昨年11月に7年ぶりの〈匠千暁シリーズ〉最新作『悪魔を憐れむ』(幻冬舎)を刊行。同作は、第17回本格ミステリ大賞の候補作(今年5月12日発表予定)に選ばれるなど、いま乗りに乗っている、西澤保彦さん文庫最新刊がいよいよ登場です。
 本書『回想のぬいぐるみ警部』『ぬいぐるみ警部の帰還』に続くシリーズ第二弾。イケメン警部・音無美紀とその部下たちの活躍を描いた、連作ミステリです。探偵役の音無警部は、会う人会う人からも驚かれるほどの美貌ながらも、少し残念なくらいぬいぐるみを偏愛し、「クマっぷハウス」に通い詰める日々。偶然か必然なのか、ぬいぐるみが絡んだ事件に鋭い推理を働かせて解決に導きます。そんな彼に憧れる、部下の則竹女史との仲は今作で縮まるのか、と思いきや破天荒な女子高生・階藤美月の登場で……。

 書名の『回想』はどこから? と読者の方々は思うかもしれません。もちろんコナン・ドイルの『回想のシャーロック・ホームズ』からですが、収録柵の後半の二編が過去の事件をそれぞれ、音無と美月が解いていくという趣向からかと。いかがでしょう、西澤さん?

nuigurumiguma.png  ちなみに解説は松尾由美さんです。とある英国発のキャラクターとの関連性について論じてらっしゃいます。ぜひお手にとって、ご確認下さいませ。

ぬいぐるみイラスト=諏訪さやか

(2017年3月8日)




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