今月の本の話題

2016.07.05

人間は魔人に征服されてしまうのか? ドイツ・ファンタジーの重鎮が描く千夜一夜風魔法物語第三弾『伝説の都』[2016年7月]

●最新刊『伝説の都』
 腕利きの絨緞乗りターリクとサマルカンドの太守の娘サバテアは、バグダッドの宮廷魔導師アタリス、アタリスに仕えるビザンチンの狩人アルマリクらと共に、願いの魔人イフリートの失われた第三の願いが見つかるという、伝説の都スカラバプールを目指す。
 行く手に広がるのはガラスの砂漠。魔人の襲撃をくぐり抜け、困難を極めた道のりの末に、伝説の都にたどり着いたターリクらを待っていたものは? 
 一方ターリクの弟ジュニスは、兄との再会も束の間、嵐の王の幹部になっていたマリヤムの最後の頼みを果たし、嵐の王のもとからさらわれた童子ジブリルを取りもどすために、魔人の巣窟に向かっていた。
 バグダッドの都に迫る魔人の大軍団。人間はなすすべもなく魔人に征服されてしまうのか? そしてついに世界の秘密が明らかになる……。

 ドイツ・ファンタジー3部作はここに驚愕の結末を迎える……。



『第三の願い』
 三つの願いをかなえてくれるという魔人イフリート。だが、始めの二つの願いはかなえてくれるものの、どういうわけか三つめの願いを叶える力を失ってしまった。
 浅はかな願いごとをして、自分や他人に災厄をもたらし、最後の願いでその失敗を取りもどそうとした人々は、三つめの願いがかなえられず、幸福とは裏腹の、物欲や愚かさの結果を背負いながら生きることになってしまった。最後の願いの力はどこにいってしまったのか。被害にあった人々が作ったという結社〈第三の願いの環〉とは?
 カリフの宮殿を放り出された絨緞乗りターリクは、魔人の首領から引き継いだ左目の奇妙な力に苦しみながら真実を追及する。
 一方嵐の王に助けられた弟ジュニスは、そこで砂漠で行方不明になったままのかつての兄の恋人マリヤムに再会する。マリヤムは今は嵐の王の幹部になり、魔人との戦いに身を投じていた。
 そこでマリヤムはジュニスに不思議な力をもつ少年ジブリルを引き合わせるのだが……。
 迫力のシリーズ第二弾。



『魔人の地』
 サマルカンド一の腕利き絨緞乗りターリクは、絨緞競争の最中にひとりの女を助けた。太守の侍女だという謎めいたその女サバテアは、絨緞でサマルカンドを脱出しカリフの治める黄金の都バグダッドに行ってくれないか、ともちかけてきた。だがサマルカンドの街を出ることは禁じられている。それどころか絨緞で飛ぶことすら禁止されており、見つかると殺されてしまうのだ。そのうえ、町を囲む防壁の外に広がる砂漠には恐ろしい魔人がいる。砂漠の横断は命がけなのだ。
 いったんは断ったものの、仲が悪いとはいえたったひとりの弟ジュニスがサバテアの口車に乗せられてバグダッドに向かうのを知り、ターリクは慌ててあとを追った。
 かつてターリクは恋人マリヤムとバグダッドを目指したことがあった。だが、ある夜現れた奇怪な魔人にマリヤムを浚われてしまったのだ。
 マリヤムはどこへ行ってしまったのか? ターリク、ジュニス、サバテアの3人の旅路に待つものは?

 千夜一夜風世界を舞台に繰り広げられる幻想と魔法のファンタジー三部作開幕。

(2015年12月7日/2016年7月5日)



ミステリ小説の月刊ウェブマガジン|Webミステリーズ! 東京創元社
バックナンバー