今月の本の話題

2014.12.05

第一線で活躍する作家たちが、架空の都市を舞台に贈る「街」の物語 『晴れた日は謎を追って がまくら市事件』『街角で謎が待っている がまくら市事件』[2014年12月]

架空の街を舞台にしたミステリ・アンソロジー『蝦蟇倉市事件(1・2)』が、この度『晴れた日は謎を追って』『街角で謎が待っている』というタイトルで遂に文庫化されます。

同年代の作家11名が全員でつくりあげた架空の街・蝦蟇倉(がまくら)市。海と山に囲まれ、商店街や高校がある一見のどかな街のようで、自殺の名所といわくつきの崖があったり、警察署には不可能犯罪係が存在なるものが存在する、どこか不思議なところです。
「年間平均十五件の不可能犯罪が起こる」街を舞台に紡がれた11の物語を、全二巻でお贈りします。

『蝦蟇倉市事件』が出来るまでの経緯や各編の紹介に関しては、
単行本初刊時の記事(http://www.webmysteries.jp/topic/1002-01.html)をお読みいただければと思います。

* * *

『蝦蟇倉市事件』が刊行されてから、数年が経ちました。その間、執筆いただいた方それぞれがめざましい躍進をされています。

道尾秀介先生は『月と蟹』が直木賞を受賞されました。その後も、ミステリの枠を超えた話題作が数々刊行されています。
大山誠一郎先生も、6年ぶりに刊行された『密室蒐集家』が本格ミステリ大賞を受賞されました。寡作ながらも、上質な本格ミステリを書き続けていらっしゃいます。
伊坂幸太郎先生は、『夜の国のクーパー』や阿部和重先生との合作『キャプテン・サンダーボルト』など、一作ごとに新しい挑戦をされています。
福田栄一先生も、自身の得意とする青春小説のみならず時代小説からハードボイルドまで、自身の作風を押し広げて活躍。
また、伯方雪日先生はデビュー以来一貫して、本格ミステリと格闘技の融合を目指して執筆されています。

北山猛邦先生は、〈少年検閲官〉シリーズ最新作の『オルゴーリェンヌ』やゲーム『ダンガンロンパ』の小説版など、様々なかたちで本格ミステリを追求しています。
桜坂洋先生は『All You Need Is Kill』がハリウッド映画化、越谷オサム先生は『陽だまりの彼女』文庫版が100万部を突破、映画もヒットを記録しました。
村崎友先生も、雑誌やアンソロジーなど色んなところで、意欲的な作品を発表。新作が期待されます。
秋月涼介先生は、清涼院流水先生による出版プロジェクト「the BBB」にて、電子書籍で――しかも英訳版と同時配信という今までにない方法で、新作を発表しています。
そして、米澤穂信先生は『折れた竜骨』で日本推理作家協会賞を受賞。今年は『満願』で山本周五郎賞を受賞して、直木賞の候補にもなりました。「週刊文春ミステリーベスト10」「ミステリが読みたい!」など年末ランキングで見事1位に輝きました。

単行本が刊行された頃は更なる活躍が期待されていた気鋭の方々が、今や日本の現代小説の第一線で活躍される作家となりました。豪華な作家陣が遊び心いっぱいにつくあげた街・蝦蟇倉市。仕掛けに満ちたこの街を、一度訪ねてみてはいかがでしょうか。

11人の作家が描く架空の街の謎物語 『蝦蟇倉市事件〈1〉〈2〉』 特集サイト

(2014年12月5日)




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