今月の本の話題

2015.02.05

巨匠の名作、55年ぶりに新訳で復活! イーデン・フィルポッツ『だれがコマドリを殺したのか? 』[2015年2月]

『赤毛のレドメイン家』のイーデン・フィルポッツのもうひとつの代表作、新訳版『だれがコマドリを殺したのか?』をお届けします。
 長く入手困難だった本書の原題はWho Killed Cook Robin?。これはアメリカ版のタイトルで、同年にハリントン・ヘクスト名義で刊行されたイギリス版のタイトルはWho Killed Diana?です。

 物語は“コマドリ”というあだ名の美貌の女性ダイアナに、成功が約束されていた青年医師ノートンが心が奪われるシーンから始まります。ノートンは裕福な伯父から、お気に入りの自分の秘書と結婚するよう求められているところ。そのため、秘書と結婚しなければ遺産を手に入れられない可能性が極めて高い。しかしノートンは思い切った決断をくだす――。
 とここで終わればただのメロドラマですが、ここからがフィルポッツの面目躍如。物語は二転三転、異様なツイストを見せ、読む者を一瞬たりとも気を抜かせない展開を見せます。
 かつて江戸川乱歩は、フィルポッツの名作『赤毛のレドメイン家』を「万華鏡が、三回転するかのごとき鮮かに異なった印象を受けることに一興を喫するであろう」を表しましたが、本書編集中も同じような印象を受けました。

 旧版の『誰が駒鳥を殺したか?』の発行日は1960年3月4日。パトリック・クウェンティン『二人の妻をもつ男』との同時刊行でした。ちなみにこの前の配本がS・S・ヴァン・ダイン『ケンネル殺人事件』、次の配本がエラリー・クイーン『シャム双子の謎』とジョン・ディクスン・カーの『死時計』(旧訳版)です。

 今回の新版の発行日は2015年3月刊行ですので、実に55年ぶりの翻訳でお届けいたします。半世紀以上前の作品とは思えないほど、非常に読みやすい訳文に仕上がっていますので、ぜひお手に取っていただければと思います。


(2015年2月5日)




【2009年3月以前の「本の話題」はこちらからご覧ください】

海外ミステリの専門出版社|東京創元社
バックナンバー