今月の本の話題

2015.11.05

ゲラ版読者モニターの感想を掲載!――怪物の息子として生きる苦悩。恐るべき連続殺人の行方は?『殺人者たちの王』バリー・ライガ[2015年11月]

〈ゲームへようこそ、ジャスパー〉

 ロボズ・ノッドの町を騒がせた恐るべき連続殺人事件“ものまね師事件”が幕をおろしてから数カ月、ジャズのもとをニューヨーク市警の刑事が訪れた。父ビリーに施された殺人者としての英才教育を生かして、ニューヨークで起きている連続殺人、通称“ハット・ドッグ・キラー"の捜査を手伝って欲しいというのだ。ジャズは気がのらないまま、渋々ニューヨークに同行する。認知症気味の祖母は、叔母のサマンサがやって来て見てくれることになったのだが、ジャズにとって頭が痛いことに、親友のハウィーがサマンサにちょっかいをかけ始めた。親友が叔母と? とんでもない!
 おまけにガールフレンドのコニーが家族に嘘をついて、強引にニューヨークに来てしまった。ただでさえコニーの家族はジャズを嫌っているというのに、ばれたら一大事だ。

 とにかくニューヨークで事件を調べるジャズ。だが、調べを進めるうちに、故郷での事件との繋がりに気づく。そして被害者の遺体に書かれた〈ゲームへようこそ、ジャズパー〉のメッセージ。まさか?

 21世紀最悪のシリアル・キラーと言われる父との関係に苦しみながらも、事件を解決しようとするジャズ。全米の話題をさらった異色の青春ミステリ『さよなら、シリアルキラー』シリーズ第二弾!

読者モニターの皆様の声


◎男性、30代
 全米最悪の連続殺人鬼に後継者として育てられた主人公が、その植え付けられた殺人鬼の思考を利用して連続殺人犯を狩ろうと奮闘するという設定がまず秀逸。
 しかし、主人公は決して「英雄」なんかじゃなく、自らの血におびえながらもそれに抗おうとする「反逆者」です。自らの運命に立ち向かう主人公と、その主人公を支える恋人と親友の未来に幸あれと願わずにはいられません。
 完結編となる第3作(タイトルは「我が血統」的な意味なのかな)が待ち遠しい!

◎女性、20代
 前作に引き続き、普通とはかけ離れた生活をしてきたジャズは必死に父から教えられた殺人の衝動を隠しただの高校生でいようとする。今作は(中略)ジャズが新たな殺人者の捜査に関わることから物語は始まる。父からの声に悩まされていたが、被害者へ罪悪感を持ちいつか自分も殺人者になるのではないかという恐怖を克服するために、普通の良心的な、少なくとも殺人者はやらないことを重要視し執着すら感じる。親友のハウイーとの軽快なやり取りは面白く、重い殺人や悩みの中で唯一高校生の男の子を思い出させてくれる。恋人のコニーはジャズの理解者で、ジャズですら気づかないくらいにジャズの為に行動している。二人の暖かなジャズへの配慮に異常な生活の中で救われた思いがする。しかしビリーはコニーへ興味を向け、ジャズの知らない間に巻き込まれていく。組み立てられたパズルのように次々と明らかになっていく殺人者たちの行動に振り回され、簡単に予測できない顛末にドキドキしてしまった。真実へとたどり着こうとあがくジャズの今後に目が離せない。

◎男性、30代
 私は全く青春小説を読みません。何故なら大半が男女の関係が十代にありがちな軽さを描いているからです。
 そして私はどちらかというと本格ミステリを好みます。本格物は推理する側と犯罪を犯した側がキッチリと明確に分かれています。そしてその心理の奥深さや懊悩、狂気の境目を目の当たりにして読了後の余韻に浸る事が出来るのです。
 正直な所、私は『さよならシリアルキラー』も『殺人者たちの王』も食指が動きませんでした。何故なら青春小説とミステリを両方兼ね備えるなんてありえないと思っていました。上記の二作を読むまでは。
 主人公ジャスパー・デントの懊悩は肌で感じた事が無い限り理解出来ないものだと思います。でも、それを追っている内に、彼が十代のそれもアメリカにおける大人という線引きの一歩手前というとても危うく甘美なものに変わっていく内に彼の虜になるのです。
 私のこれまで感じていた青春ミステリの価値観をひっくり返したこの素晴らしい本を読めて私はとても幸せな気分になりました。

