今月の本の話題

2017.03.22

布石=基礎工事。土台がしっかりしていれば、その後の戦いが楽になる

「唐様(からよう)で貸し家と書く三代目」とか言われる。チヤホヤされて育った三代目には隆盛の家を維持できない喩(たと)えだ。また「鉄は熱いうちに打て」というのもある。若いうちに鍛えておかないと、ろくな大人にならないという教訓である。

 格言、人生訓の類は様々思い浮かぶが、囲碁の話である。
 
 碁盤は19×19、つまり初手は、361ヶ所、どこにでも打つことが出来る。①空隅 ②辺或いはカカリ ③中央への展開 というのが効率の良い打ち方と言われている。ただ相手のあることなので何とも言えない。いきなり戦闘が始まることもある。また展開によって、序盤、中盤、終盤という分け方があるが、これも一概に言えない。いきなり中盤戦の様相を呈することもある。

 布石は、一局の碁の性格(骨格)を決める。例えば星は、辺或いは中央への威力は持つが、地には弱い。小目は地に辛いが、辺とか中央へのスピードの点では、星にはかなわないなどの特徴がある。それらの組合せで布石は成り立っている。石と石の関係は、きわめて論理的に出来ている。

 ただ相手のあることなので、相手が自分の一手に対してどこに打ってくるかは分からない。一手で20目の手と5目の手では、20目の手に価値があるは当然であるが、一手ごとにその価値は変わる。一手で50目の手は、稀であり、一手一手、自分の石の弱いところを補強するように打つことが肝要である。

 さて本書は、プロの実戦から出来た定番の布石を解説したものである。この定番の布石戦術を学ぶことによって、石の働きとは何かが理解できるようになる。布石とは言わば基礎工事であり、土台がしっかりしていれば、その後の戦いが楽になるのは間違いないことで、上達には必修の分野なのである。

(2017年3月22日)



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