今月の本の話題

2014.04.07

東京創元社が自信をもって送る新たな日本ファンタジー。〈サラファーンの星〉開幕【2014年4月】

うさぎ幻化行
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editors_logo.jpg  日本ファンタジー界にセンセーションをおこした、乾石智子〈オーリエラントの魔道師〉シリーズに続く、新たな異世界ファンタジーをご紹介します。
 新人賞などの受賞歴はないものの、緻密な世界設定とたまらなく魅力的な人物描写が秀逸な、まさにエディターズ・チョイスに相応しい自信作です。

 舞台は七つの王国が栄える異世界。主人公は森と湖の平和な国に住むおとなしい少女リーヴ。画家である父は戦いに行き、残された母と兄と犬とともに戦火の迫る故国を離れ、母の故郷である遠く離れた国の小さな村に身を寄せる。
 いまだ戦争の火の粉が飛んできていない平和な村。そこでリーヴたちは伯父一家の暖かい歓迎をうける。
 その村の外れには、呪われた森と呼ばれる深い森があった。ある日森に迷い込んだリーヴは生涯の友人となる不思議な少女に出会う。紫の瞳をもつ少女とのこの出会いこそが世界の運命を変えることになるのだった……。

 異世界ファンタジーといえば、架空の世界であるだけに、どれだけ現実感をもって見せられるかが非常に大切です。この『星の羅針盤』の世界は、まるで、わたしたちが住む現実世界のすぐ隣に存在しているかのように、とてもリアルに描かれています。そして登場人物が本当に魅力的です。主人公リーヴのけなげさや、彼女をとりまく人々の優しさはもちろん、戦争の恐ろしさ、権力や欲望で歪んでしまった人々の醜さ、哀しさも余すところなく描かれています。ファンタジー好きはもちろん、ファンタジーは敷居が高いとお思いの方も是非お読み下さい。『若草物語』や『赤毛のアン』で味わったときめきが味わえます。

(2014年4月7日)




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