーのマンションのお隣さんの刑事マイケルは、消えたエミリーを心配し(そしてどうも行動がヘンなソフィーのことも心配し)、ソフィーを助けてエミリーを探そうとしていた。実はマイケルは何年も前に妻が行方不明になっていたのだ。だが、事情をしらない、しかも刑事であるマイケルの捜査は、かえって邪魔になるだけ。ソフィーは彼の好意をありがたく思いつつも、なんとか誤魔化して独自の捜査を進める。
 だがソフィーのあとをこっそりつけたマイケルが、セントラル・パークで開かれていた妖精の市に踏み込んでしまったことで……。

 謎また謎、魔法も恋も詰め込んだ、現代版フェアリーテイル。期待の3部作開幕です!

(2017年4月18日/2018年3月16日)



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