◎女性、20代
 ビリーの愛情深さと、コニーのうすら青い思いやりが恐ろしかった。
 すがるジャスパーと、だからこそ追い込んでいく絆が、生々しくそして羨ましい。
 ただのミステリーじゃない。どうしようもない感情の動きに読む目が止まりませんでした。

◎女性、20代
 前作はジャズが事件に自ら突っ込んでいくようなイメージだったが、今作はいろいろな巡りあわせでジャズが事件と関わっていくように感じる。
 前作でもしっかり者な彼女・コニーは、今回『背伸びした(?)大人な行動力』も兼ね備え、ジャズにグイグイ行くところに、同じ女として惚れそう…かっこいい!でも無茶しないで…とハラハラする。
 身内にまともな人間が居なく、ある意味天涯孤独だと感じていたんじゃなかろうかジャズと伯母サマンサの語らいの中で、だんだんに心を許しちゃうジャズに「あぁ、やっと心通わせられる身内に出会えたのだなあ…」とちょっとホロリときちゃいました。
 ハウイー調子乗ってて笑った。欧米のやんちゃな少年そのまんまって感じ。
 ニューヨーク警察達の「大人の事情」感がすごい。コニー父のコニーに対する扱いも。大人と子供の心がすれ違いすぎ。悲しいけどすごくリアルだ。

◎女性、20代
 全米史上最悪の連続殺人鬼、悪のカリスマを父に持ったジャズの苦悩と、その父親に育てられたからこその特殊技能でシリアルキラーを追い詰めるハードで息詰まる展開にグイグイ引き込まれました。
(中略)
 ビリーがいつどんな事を仕掛けてくるか分からないからー。特に、ビリーとジャズが電話してるシーンが好きでした! ビリーもジャズもカッコよくて!
 脱獄犯の父親とそれを捕まえようとする息子っていう構図も分かりやすかったです。
 親友とガールフレンドには、心を開いていて、守りたいと思っていたり、困ったことがあると頼ったり、そういうジュブナイル的要素もあって、読んでてジャズのことがすごく好きになれました。
 ジャズの運命は!? コニーはどうなっちゃうの!? 叔母さんは本当にビリーの協力者なの!? ジャズの母さんはどこに!? って感じで、とにかく続きが読みたすぎるシリーズなのは間違いないです!!

◎女性、40代
 前作「さよなら、シリアルキラー」から待ちに待った続編。
 ジャズやコニー、ハウイー達にまた会える喜びが。前作よりもミステリーの色が濃くなり、ぐいぐい引き込んだ。
 そしてジャズ達の成長物語も楽しく読んだ。ジャズが自分の中に怪物を飼っている感覚がとてもヒリヒリするが、それに打ち克つ強さも育っているように感じる。
 既に次回作が待ち遠しい。

◎女性、20代
 前作、『さよなら、シリアルキラー』を読むまで、わたしの中では青春=まず人が死なない、という等式が完成されていました。ミステリーという界隈においては、いわゆる〈日常の謎〉を解く中で、中高生が成長してゆくさまを描くのが青春小説なのだ、と。間違っても、連続殺人犯なんてものはたったのひとりも出てこないのだ、と。
 その等式が崩れたのは前作を読んだとき。そして、今回『殺人者たちの王』を読んで、やっぱり浮かんだのは〈青春〉の二文字でした。
 原題が“I HUNT KILLERS”というシリーズ名である以上、この話には必ず(シリアル)キラーが登場し、稀代の連続殺人犯から英才教育を受けたジャズが犯人たち――ビリー、ものまね師、ハット・ドッグ・キラーを狩ってゆく……大雑把なストーリーだけを見ると、血なまぐささを覚えるような、ページを捲る度に人が死んでゆくのだろうなぁと容易く想像できるような、そんな話のこのシリーズですが、読んでみるとその印象がコロリ、サイコロを振るように変わってしまう。
 それはジャズという魅力的な主人公が、殺人鬼の親の呪縛から懸命にもがきながら、時には友人の見境ない惚れっぽさ(ところでわたしはハウイーが一番好きです。彼が登場すると、安心してニヤッとしちゃいませんか?)にゲンナリしたり、ガールフレンドにムラムラしたり、年相応に悩む場面を含め、詳細過ぎるほど詳細に描かれているからだと思います。シリアルキラーの息子であるからこそ悩むこと。それから、単純に、十七歳の男の子だからこそ悩むこと。ジャズという主人公のなかで、それらはどちらが重いということもなく、だからこそ〈青春〉という言葉が一番しっくりくるのではないかな。わたしはこれをジャズの成長物語として読んでいます。だからそう思うのかもしれません。
 しかし、わたしはハウイーの(もちろん初登場時から!)ファンですけれど、今回の『殺人者たちの王』では特に、ジャズの脇を固める親友&ガールフレンドの活躍が目覚ましかったですよね!ジャズが向かい合うハット・ドッグ・キラー(&ビリー?)の事件が描かれる裏で、ハウイーとコニーが謎を解き進めてゆくさま、ワクワクしながら読みました。ジャズは単独型なので、案外ホームズ&ワトスンに当て嵌まるのはこの二人なのかも?と思ったり。(笑)ハウイー大好き。コニーというガールフレンドはもちろんですが、ハウイーっていう魅力的な親友がいるから、この作品はついついそこかしこでニヤニヤしてしまうぐらい面白いのだ…!
(中略)
 なんにせよ、今回の『殺人者たちの王』もとても楽しませていただきました!
しいて問題があるとすれば、面白すぎてページを捲る手は止められないし、まさかのTo be continuedエンドだし、落丁を疑うレベルで「嘘でしょ……」と絶望したあとはBarry Lyga公式サイトに飛んで続編(かな?)である“Unsoul'd"を購入する一歩手前まで飛んでしまったので……もう続きが待ちきれないというところかな……(笑)iBooksのサンプルで310ページほどまで読めるので、とりあえずサンプルで我慢しておきます……早く翻訳出版されますように!!! とありったけの願いを込めて、感想の結びとさせていただきます。

