今月の本の話題

2014.12.05

名手が贈る、18のふしぎな物語。 坂木司『何が困るかって』[2014年12月]

みなさん、今なにかお困りのことはありませんか?

昔のお洋服がきつくなってしまったとか、
最近友達がみょうに冷たいとか、
仕事で大失敗をしてしまったとか
――人から見たら些細なことから、すごく重たい悩みまで。
普通の顔をして町を歩いている人たちも、皆何かしら、トラブルを抱えながら生きているはずです。

本書でも、いい人からわるい人まで(ときに人じゃないものも)幅広い困りごとや事件に遭遇しています。

バスの車内に潜む宿敵との闘いに頭を悩ませる青年。
おしゃれなカフェでまったりと過ごしているはずの人々の心の裡。
「いま、ここ」の楽しさを追い求めた先にある陥穽。
居住者の振る舞いを心配し、心を痛めるけなげな洗面台。
「鍵のかからない部屋」から出たくてたまらない“私”――などなど。

本書を読めば悩みは解決、などとは残念ながら言えないのですが、目の前の「困りごと」がふっと軽くなるようなふしぎな何かが心に残ると思います。

なお、編集担当が愛して止まないのは、「仏さまの作り方」と「神様の作り方」。
小説ならではの〈奇妙な味〉が横溢した、すごい物語です。
奇妙な味のショートストーリーに目がない方、お見逃しなく!


(2014年12月5日)




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