今月の本の話題

2016.09.05

『望楼館追想』の作者が満を持して贈る超大作 エドワード・ケアリー〈アイアマンガー3部作1〉『堆塵館』【2016年9月】

 時は十九世紀後半、ロンドンの外れに巨大なごみ捨て場があった。
 幾重にも重なる山のその中心には『堆塵館』という、ロンドンじゅうの不用なごみの寄せ集めでできた巨大な屋敷があり、ごみから財を築いたアイアマンガー一族が住んでいた。

 一族の者は、生まれると必ず「誕生の品」を与えられ、その品を一生涯肌身離さず持っていなければならないという奇妙なしきたりがあった。
 そんな一族のひとり十五歳のクロッド・アイアマンガーは、赤ん坊のころから誕生の品の声を聞くことができるという、一風変わった少年だった。クロッドの誕生の品は栓だ。排水口などにはめることのできる、どこにでもある普通の栓。そして「ジェイムズ・ヘンリー・ヘイワード」と囁くのだった。
 アイアマンガー一族の家長であるウンビットの誕生の品は銀の痰壺、そして家長夫人のは大理石のマントルピース。一族の者は誕生の品から離れていることができないので、家長夫人はマントルピースのある部屋から出てこないのだ。

 一方、堆塵館で働く召使いたちもすべてアイアマンガー一族と繋がりのある者ばかり。
 十六歳の孤児のルーシー・ペナントは、一族の血をひいているということで、召使いとして堆塵館に入り、館の風変わりな伝統と習慣を教えられ、暖炉掃除係として働くことになる。

 そしてある夜ルーシーは掃除をしている部屋で、クロッドと出会った(最初は幽霊かと思った)。そしてその出会いが一族の運命を大きく変えることに……。

『望楼館追想』から十五年、物への偏愛の著しいエドワード・ケアリーが満を持して送る超大作。
 刊行に先立ち、特別に堆塵館の見取り図を公開! エドワード・ケアリーの奇妙な世界を是非覗いてください。(クリックで拡大)



(2016年9月6日)



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