舞台は現代日本、女子高生の莉世は周囲になじめず、クラスだけでなく部活でも浮いた存在だった。それもそのはず、彼女の暮らす地域はとある不思議があったのだ。家からほど近い山頂には、さる大金持ちが造った王国があり、周囲の人々は中世ヨーロッパ同様の暮らしをしている。移動にも馬車を使うなど、なるべく現代のテクノロジーを用いず、昔ながらの生活を続けており、莉世の父親は城の門番の仕事をしているのだ……。

そんなある日、莉世は学校帰りに自宅の前で、一人の少年と出会う。それが、これまでの想像からは外れた冒険の始まりだった。大きな帽子を被ったひ弱そうな少年・丈は、城に招かれて行く途中だという。ひょんなことから、その丈に助手として同行することなった莉世が向かった城では、今宵ある宴が開かれていた――。

と、ここまではほんのさわりの部分ですが、ここからアマン先生の本領が発揮されます。国王殺害を疑われた容疑者は、何と四人の怪人。吸血鬼、狼男、ミイラ男にゾンビ。コスプレではなく、リアルに彼らが存在するのです! 藤子不二雄Ⓐの名作『怪物くん』の世界観を想像いただけたら、わかりやすいでしょう。
怪人たちは地下牢に隔離されるのですが、第二、第三の殺人まで発生するなど事態は混迷を極めていくのです。果たして、莉世と丈はこの事件の謎を解くことができるのか? 乞うご期待ください。

(2015年10月5日)




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