今月の本の話題

2016.01.06

樋口有介 初期作『彼女はたぶん魔法を使う』を彷彿とさせる最新長編刊行[2016年1月]

永遠の38歳、こと柚木草平シリーズ最新刊、『少女の時間』いよいよ刊行です。近年、刑務所帰りの弁護士事務所の調査員を描く〈風町サエシリーズ〉(中央公論新社)や、近未来を舞台にした青春ミステリの赴きのある『金魚鉢の夏』(新潮社)などを刊行する中、久々に柚木草平が帰ってきました。『捨て猫という名前の猫』がやや暗いトーンでしたが、今回は一転。柚木草平初登場作品である『彼女はたぶん魔法を使う』に近い、明るいテンションで進みます。

シリーズの“お約束”でもある、加奈子との食事シーンを経て、月刊EYES編集部の小高直海から紹介してもらった未解決事件の調査が始まります。大森の天祖神社で二年前に起こった、女子高校生殺害事件。彼女は渋谷でのボランティア活動を終えた後、自宅に帰る途中に巻き込まれたらしい。柚木が調べ始めると新たな事件が発生して……。

今作『少女の時間』で柚木の相棒となるのは、『枯れ葉色グッドバイ』(文春文庫)でヒロイン役を務めた女性刑事・吹石夕子。これまでの樋口作品では、あまりこうしたキャラクターのクロスオーバーはありませんでしたが、今作では柚木とともに大活躍をみせます。風町サエも、あるシーンでちらりと登場していますので、そちらもぜひ探してみてください。

また、もう一点、これまで柚木の得意料理としてたびたび登場する「ジャガ芋のピザ」の詳しいレシピも紹介されている点も見逃せません。男性読者の皆さん、奥さんや彼女にぜひふるまってみてください。柚木のようにモテモテになる、かもしれませんよ。

(2016年1月7日)



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