今月の本の話題

2014.10.07

第24回鮎川哲也賞受賞作。内山純『B(ビリヤード)ハナブサへようこそ』[2014年10月]


今年も鮎川賞の季節がやってきました!
鮎川哲也賞受賞作は近年、学園ミステリが花盛りでしたが、今回の受賞作はひと味違います。 良く言えばレトロ(本音を言えばオンボロ)なビリヤード店を舞台とした安楽椅子探偵が活躍する連作短編集です。

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僕、中央(あたりあきら)は大学院に通いながら、元世界チャンプ・英雄一郎先生が経営する「ビリヤードハナブサ」でアルバイトをしている。
ビリヤードは奥が深く、理論的なゲームだ。そのせいか、常連客たちはいつも議論しながらプレーしている。いや、最近はプレーそっちのけでみんなが持ち寄った不思議な事件について議論していることもしばしばだ。
今も、常連客の一人が会社で起きた不審死の話を始めてしまった。いいのかな、球を撞いてくれないと店の売り上げにならないのだが。

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ビリヤードのことしか頭にない、オーナの英(はなぶさ)先生をはじめ、物語を盛り上げる年齢不詳の美女、元商社勤務のご隠居、愛犬家の喫茶店マスターなど個性的な常連客が登場し、推理があっちに行ったりこっちに行ったり。中央の大学院の仲間で、ビリヤード初心者の日下も加わって、店はさらに賑やかに。
みんなの多種多様な推理を聞いているうちに、中央にある閃きが……。

街中にあるビリヤード屋はもしかしたら、ちょっと敷居が高く感じるかもしれませんが、こんなに楽しい雰囲気なら、覗いてみたくなるかもしれません。

この店には今日もまた不思議な事件が持ち込まれ、推理談義に花が咲く――。
難事件解決の鍵はビリヤードにあり。
選考委員も大絶賛のビリヤードと本格ミステリの融合を、どうぞお楽しみに!

(2014年10月7日)




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