今月の本の話題

2014.10.07

『世界が終わるわけではなく』のケイト・アトキンソンがミステリを書きました。『探偵ブロディの事件ファイル』[2014年10月]

『世界が終わるわけではなく』の個性的な登場人物たちに、時空の狭間に引きずり込まれた、あの経験はなかなかに忘れがたいものでしたが、あのアトキンソンがミステリを書いたというのですから、これはもう読んでみるしかありません!

 今回はきわめて現実的な世界です。
 ただし登場人物たちの個性は、アトキンソンらしく相変わらず個性的。
 それぞれが探偵ジャクソン・ブロディに自分の家庭にまつわる事件の調査を依頼してくるのですが……。
 中年の変人姉妹、猫屋敷にひとり住む老婦人(たったひとりでたくさんの猫と暮らしている老婦人なら、猫問題も家庭の問題?)、娘を殺された元弁護士、姉が昔、なたで夫を殺したという看護師、美人のキャビンアテンダントを妻に持つ男。

 一方、探偵ブロディはきわめてまとも。
 バツイチで、元妻と暮らしている小学生の娘を心底大事に思っています。
 そして彼は、いつかフランスで暮らすことを夢見てフランス語の勉強に余念がないという男なのです(やっぱり変人か?)。
 アトキンソンらしく、どこかで微妙にみんながつながりを見せる彼女らしいミステリー。探偵ブロディの魅力が炸裂します。

 このブロディ・シリーズは本書のほかに以下の3冊が書かれています。

・One Good Turn
・When Will There be Good News?
(なぜかこの本を読むスティーヴン・キングの写真が見られます。そういえばキングは本書について、「今年読んだ小説の中でベストとは言わないが、この10年間のミステリの中で最高」とどこかに書いていましたよ。)
http://powells.tumblr.com/post/90410073373/groveatlanticinc-this-is-fabulous
・Started Early , Took My Dog

 なお、BBCによるドラマ化作品は、DVDにもなっています。ご興味のある方はこちらをご覧ください。
"Case Histories"
"Case Histories" は、2011年のCWA のCrime Thriller Award のBest TV Drama Award を受賞しています。

 というわけで、とにかくお読みください。

(2014年10月7日)




【2009年3月以前の「本の話題」はこちらからご覧ください】

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