今月の本の話題

2014.09.05

第21回鮎川哲也賞受賞作、待望の文庫化。山田彩人『眼鏡屋は消えた』[2014年9月]


ふと気がつくとそこは演劇部の部室で、いつの間にか8年の時が過ぎていた?! と魅力的な導入部分で、読者をぐいぐいと引き込んでしまう抜群のリーダビリティで贈る、第21回鮎川哲也賞受賞作『眼鏡屋は消えた』待望の文庫版の発売です。

主人公は若き女性教師・藤野千絵。高校時代に憧れた男子生徒のことが、卒業後しばらくたっているにも関わらず、トラウマとなっている様子。そんな彼女が事件に巻き込まれ、高校時代から現在までの8年もの記憶が失われてしまう……。その期間内に、演劇部で共に切磋琢磨していた親友まで亡くなっているなんて!
 親友のためにも「自殺」と処理された事件の謎を解き、彼女の遺した脚本「眼鏡屋は消えた」を文化祭で上演する事を決意する。あの苦手だったイケメン・戸川涼介に、謎を解くことを頼んで――。この戸川は第二作『幽霊も知らない』でも活躍するイケメン探偵。

記憶喪失、親友の死、そして「眼鏡屋」を巡る黒いウワサ。切なくしんみりとなりがちな設定ですが、あっけらかんとした、いわゆる“肉食系女子”千絵と、イケメン探偵のコンビのやりとりによって魅力的に仕上げています。一気読み確実です!

(2014年9月5日)




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