◎女性、30代
 冒頭から心理戦。すきあらば、だまし合い。
 たくらみを我々読者にも悟らせない主人公ジャズ。
 ソシオパス診断の100点満点の回答が。いかに効果的に人に苦痛を味合わせる方法が。前作以上に、序盤から畳み掛けるように飛び交うので、そんな思考のジャズにハラハラさせられるもののスピード感が大変心地よかったです。
 今作はコニー、ハウイーでの視点と、さらにはジャズの中にいるビリーの語りが倍増し、ものすごい威力の熱量が胸に迫ってきました。何種類ものドキドキが怒濤の勢いで襲い掛かってきて、登場人物誰ひとり目が離せない!
 ジャズ以上にビリーに「近い」位置にいる人物が登場しますが、絶妙なスパイスになっています。
(中略)
 ずばりテーマは血のつながり、親子、だと思います。(親子を表す英単語はないようですが、それでも、そう明記せずにはいられません)
 絶つことはできない。
 離れたくても離れられない。
 親がそうするように、子だって時には親を振り回す。
 父や母には絶対知られたくない感情。しかし、親子である以上それはわかってしまう。  あの子ならそういう思考になるはず、とか、自分も昔そうだったから。とか。それは親と子という関係である以上見抜かれてしまう。そこにはシリアルキラーも一般人も関係ないのだと思います。
 ラストシーンが衝撃的だったこの物語がどうなるのか本当に本当に楽しみです。


 ジャスパー・デントシリーズの2作目、前作に比べると、ジャズが捜査を主導する体裁だったので、楽しく読めました。残念ながら謎を残したままなので、コニーとビリー、ハウイーとサマンサ、ジャズとハット、それぞれの対峙が3作目でどうなるかが楽しみです。
(中略)
3作目(Blood of my blood)の翻訳に期待します。

◎女性、40代
 前作「さよならシリアルキラー」がとても面白かったので、続きが早く読みたいと思っていました。
 今作「殺人者たちの王」も、主人公ジャズが事件に巻き込まれていく過程や、深まっていく謎に夢中になりました。
 ジャズの見る夢にはどんな謎が隠されているのか。ジャズを取り巻く人々の状況。ビリーと犯人との関わり。え~、ここで終わり?! そんな~!!
 この2巻では、まだジャズとビリーの対決は始まったばかりです。正直、事件が解決したとも言えないでしょう。でも、ここからジャズがどうなっていくのか。ビリーは一体何をしたいのか。
 彼らの対決はどうなっていくのか? コニーは? ハウィーは? 誰が味方で、誰が敵なのか。
 3部作とのことなので、次回まで話は全く先が読めません。まだ2巻も発売はされていない状態なのに、既に続きが読みたくてたまらない。早く3巻が発売されることを願ってます!!

