今月の本の話題

2015.09.07

名探偵帆村荘六シリーズの著者が描く、 唯一無二の科学的奇想に彩られた傑作短編集 海野十三/日下三蔵編 『火葬国風景』[2015年9月]


 好評既刊『獏鸚 名探偵帆村荘六の事件簿』に続く、海野十三ミステリ傑作選の第2弾です!

『新青年』に掲載された、電気風呂が売りの銭湯で起きた殺人事件の謎を、司法主任・赤羽直三が解くデビュー作の本格ミステリ「電気風呂の怪死事件」や、実験の合間に三人の男たちがそれぞれの封じた過去を告白し、驚愕の結末が待ち受ける猟奇ミステリ「恐しき通夜」、帆村荘六がゲスト登場するオムニバス掌編「蠅」「顔」など、バラエティに富んだノンシリーズ作品を収録しています。

 また、謎に満ちた“火葬国”への冒険譚「火葬国風景」や、独裁者が行う“音楽浴”をめぐる陰謀と悲劇を描いた「十八時の音楽浴」は、正に著者にしか書けない奇想天外な傑作でしょう。また、生き別れの同胞(はらから)を捜す娘の、数奇な探偵行を綴る「三人の双生児」は、故郷・徳島の思い出を記したエッセイ「『三人の双生児』の故郷に帰る」と合わせてお読みいただければと思います。

 日本SFの先駆者にして、唯一無二の科学的奇想に満ちた作品を描いた著者の真髄を示す傑作短編集を、どうぞお楽しみください。

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銭湯で起きた殺人の謎を解くデビュー作の本格ミステリ「電気風呂の怪死事件」。男が死んだはずの友人とすれ違ったことに端を発する、幻想的な冒険譚「火葬国風景」。国民を洗脳・支配する独裁国が辿った、皮肉な末路を描く歴史的名作「十八時の音楽浴」など珠玉の11編に、エッセイを収録。日本SFの先駆者にして、唯一無二の科学的奇想に満ちた作品を描いた著者の真髄を示す、傑作短編集。解説=日下三蔵

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(2015年9月7日)




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