今月の本の話題

2017.01.10

出逢いの街NYを舞台にしたアーバン・ファンタジー『魔物のためのニューヨーク案内』

プラチナ社
ライター募集

プラチナ社は、あなたのような方向けの旅行ガイドを出版する新しい会社。
あなたに役立つ本を書くために、あなたのようなライターを募集します。
(さらに続く)

応募資格――執筆、出版、編集、いずれかの経験があって(現世でも、別世でも)、なおかつニューヨークに関する知識を有すること。
※寿命が編集期間(今回は九か月)を下回る場合は不可。

詳細は、212.555.1666に電話をいただくか、
rand@undergroundpub.comまで電子メールでお問い合わせください。

 その求人広告は冴えない書店の掲示板に貼られていた。
 これぞまさにゾーイが求めていた仕事ではないか。地方都市で雑誌の仕事をしていたが、既婚者の上司と恋愛関係になり、怒り狂った相手の奥さんと大立ち回りになった挙げ句、ぼろぼろになってニューヨークに帰ってきたのだ。
 大好きなこの街NYでガイドブックの仕事ができれば、まさに願ったり叶ったりだ。大喜びで応募したゾーイだったが、なぜか会社側は乗り気ではないようで、ゾーイでは会社に馴染めないの一点張り。経歴も充分にあり、実力もやる気もあるのになぜ?
 なんとか食い下がって面接にこぎつけたものの、面接に訪れた劇場の地下を改装したらしき出版社を訪れた彼女が見たのは、妖精に吸血鬼、悪鬼にゾンビ……。ここはコスプレイヤーのたまり場? それとも……

『ニューヨークよろよろ歩き』(抜粋)
   劇場街――小売店

〝妖怪のいたずら〟は劇場街最古の書店。一八三四年に〝龍の淑女〟と渾名されたアキリーナがロシアから移民して開店した店で、世界中のコレクションから心をこめて選んだ書籍を販売している。現在はアキリーナの曾孫、アナスタシアが経営しており、いまも稀覯本コレクター垂涎の書籍を販売し続けている。アナスタシアは曾祖母の方針を継承して売れた本の行き先をすべて把握し、「お門違い」の客に本を売ることを拒否している。彼女と口論になるのは御法度だ――龍の歯は依然として鋭い。
〝妖怪のいたずら〟はあえてむさ苦しい外観を維持している、いまでは貴重な店舗のひとつ。薄汚い店は見るからに胡散臭く、「とっとと出ていけ」という強いオーラを発している。これも好ましくない客を追い払うためだ。百八十年近くにわたって、アキリーナとその子孫が人間に販売した書籍はわずか三冊。
売り先は教えてもらえない。


(2017年1月10日)



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