◎女性、30代
 舞台を大都市ニューヨークに移し、ニューヨーク市警や父親のビリーも関わって前作より規模が大きくなっています。
 しかもジャズの周囲の人間も次々と事件に巻き込まれ、誰を相手にしているのか、事件がどこまで膨らむのか分からない不安と緊迫感に包まれました。
 今作ではジャズの周囲が活発に動くので、ジャズの特別な才能と共に、彼の未熟さも浮き彫りになっていたと思います。
 普通の少年でいることと、その才能を活かして捜査に参加することと、両方を期待され自分でも迷ってしまう姿が読んでいて苦しかったです。
 コニーの父親のように、どうしたって認めてもらえない現実があるにも関わらず、それでも普通の少年でいろとはなんとも酷なこと。
 あちこちで状況が同時に動き、どう収束をつけるのかハラハラし通し。あっちもこっちもピンチだし、衝撃の事実が最後の最後に出るし。
 そしてまさか、え、ちょっとちょっと、ここで終わり!?
早く続きを持ってきて!とすぐさま叫びたくなりました。この緊張感のまま次作まで待たなきゃいけないなんて……早く続きを!

◎女性、20代
 新しい青春ミステリ、とは看板に偽りなし。
 内容や取り扱っているテーマこそ重いが、主人公が己の環境に苦悩するさまや登場人物の話し言葉などがポップで、どちらかというと若者向けの小説だと思う。
 シリアルキラーの家族がおり、主人公はそれら犯罪者を追う立場という点でジャック・カーリイのカーソン・ライダーシリーズを彷彿とさせるが、先述したようなジャズの内面について深く掘り下げられており感情移入しやすい。
 1作目のラストは(中略)ある意味すがすがしい終わり方だったが、今作のラストではそこで終わるの!? と実にじれったい気持ちにさせられ……3作目が今から待ち遠しい。
さまざまな謎がちりばめられているので、どのようにそれらが回収・解決するのか期待しています。
 今シリーズだけでなく別の作品も読んでみたいと思わせる作者の力量に感服。

◎女性、10代
 前作の疾走感はそのままに、3部作の中核、そして前作の続きとしての広がりを見せてくれた今作。もちろんフォーカスは主に主人公ジャズに当てられてはいるものの、サイドを固める個性豊かな登場人物たちの活躍も見事で、まさしく原題「Game」の如くチームプレイ感が感じられた。ジャズ、コニー、ハウイーの3人の成長や前作では見られたなかった面が見られる一方、ジャズの父ビリーの姿は謎めいていくばかり。
 また、事件の複雑さや凄惨さもググッと上がり、この作品が「ティーンが活躍するミステリ」だけでは終わらない点には唸るばかり。ジャズの推理力の見事さには舌を巻くが、そこに「デキる奴」っぽい嫌味がないのも高好感度。きっとこの嫌味を感じさせないポイントはガールフレンドのコニー、そして親友のハウイーの存在なんだろうなあ。コニーとのセックスなど、ティーンとしてのお馴染みの葛藤やモヤモヤをジャズの不安と絡める描き方はお見事。
 伏線張り、コニーの危機、ジャズのおばあちゃんは?! など主軸のミステリ以外にもクリフハンガー要素満載。次作が待ちきれません!

◎男性、50代
 前作はいわゆるYAモノかなと軽い気持ちで読み始めたら、その葛藤あふれる少年のずっしり重い成長物語にすっかりハマってしまった。成長の過程で父と対峙するというのは永遠のテーマだけれど、その父がシリアルキラーでその英才教育を受けたがゆえに人間を獲物としてみてしまうという十字架を背負ってしまった少年が、それでもまともに生きていこうとする姿は単なるミステリーの枠を超えたストーリー。今回は舞台はNYにまでスケールアップ。地元の保安官から黒人のガールフレンド、下品だけど血友病患者の親友という脇役とともに脱獄した父との死闘へ導かれていくのをワクワクしながら読んだけれども、またしても物語が終わらず…。結局また早く続きが読みたいという振り出しに戻りました。

◎女性、30代
 今まで本格ミステリーは読みにくい、グロテスクな描写が多いと思っていて本気で興味があるものしか読んできませんでしたが、この本は違いました。(世界中で人気が出るのが納得出来る)
 犯罪者の父に犯罪者の後継人として育てられた主人公の葛藤や、思春期の男の子独特の悩みが上手く表現されていたように思います。更に主人公の心の中に時々現れる父の声!「おまえは殺人者だ。ただまだ人を殺してないだけだ」って言う言葉の謎が解けたときの旋律と驚き、そして納得していく私はこの作品の虜になっていました。
(中略)
 恋人のコニー、親友のハウィー、ニューヨーク市警、FBIを巻き込んだ今回のゲームは誰が生き残るのかまるで自分がゲームの主人公になったような感覚に陥りました。
 間違なく今年一番の本格ミステリーでした。

