今月の本の話題

2016.04.05

横溝正史ミステリ大賞作家が描く、鋭利な青春本格ミステリ 菅原和也 『ブラッド・アンド・チョコレート』[2016年4月]

日々をだらだらと過ごす、十九歳のフリーターのぼく。ある日ぼくは、フリージャーナリストである、従兄のダイ兄ちゃんに呼び出される。《知性の窓》という怪しげな能力研究団体の取材に、協力してほしいというのだ。なぜなら、主宰者の娘であり、「生きた奇跡」として団体のシンボルに祭り上げられているのは、ぼくの幼馴染である未来だったからだ。後日、ぼくたちは人里離れた山奥にある、団体の研究所への潜入に成功。いわくありげな研究員や数々の自称能力者たちと出会い、未来とも再会する。しかし、研究所内の密室で、首を切断された死体が発見され……。横溝正史ミステリ大賞作家が描く、鋭利な青春本格ミステリ。

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デビュー作『さあ、地獄へ堕ちよう』では身体改造をめぐる奇妙な事件を、『CUT』では連続殺人鬼の謎を、『柩の中の狂騒』では孤島の惨劇をと、多彩なテーマの本格ミステリを描いてきた気鋭・菅原和也さん。新作は、研究所での密室殺人を描いた青春本格ミステリです。

幼馴染の少年少女の、独特な交流を描く変則的なボーイ・ミーツ・ガールという新境地でありつつ、特殊な舞台設定において、ストレートかつエッジの効いた、菅原さんらしいミステリにもなっています。不可解な殺人現場、二転三転する推理、そして真相が明かされた後に訪れる、鮮やかな幕切れ。そんなミステリの醍醐味も、たっぷり味わえます。
また、刊行記念インタビューも4月上旬刊行の『ミステリーズ!vol.76』に掲載されています。こちらも合わせてお楽しみください。

ちなみに、緻密で迫力満点のカバーイラストは、米澤穂信さん『夏期限定トロピカルパフェ事件』のコミカライズでもお馴染みの漫画家・おみおみさんによるものです。本書を読み終えた後、カバーをじっくり見ると、何か気付くものがあるかも……?



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