星水晶の歌 上

その石は
幾多の名で呼ばれている。
 聖なる生命の石
 王の羅針盤
フィーンの至宝
 大いなるダイヤモンド
光の剣……

されど
銀色狼が歌い
瑠璃色の鳥が舞う
遙か遠いランゲフニーでは
 それは
唯ひとつの名で呼ばれていた。
サラファーンの星と



星水晶の歌 下

 人の住む六つの王国と神秘に包まれた種族フィーンの王国は、長いこと平和のうちに栄えていた。だがフィーンのもとから大いなるダイヤモンドが奪われると、暗い影が世界を覆いはじめる。皇帝ダイロス率いるギルデア王国が隣国に侵攻、戦火はいくつもの国を巻きこんでいった……。

ギルデア皇帝に奪われたフィーンの宝石 〈サラファーンの星〉をめぐる戦い。世界の存亡をかけた壮大な4部作が『星水晶の歌』上下をもってついに完結!


●最新刊『星水晶の歌 サラファーンの星Ⅳ』上

 季節外れの嵐、雨のない雷、全てを覆い尽くす白い霧。世界を襲う異常気象は、アトーリス王国が秘密裏に開発した兵器〈氷河〉の影響か。
 その圧倒的な破壊力に、敵国ギルデアも〈氷河〉を奪おうと画策しているらしい。アトーリス王国としては、それだけは、なんとしても阻止しなければならない。だが、王室の諜報員ステランは〈氷河〉の存在そのものに危機感を募らせていた。
 世界を滅ぼしかねない〈氷河〉の影響、そしれギルデア帝国の侵攻、内外から迫る脅威に立ち向かうすべはあるのか? 
 フィーンの王女エレタナと結婚し、表向きは死んだことになっているアトーリスの王子ランドリアはひとつの覚悟を胸に敵国ギルデアに赴く。
 そしてロンドロンドらリーヴェイン王国の諜報員は、アトーリス王国の研究所に軟禁された〈氷河〉の開発者を救い、〈氷河〉を永遠に葬るべく動き出していた。
 一方、ギルデアの地下牢で、亡きガリウスからサラファーンの星の雫を託された盗賊〈黒のジョー〉は、星の雫を預言の英雄に届ける途上、砲弾に倒れてしまう。九死に一生を得たジョーだったが……

 預言は成就されるのか? 世界は滅亡を免れることはできるのか?
 村の老医師の助手となり、最果ての国で平和を祈り続けるリーヴたちの、そして、最前線で戦うウィルナーやハーシュたちの運命は?
 戦乱に翻弄されながらも、精一杯生きる人々を描く壮大な四部作、ついに完結。




著者の遠藤先生がティザーサイトを公開されましたので、ぜひご覧ください。
〈サラファーンの星〉四部作公式サイト今秋公開



●『盗賊と星の雫 サラファーンの星Ⅲ』(2017年5月刊)

 富める者から奪い、貧しい者に分け与える義賊、黒のジョー一味。彼らは確かな筋からの情報を得て、伝説の宝石、紫の菫石〈エステラの瞳〉を盗もうと、とある貴族を襲った。だが、同じ〈エステラの瞳〉を狙うギルデア帝国の不死身の化物、灰色の騎士たちと鉢合わせし、一味は殺され、首領のジョーは捕らえられてしまう。
 密偵の容疑で激しい拷問を受け、半死半生で地下牢に放り込まれたジョーの命を救ったのは、同じ牢に囚われている奇妙な老人だった……。
 なぜ自分を助けたのか? 訝るジョーに、ガリウスと名乗るその老人が語ったのは、サラファーンの星にまつわる長く不思議な物語だった。

 一方外の世界では、ギルデアと連合国の戦いは激化し、リーヴたちの住むリーヴェインのフォーディール村にも戦の足音が迫っていた。
 フォーディール村だけでなく、世界中で次々と未曾有の嵐。それはギルデアに対抗すべくアトーリスが開発した兵器〈氷河〉の実験の影響だった。

 今は祖国を離れ、流謫の身であるアトーリスの王子ランドリアは、母国の暴走を止めようと奔走するが……。

 風雲急を告げる、シリーズ第3弾。




●『石と星の夜 サラファーンの星Ⅱ』

 ギルデア帝国と、アトーリス王国を中心とする連合国の間に和平協定を結ぶべく派遣されたギルデアの使節が暗殺されたことで、ギルデアとアトーリスの和平交渉は決裂した。
 アトーリスの王立情報機関〈イリュリア〉の一員ステランは、仲間内に敵に通じている裏切り者がいるとの情報を得て、必死に捜査を行う。兄弟よりも固い絆で結ばれているはずの〈イリュリア〉の中に裏切り者が?

 一方、戦火を逃れて故郷テスから最果ての地リーヴェインのフォーディル村に身を寄せていたリーヴたちは、悲しみに包まれていた。故郷テスを護るべく戦っていた父ヒースが戦死したのだ。

 スリン・ホラムの会議連合国の会議では、アトーリス王国が極秘裏に開発する恐るべき兵器をめぐり、各国の意見が対立していた。
 ギルデア帝国の脅威はいや増し、このままではテス王国が征服されるのも時間の問題。
 フィーンの預言者が謳った勇者はいまだその存在をあらわさず、人々の焦りはつのるばかり……。好評シリーズ第二弾。




●『星の羅針盤 サラファーンの星1』

 舞台は七つの王国が栄える世界。主人公は森と湖の平和な国テスに住む心優しい少女リーヴ。画家である父は戦いに行き、残された母と兄と犬とともに戦火の迫る故国を離れ、母の故郷である遠く離れた国リーヴェインの小さな村に身を寄せる。
いまだ戦争の火の粉が飛んできていない平和な村フォーデイル、そこでリーヴたちは伯父一家の暖かい歓迎をうける。

 フォーデイル村の外れには、呪われた森と呼ばれる深い森があった。ある日森に迷い込んだリーヴは、生涯の友人となる不思議な少女に出会う。紫の瞳をもつ少女ルシタナとのこの出会いこそが世界の運命を変えることになるのだった……。

 永遠の友情、初恋、遙かな国の伝説、そして陰謀……。戦の影に怯えながらも、平和を願い、ひたむきに生きる少女の姿を描く〈サラファーンの星〉四部作開幕。

 主人公リーヴのけなげさや、彼女をとりまく人々の優しさはもちろん、戦争の恐ろしさ、権力や欲望で歪んでしまった人々の醜さ、哀しさも余すところなく描かれています。ファンタジー好きはもちろん、ファンタジーは敷居が高いとお思いの方も是非お読み下さい。『若草物語』『赤毛のアン』で味わったときめきが味わえます。

(2018年5月28日/2016年9月6日)



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