つい先日、無事に第26回鮎川哲也賞贈呈式も終了しました。今回が26回ということで、ちょうど20回前の受賞作が北森鴻さんの『狂乱廿四孝』でした。

今回刊行となりました『狂乱廿四孝』には、幻の続編とも言われていました『双蝶闇草子』を併録しました。『狂乱廿四孝』に関しては、悲劇の名女形・澤村田之助と幽霊画を巡る本格ミステリとして名高い作品であり、こまかなストーリーは割愛しましょう。

最初にお断りしておきますが残念ながら、続編である『双蝶闇草子』は未完の作品です。すでにお読みの方はお分かりになるかと思いますが、さあこれから事件も起こっていくという段階で終わっています。ファンの中には、〈連丈那智シリーズ〉『邪馬台』『天鬼越』のように、浅野里沙子さん(今回の詳細も解説の方に書いていただいています)が書き継いで完結して欲しいという方もいらっしゃるかと思います。しかし、まだ『双蝶闇草子』は、山頂にさしかかるかかからないかという状況で連載時からしばらく時間が経っており、犯人などのヒントや、創作ノートなどの類も存在しませんでした。ですので、修正は最小限にとどめております。ですが、『狂乱廿四孝』でも活躍したあのキャラクターたちが、再び活き活きと描かれているところをぜひ楽しんで下さい。

(2016年10月6日)



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