今月の本の話題

2016.06.06

18歳の若き皇子を待つ波乱の運命。ローカス賞受賞の傑作ファンタジイ キャサリン・アディスン『エルフ皇帝の後継者』[2016年6月]

 母が政略結婚で嫁いできたゴブリンの王女であったために、父であるエルフ帝国皇帝にうとまれ、辺鄙な片田舎に追いやられていた第四皇子マヤのもとに、ある夜、宮廷からの急使が訪れた。
 皇帝と異母兄皇子三人の乗った飛行船が墜落炎上、全員が帰らぬ人となったというのだ。残る皇子はマヤただひとり。突然、帝位継承者となったマヤは、とるものもとりあえず帝都へと向かう。
 だが、到着した壮麗なアンセイレネーズ宮殿では、どう見てもマヤに反感をもつ宰相を筆頭に、人々の目は冷たかった。

 それでもなんとか無事に戴冠したマヤに、荒波が次々に押し寄せる。
 まず、父帝や兄たちを亡きものにした飛行船事故の真相究明、そして異母姉と地方の有力領主の息子との婚約騒動、さらには暴れ川イスタンダールサの架橋問題……。
 おまけに宰相や重鎮たちからは早くお后を決めろとせっつかれる。
 それだけでも手一杯だというのに、祖父であるゴブリン国の大アヴァールが表敬訪問にやってくるというのだ。
 すなおでお人よしのマヤを絶好の獲物と見て、陰謀をたくらむ名門貴族たちもあとを絶たない。マヤの味方と言えば、博覧強記で有能な秘書官ツェヴェトや四人の心身守護者、それにわずかな従僕たちのみ。

 若き皇帝は、山積みの難問を解決し、エルフ帝国を繁栄へと導くためにことができるのか?
 2015年ローカス賞受賞の傑作ファンタジイ!

(2016年6月6日)



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