今月の本の話題

2016.02.05

すべての女性の憧れ、これぞ現代版シンデレラストーリー ヘスター・ブラウン『逃げ出したプリンセス』[2016年2月]

 ガラスの靴とロイヤルウェディングの物語を主食に育った女の子たちの多くがそうであるように、わたしもかつて、プリンセスは生まれながらにプリンセスなのであって、あとからなるものではないと思っていた。そう、あの日までは……。

 わたし、エイミー・ワイルドはヨークシャーの田舎から出てきて、ロンドンで庭師の仕事をしている。ガーデンデザインも植物を育てるのも大好き。忙しいけど、ようやく顧客もついて、仕事は軌道にのりはじめたところだ。
 彼氏はいないけど、共同経営者のテッドに紹介してもらったジョーとは、すぐさま意気投合して、彼女のフラットに同居することになった。その同居人(大家兼友人)のジョーはわたしに彼氏を紹介してくれようと、しょっちゅうパーティをひらいている。問題はわたしがピンとくる男性とまったく巡り会えていないことだった。
 そのジョーが開いた21回目だか22回目だかのパーティがすべての始まりだった。「天国と地獄」をテーマにした仮装パーティに、乱入した恐ろしくハンサムなパーティクラッシャー。黒のボンデージドレスの三人の金髪美女を引き連れたとんでもない男……の友人(か付き添い?)らしき金髪の彼、信じられないほど深い青い目をした青年レオ。会ったことはないはずなのに、なぜか不思議と親しみを感じる。
 レオも同じ思いだったらしく、わたしたちが親しくなるのに時間はかからなかった。
 だが、とんでもないことが判明。レオは地中海に浮かぶ小さな島国ニローナ公国のプリンスだったのだ。わたしはからかわれていたのだろうか?

 ロンドンで懸命に生きる庭師の女性がつかんだ真実の愛。けれど……。すべての女性のあこがれ、スウィートでビターな、これぞ現代版シンデレラストーリー。
(2016年2月5日)



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