◎女性、50代
 ここで終わりなんてなんて殺生な!
 父親の呪縛がジャスパーの全てを縛っていて、彼がこれから経験することでもそれが父親の操るままだったら…。
 青春ミステリーとして主人公であるジャスパーと寄り添いながら、読み、怒り、懊悩する。  父の脱獄後、また新たな連続殺人犯が現れ、ジャスパーの生活は殺人に塗り込められていく、いやおうなしに。
 王となるのは誰なんだろうか。
 王であることは何を意味するんだろうか。
 原題「Game」。Gameの勝者が王なのか。勝者になることは何を意味するのか。

◎女性、40代
 ゲラをいただいて先に『さよなら、シリアルキラー』を読んでから続きに当たる本作を読んだのですが、1作目では謎解き、次の被害者探しはややわかりやすく、主人公は比較的安全なのでコニーとハウイーなど魅力的なキャラクター造形を楽しみ、残酷な展開に呻きながら平静を保っていられたのですが、1作目のラストからスリルの予感がしたものの、1作目はぬるま湯だったんだなと思わせられるサスペンスフルな展開に最後までドキドキさせられました。
 ジャスパーもコニーも若さゆえの甘さもあるのだけど、お話の都合で先走っている感じよりも自然な振る舞いに受け取れて白ける事がなく、ただ心配になってしまう。うまいです。大人の手続きだらけの仕事にはイライラするものですから。
 おっかない展開の中でハウイーと父親と同じ名前の保安官の存在が安定剤でした。
 すごいところでおわってしまったので完結編がいまから気になり、ゲラでいただいたという事は完結編の出版までさらに先、ということになるのでいまから緊張を募らせて長く待つことになりますね。残る謎を抱えたままですが忘れないうちに読めますように。

◎女性
 シーザーを理解するために、シーザーである必要はない。
 連続殺人者を理解するために、殺人者である必要もない。
 こんなセリフを誰かが言うのを期待していました。
 連続殺人者の父親の教えと、血のつながりから、自分も連続殺人者になるのではないかと怖れながらも、連続殺人者の心得という、唯一の能力を意識し活用する17歳の高校生……。その冬休みの物語を、思春期のゆえの衝動・悩みという青春の物語、連続殺人犯を捜査する市警・FBIに協力するコンサルタントの活躍というミステリという二本立ての構成を楽しめました。
 主人公の異常な家庭環境と恋人の普通の家庭、主人公の思考・行動と親友の普通の思考・行動を対比させたり、連続殺人の背後関係を想像させるなど、このままずっと読み続けたい……。
 続刊は、母親との再会、父親と対峙、恋人との将来など、家族のエピソードに期待します。

◎男性、40代
 前作で、「殺人者を狩る者」としての意識を強く持った主人公。今作では、ニューヨークの連続殺人の捜査に加わることになる。
 殺人者の父の影響のもと、殺人者の思考(志向、嗜好)を解読していく主人公。しかし、その奥には、自らも殺人者の資質が眠っているのではないかとの怯えが潜む。その怯えこそが、この小説のテーマだろうか。自らが何者であるか、何者になるのか。大人への階段を上る過程で突き当たるその問題は、主人公には「殺人者」の呪いとともにある。
 ミスリーディングを誘うかのような小説の語り口も、自分も他人も信じることのできない主人公の迷いの表れ。ニューヨーク市警もFBIも、信じられない。恋人にさえ全てを委ねることのできない主人公が、この先、どのように成長していくのか。
 物語はニューヨークに舞台を移し、前作よりダイナミックに。そして、主人公やその周りの人々の心の動きはより繊細に。前作でほのめかされた謎はさらに深まり、複雑に。
 前作の解説に「三部作」とは書いてあったが、今作の幕切れには愕然。どうなる、どうする! 早く次が読みたくてたまらない。
 そして、最後の一ページに、また新たなる謎の提示。主人公の迷いや焦りに共感しつつ、存分に作品世界に振り回された。三部作の最終巻が楽しみでならない。

