卒業式、入学式といった別れと出会いが訪れる春。新しい環境やまだ見ぬ未来に、不安と期待を抱く人も多いのではないでしょうか。そんな季節にぴったりのミステリが、この度文庫化いたしました。
青春ミステリの名手・相沢沙呼の珠玉の短編集『卯月の雪のレター・レター』には、悩みと不安を抱える少女たちが登場します。
両親を亡くしてから支え合ってきた妹が、突然冷たい態度を取るようになり思い悩む姉。盗難が発生した友人宅にて、友人とその家族のやり取りから、自分と家族との関係に思いを巡らせる少女。大怪我を負い入院した親友に、秘密を打ち明けられない高校生。教育実習先の小学校で出会った児童たちの交流から、友情の難しさを考える実習生。祖父宛に届いた手紙の謎を追う、出来の良い姉と可愛い従妹に引け目を感じている少女。
どうにもならない現状に悩む彼女たちはとても繊細で、揺れ動く心理描写の切なさに胸が締め付けられます。しかし、遭遇した不思議な謎と向き合うことで、彼女たちは自身の本当の願いに気付きます。そして、手探りでもたどたどしくても、先の見えない未来へ踏み出そうとするそれぞれの姿に、きっと勇気づけられる読者も多いと思います。
切なくも温かい読後感に包まれる本書を、ぜひお手に取ってみてください。
ミステリ小説の月刊ウェブマガジン|Webミステリーズ! 東京創元社
青春ミステリの名手・相沢沙呼の珠玉の短編集『卯月の雪のレター・レター』には、悩みと不安を抱える少女たちが登場します。
両親を亡くしてから支え合ってきた妹が、突然冷たい態度を取るようになり思い悩む姉。盗難が発生した友人宅にて、友人とその家族のやり取りから、自分と家族との関係に思いを巡らせる少女。大怪我を負い入院した親友に、秘密を打ち明けられない高校生。教育実習先の小学校で出会った児童たちの交流から、友情の難しさを考える実習生。祖父宛に届いた手紙の謎を追う、出来の良い姉と可愛い従妹に引け目を感じている少女。
どうにもならない現状に悩む彼女たちはとても繊細で、揺れ動く心理描写の切なさに胸が締め付けられます。しかし、遭遇した不思議な謎と向き合うことで、彼女たちは自身の本当の願いに気付きます。そして、手探りでもたどたどしくても、先の見えない未来へ踏み出そうとするそれぞれの姿に、きっと勇気づけられる読者も多いと思います。
切なくも温かい読後感に包まれる本書を、ぜひお手に取ってみてください。
(2016年3月7日)
ミステリ小説の月刊ウェブマガジン|Webミステリーズ! 東京創元社