秋元康原作、柴咲コウ主演で人気を集めたホラー映画『着信アリ』。その後シリーズ化され、『2』『final』と全三作、さらにアメリカでもハリウッド版が制作されています。日本版の全三作の脚本を手がけたのが、本書の著者・美輪和音(脚本の名義は大良美波子)さんです。テレビドラマ「美少女H」を皮切りに脚本家として活躍後、2010年にミステリ短編「強欲な羊」で第7回ミステリーズ!新人賞を受賞しました。

 本書『強欲な羊』は、とある洋館を舞台に、美人姉妹の悲劇を圧倒的な筆づかいで描いた「強欲な羊」をはじめとした、イヤなミステリ全5編の連作短編集。どの作品も、リーダビリティ溢れる筆致で、一度読み始めると止まらないおもしろさ。最後の「生贄の羊」まで一気読み間違いなしです。ただし、真夜中に一人で読むことはオススメしません。

 創作講座時代のご友人である、今年ドラマ化された『ドS刑事』でおなじみの七尾与史さんの、ドSな素敵な解説も読みどころです。ぜひお楽しみを!


(2015年7月6日)




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