◎女性、40代
 前作「さよならシリアルキラー」は、三部作と知らずに購入しました。物語の導入部分でありながら、スピード感のある展開にはらはらしながら一気に読み、次作を今か今かと待っていました。ミステリーというよりはサスペンスというべきでしょうか。全編にわたる緊張感は、月並みですが手に汗握る展開です。とても映像化は厳しいであろうと思われる、連続殺人の陰惨なこと。食事前には読めません。それでもそういった部分は意外とさらっと書かれているので、必要以上に気持ち悪さを感じることはないかもしれませんが。殺人事件については若干の謎解きはありますが、読者は蚊帳の外です。探偵役のジャスパーは、多少ご都合主義的な展開も気になりますが、デント譲りの才能を発揮して事件に足を踏み込んでいくことになります。

 今作はついにジャスパーは父デントと対峙していくことになりますが、読者から見たところではかなり父に分があるように感じられます。やはり経験値の差でしょうか。何の経験値かはあまり考えたくはありませんが……。また、父デントの妹である叔母のサマンサやFBI捜査官、ニューヨーク市警の人々も大変魅力的です。ジャスパーとコニーの恋愛も、青春時代を遥かに過ぎた年齢でもやはり気になるところです。そしてまたしても終盤は次巻が出るのを待ち遠しくさせる展開、しかもジャスパーもコニーもとんでもないとしかいいようのない状況。最後の最後に出てきたあの人も気になってしょうがないです。

 本当に次作できれいに話がまとまるのか。次巻が出るのは来年以降ですよね。首を長くして待ちたいと思います。

◎男性、20代
 届いた時は「大長編で読むのに時間が掛かるな」と思っていましたが、読み始めるとあっという間に読み終えました。
 前作同様、ハラハラドキドキが止まらない展開、続きが気になる終わり方で小説を読むというよりはアメリカン・ドラマを見ているようでした。
 特に今作では主人公ジャズのニューヨークの連続殺人事件解決、というメイン・ストーリーだけではなく、恋人コニーのゲーム、ハウイーの恋模様など様々なサイド・ストーリーも読んでいてそれぞれの心の成長が感じられました。またハウイーのユーモアのセンスも前作同様、とても面白かったです。
 そして本作を読んでこのシリーズはジャズの葛藤、コニーの心の強さ、ハウイーのユーモアなどたくさんの魅力があるのだと感じました。
 最後に本作があっという間に読めたのは満園さんの翻訳力のおかげでもあると思います。
 本当に、次作が待ち遠しいです。

◎女性、40代
 前作の終わりに彫ったタトゥー(I HUNT KILLERS)の通りに、少年探偵のような活劇になるのかと思っていたら、ジャズの惑いの闇は深まっていた。
 自分の考えや衝動に疑念を抱くのは若者共通と思うけど、ジャズの場合はすべてがシリアルキラーからの薫陶に立ち戻るので苦悩が倍増。
 取り巻く大人たちが必ずしも味方でないまま(どちらかというと敵というか利用しようとする者多し)、ニューヨークの惨劇「ハット・ドッグ・キラー」事件を追い、脱獄した父ビリー・デントの影に動揺するジャズ。事件の緊迫に性的な切迫感を加えた内面の圧力が相まってドキドキしっぱなし。
(中略)
 舞台がロボズ・ノッドとニューヨークに広がったこともあり、ジャズ、ハウイー、コニーが地理的にも離れて別々に奮闘しているのが辛い。早く次作を読みたいけど、心やすらかに読めるかな。

◎女性、40代
 ジャズ、コニー、ハウィーそれぞれの危機。ビリーの企み…。驚きました。このペースで進んで行って解決するのかと危ぶんでいたら、ラストはまさかのクリフハンガー!アメリカのテレビドラマのシーズン最終話みたい。
続篇があるんだろうから又続きが気になります。

◎女性、40代
 タイトルから作中「殺人」が行われることは容易に推測されましたが、これほど刺激的な内容のものとは思っていませんでした。ブームの火付け役になった『羊たちの沈黙』以降、シリアルキラーやプロファイリング関連の書籍は漁るように読みまして、実のところ「好物」なものですから、予想以上に楽しんで拝読しました。文体も、よくこなれて読みやすく、スリリングな展開にたちまち引き込まれました。
ところで、これ、「続編」が、あるのですよね? 当然のこと?

◎男性、40代
 いや~面白かったです。前作も面白かったけど前作を、凌駕する面白さ。参りました。ますますファンになってしまいまた。私は文才がないのでうまく感想を書けないですけど、出版されたら、絶対買います。誠に良い読書体験デシタ。

読者モニターの皆様、ご協力ありがとうございました。
シリーズ完結編となる第3巻Blood of Bloodは2016年5月刊行予定です。お楽しみにお待ちください。

(2015年11月5日)



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