今月の本の話題

2014.04.07

『三つの秘文字』『毒の目覚め』の著者の最高傑作登場! S・J・ボルトン『緋の収穫祭』【2014年4月】

うさぎ幻化行
書籍の詳細を見る
 お待たせしました! S・J・ボルトンの新作『緋の収穫祭』をお届けします。

 舞台はイギリスの田舎町ヘプトンクラフ。「血の収穫祭」と呼ばれる伝統的な儀式が残るこの小さな町の教会に、新しい司祭がやってくることになりました。町にふたつある教会は、何か理由があって長年閉ざされていました。司祭となったハリーは、町の一風変わった風習に疑問を覚えながらも、少しずつ住人たちになじんでいこうとしていました。しかしある夜、急な電話で起こされることに。教会の墓地と隣家を隔てていた塀が崩れ、すぐそばにあった幼い少女の墓が壊れたのでした。そしてなんと墓からは、そこに存在するはずのない、二人分の子どもの遺体までもが発見されます。少し前まで土には埋められていなかったようで、頭蓋骨には酷い損傷がありました。

 そんな事件が起こる数日前から、教会の隣家に住む子どもたちは教会や自宅に何度も現れる、何者かの気配を感じていました。この地でかつて何があったのか? 過去に囚われた、血塗られた町の秘密が、少しづつ暴かれていきます……。

 『三つの秘文字』『毒の目覚め』で、イギリスの田舎を舞台に美しくも恐ろしい物語を書いていたS・J・ボルトン。そんな彼女がいままで培った筆力のすべてを注いで作り上げた本書は、前2作よりさらにパワーアップしています! 古い教会、廃墟、墓地、地下聖堂、怪奇現象などなど、ゴシック・ミステリ的な要素がそろい踏みで、横溝正史作品的な、因習的な儀式が残る土地を舞台にした作品が好きな方は、絶対に楽しめるはずです!

 S・J・ボルトンは英米での評価も高く、前作の『毒の目覚め』は、MWA(アメリカ探偵作家クラブ)賞メアリー・ヒギンズ・クラーク賞を受賞しました。日本でも、翻訳ミステリー大賞シンジケート主催の翻訳ミステリー大賞第2位に輝きました。『三つの秘文字』『緋の収穫祭』も、メアリー・ヒギンズ・クラーク賞にノミネートされており、3作すべてが賞の候補になるという驚きの結果になっています。また、バリー賞最優秀英国ミステリ賞、CWA賞図書館賞、CWA賞ゴールド・ダガー賞、フランス国鉄ミステリ大賞など、数多くの賞の候補にあがっています。

 『緋の収穫祭』は4月12日ごろ発売です。前2作のような女性一人称から三人称多視点に代わり、より緊迫感とページターナー度が増しています。一気読み間違いなし! シリーズ作品ではありませんので、この本から読んでもまったく問題ありません。ぜひボルトン作品の魅力に触れていただければと思います。

(2014年4月7日)




【2009年3月以前の「本の話題」はこちらからご覧ください】

本格ミステリの専門出版社|東京創元社
バックナンバー